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構造設計の専門職から市役所建築職へ。たつの市職員が語る「やれることが広がる」仕事の手触り

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2026/07/28

構造設計の専門職から市役所建築職へ。たつの市・藤井さんが語る「やれることが広がる」仕事の手触り

 

「建築といっても、工事から行政まで、ほんまに広く携われる。転職前よりずっとやれることが広がりました」

 

そう語るのは、たつの市役所都市政策部建築住宅課で建築職として働く入庁8年目の藤井さん。大学院修了後、民間建設会社で構造設計の専門職として10年間キャリアを積んだのち、地元・たつの市への転職を決断した。

 

今回は、建築職として自治体で働くことを考えている方に向けて、仕事の内容・働く魅力・職場の雰囲気について、藤井さんにじっくり語っていただきました。

 

地元に引き寄せられた。10年越しの「ここかな」という直感

 

ーこれまでのご経歴を教えてください。

 

藤井:大学院の修士課程を出てから、民間の建設会社に構造設計として入社しました。構造設計というのは、柱や梁といった建物の骨格にあたる構造体を設計する専門分野です。最初の5年は東京で、その後広島に異動して、合計10年間在籍しました。タワーマンションやオフィスビルといった大規模建築が中心でしたね。

 

ーなぜそのタイミングで転職を考えたのですか?

 

藤井:いずれは地元に帰りたいという思いはずっとあったんですが、いつと決めていたわけじゃなかったんです。漠然とそう思っていたところに、たつの市役所の建築職が何年かぶりに募集があると知って。「このタイミングかな」という直感がありました。

 

ーとはいえ、市役所の建築職がどんな仕事か、詳しく調べて受けたわけではなかったそうですね。

 

藤井:正直そうです(笑)。きちんと調べ上げた上で受けたというわけではなくて。前職では公共との仕事もほとんどやったことがなかったので、市役所の建築部門が何をしているのか、あまり分からないまま飛び込んだ感じです。

 

知らないことだらけ。それでも意外とすんなり入れた理由

 

ー入庁してみて、ギャップはありましたか?

 

藤井:大きかったのは、営繕業務(公共施設の設計・工事発注)以外の行政系業務がまったく分からなかったことです。住宅の耐震化補助金だったり、建築基準法に基づく窓口対応だったり。建設会社では触れてこなかった分野なので、最初は本当に何も分かりませんでした。業務全体で言うと、営繕が6割、行政系が4割くらいのバランスで、半分近くが未知の仕事でしたね。

 

ーそれは不安ではありましたか?

 

藤井:ありました。構造設計という限られた分野しかやってこなかったので、建築全体で見てもまだまだ知らないことはたくさんあって。工事発注の分野でも、他の設備系や仕上げ系の知識は現場でちょっと聞いたことがある程度でしたから。

 

ーそのなかで、どのように仕事を覚えていったのでしょうか?

 

藤井:私が入庁したときは、10年ぶりくらいの建築職の採用だったと聞いていて。私と同世代が1人いるほかは、ほとんど上の方ばかりという構成でした。中途入庁だとどうしても「聞きにくい」と思いがちですが、皆さんが本当に良くしてくださって。分からないことをそのままにせず教えてもらえる環境だったので、助かりました。

 

設計から改修工事、行政まで。「やれること」が一気に広がった

 

ー仕事の幅が広がったと感じる場面はどんなところですか?

 

藤井:前職では、タワーマンションやオフィスビルの構造設計という、建築の中でも本当に限られた分野しかやっていなかったんです。それが市役所に入ると、設計業務はもちろん、改修工事・新築工事の発注者として工事全体に携わるし、建築行政の窓口業務もある。建築という一言でも、こんなに広いんだと驚きました。

 

ー発注者側に立つというのは、民間と比べて何が変わりましたか?

 

藤井:前職は受注者側だったので、いただいた図面をもとに作っていく立場でした。もちろん「こうした方がいいんじゃないか」と提案することはありましたが。市役所では逆に、こういう改修がしたいとか、この施設をこうしたいとか、上流から考える立場になりました。施設を使う方の声を聞いて、それを工事業者さんと一緒に形にしていく。やれることの幅が広がった、という感覚があります。

 

ーこれまでで特に印象に残っている案件はありますか?

 

藤井:地方自治体なので改修工事が多いんですが、集会所の新築工事をゼロから担当させてもらったことは特に記憶に残っています。今は市営住宅の新築にも携わっていて、やっぱり新しく建てるものには思い入れがありますね。ただ、学校のエアコン設置工事や雨漏りの改修工事も、完成して「快適になった」「直ってよかった」となったときはすごくうれしいんです。自分が担当した建物が、まちの中で実際に使われている。公共施設に携われるというのは、民間にはなかったやりがいだと思います。

 

40代と18歳が同じ現場で。建築住宅課で今、求めている人材

 

ー現在の職場の構成を教えてください。

 

藤井:課長含めて7名くらいの規模です。私の後に入ってきたのが1名で、高校卒業して2年目の若い方です。私が入庁したときも10年ぶりの採用で、ベテランの方が多い構成でした。今もちょうど、40代の私と18歳くらいの職員というような状況で、間の世代がぽっかり空いている感じですね。

 

ーその若手職員への指導はどのようにされていますか?

 

藤井:私が一緒に仕事をしながら建築の知識を教えています。40代と18歳で世代のギャップはありますし、社会人としての経験値も全然違うので、そこは意識しながらやっています。ただ成長してもらわないといけないので、必要なことはしっかり伝えるようにしています。

 

ーワークライフバランスについてはいかがですか?

 

藤井:これは本当に整っていると思います。入札が集中する年度前半や、工事が完成する2〜3月は少し忙しくなりますが、それ以外は残業も少なくて、基本的には定時で帰れるよう心がけています。地元での採用なので、高校時代の知り合いが同僚にいたりもして、仕事以外でも良くしてもらっています。

 

ー最後に、建築職をめざしている方へメッセージをお願いします。

 

藤井:私自身、市役所の建築職がどんな仕事か、あまり分からないまま飛び込みました。でも入ってみると、工事発注から建築行政まで、建築という仕事の幅の広さに驚かされました。民間で設計や施工管理の経験がある方はもちろん、建築を幅広く学んでみたいという方にも、面白い仕事だと思います。ぜひ一緒に働きましょう。

 

ー本日はありがとうございました。

 

画面越しに話してくれた藤井さんは、終始穏やかな口調で、言葉を選びながら丁寧に答えてくれました。「広がった」という言葉が何度も出てきたのが印象的です。構造設計という専門性の高い仕事を10年積み上げた後、あえて「分からないことだらけ」の場所に飛び込んだ。その選択を後悔していないことは、話しぶりから伝わってきました。地元で、まちの建物に携わる仕事。それは、東京のタワーマンションとは違う手触りの充実感を、藤井さんに届けているようでした。

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年5月取材)

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