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対馬市役所

 大陸と九州の間に位置する対馬市は、平成16年3月に誕生した一島一市の島で、佐渡、奄美大島に次ぐ日本で3番目に大きな島です。  本市は、「みんなで目指そう!自立と循環の宝の島 対馬」をキャッチコピーとし、「みんなが主役になる希望の島」、「地域経済が潤い続ける島」、「支え合いで自立した島」、「自然と暮らしが共存する島」を目指すべき将来像に掲げ、さまざまな事業に取り組んでいます。

商工、地域振興、そして広報公聴へ。対馬市の最前線で多様な業務に挑む職員のキャリア

対馬市役所

2026/05/28

対馬市出身、高校進学時に島外へ出て、Uターンで入庁した築城さん。入庁以来、商工、地域振興、そして現在は広報公聴と、幅広いフィールドで経験を積んできました。


多様な業務で住民や事業者と直接向き合い、時には厳しい声を受け止めながらも「ありがとう」の言葉を力に変えてきた彼に、多角的な視点から見た対馬市役所で働くリアルな魅力とやりがいを伺いました。
 

 


 

Uターンへの決意と、運命を感じた採用枠の新設

ーまずはこれまでの経歴と、公務員を目指そうと思ったきっかけについて教えてください。

 

築城:生まれも育ちも対馬市です。高校は野球をするために島外へ進学し、大学も県内の地域政策学科へ進みました。

 

公務員を意識し始めたのは高校生の頃です。両親の勧めもありましたが、大学3年生になり就職活動が本格化し、自分の進路について改めて考えた際、一番強かったのは「最終的には地元・対馬に戻りたい」という思いでした。

 

ゆくゆく対馬に帰ることを考えると、やはり公務員として働くのが一番イメージしやすかったんです。県庁や国家公務員として九州内で働くことも視野に入れつつ、公務員試験の勉強を始めました。民間企業も検討しましたが、やはり地域に貢献したいという気持ちが勝り、最終的には公務員の道に進もうと決めました。

 

 

ーそこから対馬市役所に入庁されるまでの経緯には、少しドラマチックな展開があったそうですね。

 

築城:実は、大学4年生の時の公務員試験では不合格となり、1年間の就職浪人を経験しました。その1年間は、自分の実力不足と向き合いながら、将来どこでどう働きたいのかをじっくりと見つめ直す時間になりました。

 

そんな時でした。それまで高卒程度の採用枠でしかなかった受験できなかった対馬市に、自分に合った「大学卒業程度」の採用枠が、ちょうどそのタイミングで新設されることになったのです。「これは何かの縁かもしれない」と強く感じました。

 

元々対馬に帰りたいという思いはありましたが、自分に合った枠ができたことで、迷わず対馬に戻って地域に一番近い立場で住民の暮らしを支えようと決意しました。あの時、諦めずに再挑戦を選んだことが、今の自分に繋がっていると思います。

 

 

物産、観光、そして地域振興。現場で培った対応力

ー入庁されてからはどのような業務を担当されてきたのですか?

 

築城:平成31年度(令和元年度)に入庁し、最初の4年間は観光交流商工部の「観光商工課」に配属され、私は主に物産振興や消費者行政、そして観光統計業務を担当しました。

 

物産振興では、市内の事業者さんの支援や、島外で開催される観光物産展への出展サポート、補助金関連の業務などを行いました。

 

また、消費者行政も担当しており、消費生活相談員の方と連携しながら、近年増加しているフィッシング詐欺や通販トラブルなどの相談対応にあたっていました。統計業務としては、年に一度県が発表する観光客数などのデータをとりまとめる仕事もありました。

 

商工と観光、そして消費者対応と、守備範囲が広くて目が回るような忙しさでしたが、その分、対馬の産業や島民の生活実態を広く知ることができた4年間でした。

物産展の様子

ーその後は地域振興課へ異動されたと伺いました。

 

築城:はい。5年目からは中対馬振興部の「地域振興課」で2年間勤務しました。ここでは、中対馬地域の活性化を目指す「中対馬アクションプラン」に基づいた事業の推進や、施設の管理業務を担当しました。

 

具体的には、キャンプ場のライトアップイベントやキャンプイベントの企画・運営を行ったり、「峰町共同集合店舗」という商業施設や、「ほたるの湯」という温泉施設の管理を行ったりしました。

 

施設管理業務では、配管のトラブルや雨漏りなど、放っておくと大きな事故や大規模な修繕に繋がってしまうので、日々の点検で見つけ出し、傷が浅いうちに小規模な修繕で対応する。そうやってコストを抑えながら、住民の皆さんが安心して使える環境を維持するのも大切な仕事でした。

 

 

総務課での新たな挑戦と、忘れられない「ありがとう」

ー現在はどのような業務を担当されているのでしょうか?

 

築城:今年の4月から総務部総務課に配属となり、現在は広報・秘書業務を担当しています。広報誌の作成や、ホームページ、LINE、Instagramなどを活用した情報発信、そして市長・副市長の秘書業務のサポートが主な仕事です。

 

これまでの部署とは異なり、市全体の動きを把握して対外的に発信していく役割なので、また違った難しさと面白さを感じています。

デスクワークの様子

ーこれまで様々な部署を経験されてきましたが、特に印象に残っているエピソードはありますか?

 

築城:一番印象に残っているのは、入庁して間もない頃に観光商工課で経験した、コロナ禍での緊急支援事業です。当時、観光客が激減し、対馬の基幹産業である観光業や地域の事業者さんは、かつてない苦境に立たされており、私たちはその最前線で給付金等の申請受付や案内に奔走していました。

 

短期間で膨大な申請を処理しなければならず、緊迫した状況でしたが、手続きに来られた事業者の方々から「本当に助かったよ」「ありがとう」と直接声をかけていただいた時、張り詰めていた気持ちが救われる思いがしました。

 

自分が必死に取り組んでいる仕事が、目の前の誰かの生活を支え、地域の存続に繋がっているんだと肌で実感できた瞬間でした。あの時の「ありがとう」の言葉は、今でも私の仕事の原動力になっています。

 

 

住民との距離の近さが生む、厳しさと温かさ

ー対馬市で働く上での「厳しさ」や「難しさ」を感じることはありますか?

 

築城:市役所という場所柄、どうしても市民の方との距離が近いので、良くも悪くもダイレクトな反応が返ってくるところですね。

 

何かトラブルがあった時や、政策に対してご納得いただけない時など、厳しいお叱りの言葉をいただくことも少なくありません。特に総務課にいる今は、市政全般に対する厳しい指摘を受けることもあります。

 

ですが、そういった厳しいご意見の中には、「確かに私たちに配慮が足りなかった」「もっとこうすべきだった」と気づかされる視点が含まれていることも多いんです。

 

お叱りを受けるのは辛いですが、それを真摯に受け止めて改善に繋げていくことが、より良い行政サービスを作るためには不可欠だと感じています。

 

 

ー逆に、対馬市ならではの魅力や働きやすさはどう感じていますか?

 

築城:やはり「人の温かさ」ですね。これは月並みな表現かもしれませんが、対馬に住んでいると本当にそう感じます。島外から移住してこられたIターンの方に対しても、皆さんすごくウェルカムな雰囲気で受け入れてくれますし、職場でも年齢や役職に関係なく、何でも相談しやすい空気があります。

 

休暇についても、例えば今年の夏は夏季休暇を5日間しっかり取ることができました。

選挙やイベント前などの繁忙期はもちろん残業もありますが、基本的には業務を調整して定時で帰れる日も多いです。ワークライフバランスは比較的とりやすい職場だと思いますね。

 

 

ー生活環境についてはいかがでしょうか?離島というと不便なイメージを持たれる方もいるかもしれません。

 

築城:そうですね、私も島外の大学に行っていたので、都会の便利さは知っていますが、私が今住んでいるエリアにはスーパーもドラッグストアもホームセンターもありますし、対馬での生活で困ることはほとんどありません。

 

もちろん、映画館や大きなショッピングモールはありませんが、その分、豊かな自然や歴史的な史跡が身近にあります。国境の島ならではの韓国との交流の歴史や、金田城などの古代山城など、歴史好きにはたまらないスポットも多いです。

 

休日は野球部やソフトボール部の仲間と汗を流したり、子供と一緒に公園へ出かけたりと、家族との時間も大切にしながら充実した時間を過ごせていますよ。

野球部の活動の様子

対馬の未来を共に創る仲間へ

ー最後に、これから対馬市役所を目指す方へメッセージをお願いします。

 

築城:対馬市役所の仕事は、デスクワークだけにとどまりません。現場で事業者さんと対話したり、イベント運営で汗を流したり、施設の修繕に奔走したりと、その内容は実に多岐にわたります。

 

しかし、そのすべての業務が、対馬で暮らす人々の生活に直結しているのです。時には厳しいご意見をいただくこともありますが、それ以上に「ありがとう」という感謝の言葉や、地域の役に立っているという確かな実感を得られる瞬間がたくさんあります。

 

対馬出身の方はもちろん、市外の方でも「地域に深く関わりたい」という熱意のある方なら大歓迎です。

対馬の温かい人たちと共に、この島の未来を創っていきませんか?私たちと一緒に働ける日を心から楽しみにしています!

 

 

ー本日はありがとうございました。

 

「これは何かの縁かもしれない」。新設された採用枠の話を聞いた時のことを、築城さんは懐かしそうに振り返ってくださいました。

 

一度は道を閉ざされかけながらも、故郷への想いを捨てずに掴み取った職員という立場。その言葉の端々からは、対馬という土地への深い愛着と、そこで暮らす人々を守りたいという静かながらも熱い使命感が伝わってきました。

 

対馬の未来は、築城さんのような方々の温かい手によって支えられているのだと感じた取材でした。

 

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年12月取材)

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