「市役所の仕事」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
住民票・健康保険・税に関する届け出や各種証明書の発行など、窓口における手続きを思い浮かべる人が多いと思いますが、それだけが市役所の仕事ではありません。
市役所には、窓口業務など皆さんの目に触れる仕事から、縁の下で支えている仕事まで、多岐にわたる仕事があります。
今回の特集では、41職種ある佐世保市の市職員のうち、獣医師・保健師・土木職・事務職(埋蔵文化財担当)として働く4人の職員に、働くことの魅力や仕事のやりがいなどを聞きました。
獣医師
食肉衛生検査所 德永 佳三さん
▶学んだ知識を生かして働ける職場
私は現在、公衆衛生獣医師として働いています。公衆衛生獣医師とは、人の健康と安全な暮らしのために、獣医学の知識を生かし、食品の安全確保や、動物から人に感染する病気のまん延防止などに取り組む獣医師のことです。
食肉衛生検査所での具体的な仕事内容は、牛・豚・鶏などを食肉にするに当たっての病気の検査と、畜場や食鳥処理場の衛生監視などです。以前所属していた生活衛生課では、飲食店や食品を製造販売する施設の監視指導や、食中毒を疑う事例の原因調査などを行っていました。また、別の部署である動物愛護センターでは、狂犬病のまん延を防ぐための取り組みの他、引き取った犬猫の検 査や治療、動物のしつけ方講習などを行っています。
公衆衛生獣医師の仕事は幅が広く、知識を深めたりスキルを磨いたりする余地がとても大きいと感じています。獣医師の仕事としてあまり知られていない部分はありますが、やってみて分かる面白さがありますし、専門知識を生かして働けることはモチベーションの一つになっています。
今後は、小学生の職場見学イベントや獣医学生向けイ ンターンシップなど、若い獣医師の確保や育成につながる活動にも注力し、私たち公衆衛生獣医師が末永く地域 に貢献できるようにしていきたいです。
(取材日 2025年2月25日)
保健師
すこやか子どもセンター 江上 薫さん
▶皆さんに頼ってもらえることがやりがい
保健師とは、地域の皆さんの健康の保持・増進や病気の発症予防、また、病気の進行予防への働きかけ、病気や障がいとうまく付き合いながら生活をしていくための支援など、公衆衛生看護としての役割を担っています。高校生の時に、病気の予防に働きかける職種があることを知って保健師を目指すようになり、病院での看護師経験を経て現在保健師として働いています。
現在、私は「母子保健業務」を担当しています。母子健康手帳を交付する際に面談をしたり、妊産婦や乳幼児の健康を保持するために、健診や家庭訪問の場などで相談対応や保健指導をしたりしています。
また、地区担当者として名前を覚えていただいて対応することもあります。市民の皆さんの反応を直接うかがえますし、困っている人をそばで支えられます。皆さんに頼りにしてもらえているなと実感できることがこの仕事の魅力だと感じています。
すこやか子どもセンターの前は、長寿社会課に所属しており、介護予防や認知症対策に関する仕事をしていま
した。地域の仕組みづくりや認知症予防の教室や講話なども行っていました。
一つの分野に特化するのではなく、どの分野でも柔軟な考え方を持ち、広い視野で物事を見られる保健師になりたいです。
(取材日 2025年3月3日)
土木職
河川課 草場 龍さん
▶携わったものが形で残ることが魅力
私は、現在河川課に所属しており、「土砂災害ハザードマップ(災害予測地図)の作成」「民地災害調査」「急傾斜施設の整備」の3つを主な業務として担当しています。
⾧崎県は土砂災害警戒区域(通称イエローゾーン)・特別警戒区域(通称レッドゾーン)の指定数が全国で二番目に多く、いつどこで災害が起こるか予測が難しい地域であるため、日頃の備えとして土砂災害ハザードマップを作成し、周知を行っています。
実際に土砂災害が起こった際は、現場で調査を行い、被害状況を確認の上、県へ報告します。また、地元からの急傾斜施設の整備要望に対しては、採択条件を満たした場所に限り整備を実施しています。
この事業では、設計から工事監理まで携わることができます。急傾斜施設の整備に限らず、自分で設計したものが形になり、それを皆さんに利用してもらえることや、実際に地図に残ることが、この仕事の魅力だと思います。
これからもさまざまな現場に携わり、知識や経験を積んで、市民の皆さんに頼られる職員になりたいです。
(取材日 2025年3月3日)
事務職
文化財課 溝上 隼弘さん
▶将来へ文化財をつなぐ大切な仕事
私たち埋蔵文化財担当職員は、基本的に学芸員資格を持っており、埋蔵文化財はもちろんのこと、それ以外の文化財の保存や活用に関する業務も行っています。
埋蔵文化財は、文字通り土の中に眠っている文化財のことで、本市では約 510 カ所以上確認されています。土木工事の開発などがある場合に、必要に応じて現地調査や発掘調査を行い、出土した遺物や遺構の記録を写真や図面に残します。それを最終的に調査報告書として刊行し、後世に文化財を残すための記録保存の業務を行っています。
本市の文化財といえば、世界文化遺産「黒島の集落」や特別史跡「福井洞窟」、国重要文化財「針尾送信所」、日本遺産「鎮守府・佐世保」「日本磁器のふるさと 肥前」などが有名です。私は、その中でも三川内焼の調査研究業務を担当しています。歴史的にまだ分かっていないこともありますが、少しでも新たな知見を深めたいです。
また、この仕事は今まで知らなかったことを学ぶ機会が多くあり、専門の研究者との出会いやさまざまな知識を得られる楽しさもあります。それらの知識や楽しさを市民の皆さんにもいろいろな機会を通して伝えていきたいです。
(取材日 2025年3月3日)