うきは市役所で土木技師として働く米倉さんのインタビュー記事です。
幼い頃からの「物づくり」への興味を胸に、土木技師の道へ。
市民の暮らしを支える道路や河川の整備に携わる中で感じるやりがいや、入庁後に感じたギャップ、そして「笑いが絶えない」という職場の雰囲気について、等身大の言葉で語っていただきました。
「物づくり」への興味から土木技師の道へ
ーまずは自己紹介と、公務員・土木技師を目指したきっかけを教えてください。
米倉:出身は福岡県の大刀洗町で、生まれも育ちも大刀洗です。高校は久留米市にある祐誠高等学校の土木科を卒業しました。
土木技師を目指したきっかけは、小学生の頃に見たリフォーム番組です。建物が生まれ変わる様子に感動し、「物づくり」への興味が芽生えました。
もともと物づくりが好きで、兄と二人で祖父の家の資材を使って掘っ立て小屋みたいなのを作って遊んだりしていました(笑)。そういう経験から、漠然と「物づくり系の仕事がしたいな」と思うようになったんです。
公務員を意識したのは、自治体職員だった祖父の影響と、安定した職に就きたいという思いからでした。また、中学生の時に不登校を経験した際、多くの人に支えてもらった経験から「人の役に立ちたい」と強く思うように。
安定した環境で、人の役に立てる仕事。その二つが重なって、自然と公務員という道、そして自分の好きな物づくりに関われる土木技師という仕事を目指すようになりました。

ー数ある自治体の中から、うきは市を選んだ決め手は何ですか?
米倉:正直に言うと、高校生の時に他の自治体の公務員試験もいくつか受けたんですが、一度全部落ちてしまって(笑)。どうしようかなと思っていた時に、高校の担任の先生がうきは市の募集を教えてくれたのが直接のきっかけです。
そこから自分でうきは市について調べてみると、災害、特に大雨による被害が多い地域だということが分かりました。高校で学んできた土木技術が、このまちの防災や復旧に直接活かせるんじゃないか、人の役に立てるんじゃないかと思ったんです。
ー入庁前後でギャップはありましたか?
米倉:「思ったよりデスクワークが多いな!」ということでしたね(笑)。土木技師ってもっと現場に出ているイメージがあったんですけど、入庁して半年くらいは「こんなに現場に出ないんだなぁ」と思っていました。
一日中座って書類仕事をしている日もあって。自分、もともとじっとしているのが苦手なタイプで、学生時代も落ち着きがないって言われるくらいだったので、最初は少し戸惑いました。
でも、入庁から半年が経つぐらいから、だんだんと現場に出る機会も増えてきました。今では逆に「今日1日ずっと現場だったな」という日もあって、バランスが取れてきたように感じます。
市民の暮らしを支える土木技師の仕事
ー現在の仕事内容を具体的に教えてください。
米倉:所属は建設課の公共土木係です。主な仕事は、市道の維持管理と改良工事ですね。道路に穴が開いていたり、傷んでいたりする場所を補修する「維持」と、道幅を広げたり、安全性を高めたりする「改良」の二つが中心です。
それ以外にも、「道路河川愛護」という、地域の皆さんに道路沿いの草刈りなどをお願いする活動の担当をしています。これは、うきは市を3つくらいの地区に分けて、春と秋に行っている活動で、日曜日に出勤することもあります。
また、「道守(みちもり)」といって、地域の皆さんが道路を大切にし、様々な活動を通じて、地域住民の意識を高め、美しい地域づくりに貢献していただく活動です。特にうきは市では国道沿いにコスモスを植えて景観を良くする活動や日々のごみ拾い、草取りをしていただき道路を清潔に保っていただいてます。
工事の規模で言うと、年間で予算が決まっている大きな工事は、維持工事が3〜4本、改良工事が2本くらいです。
ただ、それとは別に、地元の区長さんや住民の方から「ここを直してほしい」「ここが壊れている」といった要望が本当にたくさん寄せられます。昨年度で言うと、小さな維持工事が100件から200件くらいはあって、そのうちの何十本かを担当しました。

ー災害時の対応はどのように行っていますか?
米倉:うきは市は雨が多いので、災害対応は重要な仕事です。大雨の警報が出て、避難指示などが出た場合、出るかもしれないような予報の際には市役所に泊まって待機しています。夜中や朝方に雨が強くなることが多いので、いつでも出動できるように備えるんです。
ただ、雨が降っている最中は、二次災害の危険もあるので現場には出れません。これは職員の安全を守るためのルールで、雨が止んでからが本当の勝負です。
雨が上がったら、係の職員全員で一斉に市内をパトロールします。2人以上で行動するのが原則で、危険な場所には1人では行きません。
現場では、道路の崩落や陥没などの被害状況を写真に撮って、アプリを通じてリアルタイムに情報共有します。
令和5年の豪雨の時は、本当に何百件という被害があって、日中はひたすら現場を回って写真と位置情報を送り、夕方に事務所に戻ってから、その情報を図面に落とし込んで、緊急性の高い場所から業者さんに修繕を依頼するという作業が、1週間くらい続きました。
その後も、緊急性が低く後回しになっていた現場の箇所をひたすら業者さんに復旧してもらい、本当に大きな現場では、「災害査定」という被害箇所の復旧事業について国がその費用を負担する際に、被害の状況や復旧工事の妥当性を国の方が現地で調査し、費用を決定する手続きがあるのですが、この申請の期間が決まってそれの準備などが本当に大変です。
結局、災害査定が落ち着くのは10月とかで、その後も、すぐ災害箇所の発注とかの作業に入るので、災害がある年は本当にずっと何かしてる感じですね。
「ありがとう」が原動力:仕事のやりがいと大変さ
ー仕事のやりがいや魅力を感じるのはどんな時ですか?
米倉:一番は、自分の仕事が目に見える形で街に残ることですね。自分が1年目や2年目の時に担当した道路を今、車で通ると、「あ、ここやったやつだ!めっちゃ綺麗になっとる!」って思うんです(笑)。
道路や川の補修って、成果がはっきりと形として見えるじゃないですか。これは他の部署ではなかなか味わえない、土木技師ならではのやりがいだと思います。
それに、住民の方から直接「ありがとう」って言ってもらえることも大きな原動力です。道路の補修が終わった後に、わざわざ電話をくださったり、窓口に来て「早く対応してくれてありがとうね」ってお礼を言われたりすることがあって。
最近もそういうことがあって、「ああ、この仕事やってて良かったな」と心から思いました。

ー逆に、仕事で大変なことや厳しさを感じる部分はありますか?
米倉:もともと話すのが苦手なので、業者さんや地元の区長さんとの調整には今でも苦労しています。
工事を進めるには、日程調整や通行規制のお願いなど、色々な方とのコミュニケーションが不可欠なんです。ついつい後回しにしてしまって、結果的に工事が遅れて自分が苦労する…なんてこともありました。
また、住民の方からの要望に、どうしても応えられない時があるのが一番心苦しいですね。ご要望の背景には「本当に困っている」という切実な思いがあるのは分かるんですが、技術的に難しかったり、莫大な費用がかかったりして、すぐには改善できないケースもあります。
そういう時に、現状を説明してご理解いただく、その伝え方が本当に難しくて。申し訳ない気持ちでいっぱいになりますが、誠実に対応することを心がけています。
笑いが絶えない職場:風通しの良い人間関係とワークライフバランス
ー職場の雰囲気はいかがですか?
米倉:入庁前の「お役所」のイメージとは全然違って、めちゃくちゃ明るいですね(笑)。本当に、職場では笑いが絶えません。
職員同士の年齢は10歳くらい離れてて自分が一番年下なんですが、皆さんすごく気さくで話しやすいです。今は異動しちゃったんですが以前いた先輩は本当におしゃべりな方で、いつも職場を盛り上げてくれましたし、今のメンバーも分からないことがあれば気軽に聞ける雰囲気です。
最近、役所のシステムが新しくなったんですが、そういう時は逆に「若いから慣れとるやろ?」って先輩たちから頼られたりもします。お互いに教え合ったり、助け合ったりできる、すごく風通しの良い職場だと思います。
ーワークライフバランスについてはいかがですか?残業や休暇の取りやすさを教えてください。
米倉:残業は、繁忙期はどうしても多くなります。年度当初の4月や、災害が起きた夏から秋、そして年度末の2月・3月は、月30〜40時間くらいになることもあります。それ以外の時期は、自分の仕事の進め方次第ですが、毎月10時間程度ですね。
休暇は、めちゃくちゃ取りやすいです!親に話すと驚かれるんですけど、「今日の昼から休みます」っていうのも全然OKなレベルで(笑)。
もちろん、仕事の調整は必要ですけど、周りの理解があるので、プライベートの時間もしっかり確保できています。
ー最後に、これからうきは市役所を目指す皆さんにメッセージをお願いします。
米倉:うきは市役所は、年齢に関係なく、みんなが話しやすい雰囲気の中で仕事ができる職場です。私が入庁前に抱いていた堅苦しいイメージは全くなくて、毎日笑いが起きるような明るい場所です。
大変なこともありますが、それ以上にやりがいを感じられる仕事がたくさんあります。ぜひ、私たちと一緒にうきは市で働きましょう!ご応募、お待ちしています。

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年7月取材)