「将来もずっと、大好きなこの街で過ごしたい」
そんな真っ直ぐな想いを胸に、地元の門を叩いた一人の若者がいます。
熊本県山鹿市。歴史ある街並みと豊かな自然、そして温かな人々が息づくこの街で、一般行政職として奮闘する坂口さん。
高校時代は福祉を学び、介護福祉士の資格を持つ彼女が、なぜ公務員の道を選んだのか。
窓口業務からイベント運営、さらにはYouTubeでの魅力発信まで。
「誰かのために」と走り続ける坂口さんの等身大の言葉から、山鹿市で働く本当の魅力と、これからのキャリアを切り拓くヒントを探ります。
- 福祉の学びから公務員の道へ――地元・山鹿への強い愛着
- 大きな不安はなくても……。「服装」と「運転」、入庁前の小さな悩み
- 「顔の見える関係」がやりがいに――国保窓口での3年間
- スポーツの力で街を動かす――イベント運営の舞台裏
- 支え合う同期、笑い合える職場。山鹿を想う「ワンチーム」の輪へようこそ
福祉の学びから公務員の道へ――地元・山鹿への強い愛着
ーまずは自己紹介と、これまでの経歴について教えてください。
坂口:生まれは熊本市なのですが、小学1年生の時に山鹿市に移り住み、それからは小学校、中学校、高校とずっと山鹿の豊かな自然の中で育ちました。
高校は地元の医療福祉科に進学し、当時は介護福祉士の国家資格取得に向けて勉強に励んでいました。
ー福祉を学んでいた坂口さんが、なぜ公務員という職業を選んだのでしょうか?
坂口:親が公務員ということもあり、中学生の頃からぼんやりと意識はしていましたが、決定的な転機となったのは高校時代の「コロナ禍」でした。
世の中が大きく変わり、将来について真剣に考えたとき、「大好きな山鹿市で、長く安定して、そして安心して働き続けたい」という思いが強くなったんです。
また、山鹿市は車さえあれば本当に住みやすく、情緒ある街並みも大好きです。他県へのアクセスも良く、プライベートも充実させられる。そんなこの街に貢献したいという愛着が、私をこの道へ導いてくれました。

大きな不安はなくても……。「服装」と「運転」、入庁前の小さな悩み
ー初めて社会に出るにあたって、不安はありませんでしたか?
坂口:実は、これから社会人として働くということに対して、それほど大きな不安は感じていませんでした。部署が決まらないことには勉強のしようもないですし、「なるようになるかな」と(笑)。
ただ、いざ入庁が近づくにつれて、本当に些細な、小さな悩みはいくつかありました。その一つが「服装」です。
ー事務職の服装は、学生にとっては確かにイメージしにくいですよね。
坂口:そうなんです。最初はスーツでいいのですが、その後の「オフィスカジュアル」って一体何だろうと思って(笑)。
何を着ていけば失礼にならないのか、ネットで「オフィスカジュアルとは」と一生懸命調べていた記憶があります。
でも、実際に働き始めてみると、職場は想像していたよりもずっと気さくな雰囲気で、服装についてもそこまで堅苦しく考える必要はなかったんだなと安心しました。
ーもう一つ、通勤についても気にされていたとか。
坂口:はい。山鹿市役所では職員の多くが車通勤なのですが、私は3月末に免許を取ったばかりだったので、4月から始まる車通勤が実は一番の心配事でした。無事に市役所にたどり着けるかな、と(笑)。
「顔の見える関係」がやりがいに――国保窓口での3年間
ー入庁後の最初の配属先について教えてください。
坂口:最初の3年間は「国保年金課」の国民健康保険係でした。市役所の1階にあり、市民の方が多く訪れる場所の一つです。
退職等に伴う健康保険の切り替え手続きや、出産育児一時金、葬祭費の給付申請などの受付・審査を担当していました。
ー窓口業務は、市民の方と直接対面する重要な仕事ですね。
坂口:はい。年度始めの4月は退職後の手続きで窓口が溢れかえるほど忙しくなります。また、7月から8月にかけては保険証の更新時期で、電話対応も多くなります。
当時は必死でしたが、今振り返ると【市民の方々の人生の節目に立ち会っている】という実感がある業務でしたね。

スポーツの力で街を動かす――イベント運営の舞台裏
ー現在はどのような部署で働いているのでしょうか?
坂口:4年目の今年から「生涯学習・スポーツ課」のスポーツ振興係に異動しました。ここでは窓口業務とは打って変わり、スポーツを通じた街の活性化に取り組んでいます。
「あんずの丘マラソン」や駅伝大会の運営、そして地域で活動するスポーツ推進委員の方々との調整業務が主な仕事です。
ー具体的に印象に残っている仕事はありますか?
坂口:昨年末に担当した「ドリームベースボール」という大きな野球イベントです。元プロ野球選手を招いての野球教室や試合を行ったのですが、準備は想像以上にハードでした。
各チームへの参加案内から、当日の看護師さんの手配、ケータリング、備品の搬入まで……。当日は会場中を走り回り、元プロ選手の送迎やベンチ裏でのケアも担当しました。
ーイベントが無事に終わった時の達成感は凄そうですね。
坂口:本当にそうでした!イベント当日、会場にお客さんや子どもたちが溢れ、元プロ選手たちのプレーに歓声が上がる光景を見た時、これまでの苦労がすべて報われるような気がしました。
点と点が繋がって、一つの大きなエネルギーになる瞬間を目の当たりにできるのは、イベント運営ならではの醍醐味だと思います。


ーさらに、YouTubeでの広報活動もされているとか。
坂口:はい。山鹿市と熊本県の職員が合同チームを結成し、YouTubeで山鹿の魅力をPRしています。企画から撮影、編集まで自分たちで行うのですが、これがまた奥深くて(笑)。
歴史ある「豊前街道」を散策する動画や、山鹿灯籠まつりの紹介動画など、大好きな山鹿の魅力を自分の手で世界に発信できることに、ワクワクしながら取り組めています。

支え合う同期、笑い合える職場。山鹿を想う「ワンチーム」の輪へようこそ
ー異動を経験して、公務員として大切だと感じたことはありますか?
坂口:公務員の異動は、部署が変わると仕事の内容が一変します。以前の部署で得た知識がそのままでは通用しないことも多く、また一から勉強し直しです。時には市民のみなさんの方が業務に詳しかったりして、悔しい思いをすることもあります。
でも、だからこそ【常に学び続ける謙虚さと、変化を楽しむ心】が大切なんだと感じています。山鹿市役所は、その挑戦を支えてくれる温かい先輩や同期がたくさんいます。
ー職場の雰囲気について教えてください。今の部署はいかがですか?
坂口:本当に明るくて活気のある職場ですね。課の名前に「スポーツ」が入っているだけあって、異動して一番に聞かれたのが「スポーツ、何かやってたの?」だったんです(笑)。
課の皆さんが本当にスポーツ好きで、例えば年明けの仕事始めの日なんかは、箱根駅伝の話題でものすごく盛り上がるんですよ。
大会運営などの実務で忙しい時もありますが、共通の話題で笑い合える雰囲気があるので、とても楽しく働けています。
ー同期の方々との交流はいかがですか?
坂口:同期との仲の良さは、山鹿市役所の自慢できるところだと思います!プライベートでも一緒にご飯に行きますし、仕事の悩みも気兼ねなく話せる存在です。
実は、今の私の席は、仲の良い同期が異動する前に座っていた席なんです。ちょうどお互いの配属先が入れ替わる「トレード」のような形での異動だったので、今でもよく電話で「あの時どうしてた?」と相談し合っています(笑)。
こうした心強い仲間がいることは、山鹿市のようなコンパクトな組織だからこその大きな魅力だと感じています。

ー最後に、山鹿市役所を志す受験生へのメッセージをお願いします。
坂口:山鹿市には、灯籠まつりや百華百彩といった幻想的な風景、そして美味しい焼肉屋さんやカフェなど、語り尽くせない魅力があります。
でも、働く場所としての最大の魅力は、組織がコンパクトだからこそ「顔の見える距離感」で、みんながワンチームとして働けることだと思っています。
最初は「自分に何ができるだろう」と不安に思うかもしれませんが、あまり肩肘張らず、ぜひリラックスして挑戦してほしいです。皆さんと笑顔で働ける日を、心から楽しみにしています!

ー本日はありがとうございました。
坂口さんとお話ししていると、山鹿市の風景が目の前に広がるような、そんな温かな気持ちになります。福祉の道から飛び込んだ彼女を支えたのは、周囲の職員の優しさと、「地元が大好き」というシンプルで力強い想いでした。
窓口で市民に寄り添い、グラウンドを駆け回り、カメラを構えて街を歩く。
その全ての経験を自分の糧にし、笑顔に変えていく坂口さんの姿は、これから新しい世界へ踏み出す学生の皆さんにとって、一番身近で頼もしい「未来の先輩」の姿そのものでした。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年1月取材)



