「困ったときは、みんなが助けてくれる環境だと思います」
そう穏やかに語るのは、境港市役所健康づくり推進課で保健師として働く入庁2年目の越智眞琴さんです。看護師として東京で勤務した後、結婚・出産を経て鳥取県境港市へUターン。子育てのしやすい環境を求めて戻ってきた越智さんは、今、地域の人々の健康を支える仕事に就いています。
もうひとり話を聞いたのは、税務課で働く入庁3年目の林原直哉さん。地元の民間企業で主に法人営業を約3年間経験した後、境港市役所へ転職。民間とは全く異なる業務のなかで、着実にキャリアを積み上げてきました。
今回は、公務員や自治体職員として働くことを考えている社会人・学生に向けて、境港市役所での仕事の中身、働く魅力、そして職場の雰囲気について、おふたりにたっぷりと語っていただきました。
民間から、看護師から。それぞれが境港市を選んだ理由
ーまず、林原さんが境港市役所に入庁するまでの経緯を教えてください。
林原:大学は関西に出て、地元・米子に戻ってUターン就職しました。最初は公務員も選択肢のひとつとして考えてはいたんですが、民間の採用のほうが時期が早くて。当時は民間企業で働きたい気持ちも強かったというのもあります。主に法人のお客様に対しての営業を担当していました。
ーそこから自治体へ転職しようと思ったのはなぜですか?
林原:もともと大学のゼミで地方財政関係を学んでいたこともあって、行政には元々興味があったんです。仕事でも行政の方と一緒に仕事する機会が結構あって。地元の近くで働けるなら、という思いで受けました。
知り合いの同級生がすでに市役所で働いていて、楽しく働いていると聞いたので、あまり心配は無かったですね。

ー越智さんはどういった経緯だったんですか?
越智:私は東京に出て看護師として働いていました。最初は都会で働いてみたくて。その後結婚して、出産。
育児も大変だし、やっぱり地元のほうがいいなと思い地元に帰ってきました。将来のことを考えたとき、子育てしやすい環境として境港が一番いいという考えになって、夫にも付いてきてもらいました。

4月の繁忙期に、気の知れた仲間が。税務課・1年目の乗り越え方
ー林原さんは入庁してすぐ税務課に配属されたとのことですが、最初はどうでしたか?
林原:税務課は4〜6月が一番忙しい時期なんです。入って間もない時期にいきなり繁忙期が来て、最初はこんなに大変なのかと思いました。しかも自分が入った年がちょうど制度が変わる時期で、給付金の業務も重なって、いつも以上に繁忙期が慌ただしかったですね。
ーそのなかで支えになったことはありましたか?
林原:年齢の近い若手職員が近くにいてくれて。大変でしたけど、一緒に助け合いながら仕事を覚えていけたのは大きかったです。すぐに相談もできて、やりやすかったですね。
ー仕事のなかで難しいと感じた部分はありましたか?
林原:突発的なことへの対応ですね。マニュアルには書いていないような状況が窓口でパッと起こることもあって、そういうときの対応が最初は難しかったです。でも1年通してみると、他の業務にも少しずつ触れる機会が増えて、慣れてきた感覚はあります。
ー民間との違いで感じたことはありましたか?
林原:民間企業にいた頃は外に出る機会が多かったので、ずっとデスクにいることは慣れなかったですね。でも税務課は窓口に市民の方がたくさん来られるので、人と接する機会は意外と多いです。7月以降は繁忙期も落ち着いて、メリハリがあるぶん計画も立てやすいし、休みも取れています。

乳幼児健診の現場で、気づいたこと。保健師という仕事のやりがい
ー越智さんは保健師として、どんな仕事をされているんですか?
越智:大きく分けると2つで、母子保健と成人の健康づくりです。1年目は母子保健を担当していて、乳幼児健診を通じて子育て中の家族のサポートに携わりました。今年から成人の担当になって、病気の予防を目的とした健康教育や健康づくりの取組みを進めています。虫歯予防の取組みや健康教育なども、これから企画していく予定です。
ー看護師と保健師では、仕事の捉え方が違いますよね。
越智:全然違います。看護師のときは透析患者さんと関わることが多くて、週3回透析を続けながら生活する大変さを間近で見ていたので、まず予防が大事だなとずっと感じていました。保健師はまさにその予防の側を担う仕事なので、やりたかったことに近いです。
事務作業や決裁の仕組みに慣れるまでは大変でしたけど、「困ったことがあれば係の人に何でも聞いて」という雰囲気があったので、誰かを捕まえて教えてもらいながら覚えていきました。
乳幼児健診後も、一人ひとりの状況に応じて必要な支援につなげていく体制があることが、この職場の魅力だと感じています。私自身、関東で子育てをしていた頃は、利用できる支援があっても、自分から情報を探さないと分からないことが多くありました。こちらで働くようになり、必要な方に必要な支援が届くよう丁寧に取り組んでいる環境に触れ、その手厚さを実感しています。自治体の規模もあるかもしれませんが、一人ひとりに寄り添った支援ができるところに魅力を感じています。
「働きやすい」と言えるのはなぜか。境港市役所の職場と雰囲気
ーおふたりとも、職場の雰囲気はいかがですか?
越智:上の先輩が、周りをよく見てくださってコミュニケーションを取ってくれるんです。1年目で違う係に異動になって不安だったんですが、困ったときはみんなが助けてくれる環境だと感じています。子育て中の先輩も多くて、残業の多い日は「早く帰りなさい」「休み取れてる?」と声をかけてもらっています。
林原:部署によって違うとは思いますが、自分の経験では、本当に働きやすいと感じています。税務課は繁忙期と閑散期のメリハリが明確なので、休みも取りやすいし、計画が立てやすい。それに市役所にはサッカーチームがあって、年次もバラバラな職員同士が集まって練習したりリーグ戦に出たりしています。そういう横のつながりがあるのも、いい職場だなと思う理由のひとつです。
ー最後に、境港市役所での仕事をめざしている方へメッセージをお願いします。
越智:困ったことがあっても、誰かが必ず助けてくれる環境だと思います。私自身、転職・子育て・Uターンといろんな変化が重なりましたが、職場のみなさんに支えられてここまでやってこられました。一歩を踏み出すのが不安な方も、安心して来てほしいなと思います。

林原:民間から来た自分からすると、思ったよりも人と接する機会が多くて、仕事にやりがいを感じています。メリハリのある働き方が好きな人や、地元でずっと働き続けたいという人には、合っている職場だと思います。

ーありがとうございました。
画面越しに話してくださったおふたりの言葉は、飾り気がなくて、その分とても信頼できるものでした。民間からのキャリアチェンジ、東京からのUターン——それぞれの「転換点」は違っても、「ここで働いてよかった」という実感は共通していました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年5月取材)



