「地元の人たちとの関わりを、どうやって活かせるか」
そう語るのは、対馬市役所保健部長寿介護課で社会福祉士として働く阿比留瑚白さん。令和8年度入庁で、現在4カ月目を迎えています。大学卒業後、対馬市役所に入庁。地域包括支援センターで、高齢者やその家族の支援に携わっています。
今回は、対馬で生まれ育った阿比留さんに、社会福祉士としての仕事内容や対馬市で働く魅力について、たっぷりとお話を伺いました。
- 選択肢を広げるため熊本へ。高齢化率の高いふるさとへ戻る決意
- 一人ひとりの暮らしに向き合う。ケアプランに込めた寄り添い
- 「ありがとう」の言葉が支えるやりがいと、あたたかい長寿介護課の空気
- 休日は海へ。人のあたたかさが魅力の対馬で描く、社会福祉士としてのこれから
選択肢を広げるため熊本へ。高齢化率の高いふるさとへ戻る決意
ー阿比留さんのご出身を教えてください。
阿比留:出身は対馬です。豊玉町というところの出身で、高校までは地元の対馬高校に通っていました。もともとは養護教諭をめざしていたのですが、もう少し進路の幅を広げたいと考えていたときに、熊本の九州看護福祉大学を見つけました。
そこで社会福祉士にも興味を持ち始め、社会福祉士と養護教諭の両方をめざせる環境だったので進学を決めました。弟が熊本にいたこともあり、親も後押ししてくれました。
ー養護教諭をめざしていたとのことですが、そこにはどんな思いがあったのでしょうか。
阿比留:もともと憧れていた先生がいて、その方のように児童・生徒を包み込めるような養護教諭になりたいという思いがありました。今も、利用者さんをご家族ごと安心させられる存在になりたいという根本の部分は変わっていません。
ー大学時代には、どのような資格を取得されたのですか。
阿比留:卒業時に養護教諭の資格を取得し、4年生のときに受けた国家試験で社会福祉士の資格も取得しました。
ー就職活動の状況と、対馬市を選ばれた理由を聞かせてください。
阿比留:最初は養護教諭の採用試験を考えていて、長崎県の教員採用試験を5月に受けたのですが、倍率が高く勉強も不足していて残念ながら不合格でした。そこから社会福祉士としての進路を探すなかで、対馬市役所の採用試験を見つけました。
対馬は高齢化率が高く、大学時代に住んでいた市町村と比べても高齢者の割合が高いと感じていました。地元で活躍できる人になりたいという思いに加えて、地元の人たちとの関わりをどう活かせるかを意識しながら試験に臨みました。

一人ひとりの暮らしに向き合う。ケアプランに込めた寄り添い
ー日頃の業務内容と、実際に支援したケースで印象に残っているものはありますか。
阿比留:地域包括支援センターで、支援が必要な方のケアプラン作成を中心に担当しています。最近担当した方は、一人暮らしの高齢者で、ご家族も近くにはいらっしゃらない方でした。ご本人とご家族の住まいが対馬の中でも離れていて頻繁に会えず、体調や食事面での心配があるということで、デイサービスの利用につなげました。
今後は配食サービスの利用も含め、ご本人の様子を見ながらご本人・ご家族と相談していく予定です。
運転が得意でない方や、道が狭くてバスとすれ違うのが怖いというご家族からの声も多く、そうした距離や地理的な事情が、そのまま暮らしの困りごとにつながっていると感じています。
また、高齢者の免許返納後の移動についても、バスの便数が少なく、不便といった困りごとをよく耳にします。移動支援をどれだけ拡充できるかが今後の大きな課題だと感じます。
ーケアプランを立てる際に大切にしていることはありますか。
阿比留:一人暮らしの方には見守りの観点からデイサービスをおすすめしています。休みの連絡がない場合は迎えに行ってもらえるので何かあった際の早期発見につながりますし、送迎の際の職員さんからの声かけも見守りになります。
ご家族と同居していて介護負担が大きい方にはショートステイの利用を提案するなど、その方やご家族の状況に合わせて、一番安心できる形を一緒に考えるようにしています。
ーサービスの内容が変わることに戸惑う利用者さんへは、どのように向き合っていますか。
阿比留:今年の4月にデイサービスの一部が廃止になり、デイケアに通うことになった方もいます。デイサービスは交流が中心ですが、デイケアはリハビリが中心なので、職員さんからの声かけの仕方などに違いを感じて戸惑う方もいらっしゃいます。
そういうときはサービスの目的が違うことを丁寧にお伝えしながら、何もない時間には何をして過ごしているかなど、その方の話にじっくり耳を傾けるようにしています。声かけが足りないと感じる日もあれば、良かったと言ってもらえる日もあるので、一つひとつの声に向き合い続けることを大切にしています。

「ありがとう」の言葉が支えるやりがいと、あたたかい長寿介護課の空気
ー難しさを感じる場面もあるかと思いますが、いかがですか。
阿比留:虐待対応など、正解がひとつではない判断を求められる場面はあります。ご家族も好きでそうしているわけではなく、介護の負担でストレスが溜まってしまっていることも多いので、ご本人を守ることとご家族の心のケアを両方進めていく調整力は、経験を重ねながら少しずつ身につけていきたいところです。
ーそうした場面で、気持ちを切り替えるために意識していることはありますか。
阿比留:長寿介護課には、困難ケースは一人で対応しないという方針があって、虐待対応のような難しいケースでも周りが気にかけてくれるので、それにとても助けられています。
ー逆にやりがいを感じる瞬間はどんなときですか。
阿比留:月1回の訪問時に、利用者さんやご家族から直接「ありがとう」「助かります」と言ってもらえるのはとてもうれしいです。デイサービスにつなげた方が楽しそうに過ごしている様子を見ると、その場でサービスにつなげてよかったと実感できますし、新しく担当した方のプランが完成したときには達成感があります。
学生時代の実習では、利用者さんに困りごとを尋ねても「十分に支援されているので特にない」と言われることが多かったのですが、いまは担当している利用者さんやご家族、新しく相談に来られる方から具体的な困りごとを聞くことができます。実習のときよりもプランを組み立てやすくなり、感謝の言葉やその場の変化として実感できるところが、いまのやりがいにつながっています。
ー働く環境についても伺えますか。雰囲気や休暇の取りやすさはいかがですか。
阿比留:入庁前は堅苦しくパソコンに向かい続けるようなイメージを持っていましたが、実際の長寿介護課はあたたかい雰囲気で、冗談を言い合いながら和気あいあいとしていて働きやすい職場です。新規の利用者さんが重なるなど忙しい時期もありますが、自分のペースで業務を進められていて、休みも取りやすい雰囲気があります。

休日は海へ。人のあたたかさが魅力の対馬で描く、社会福祉士としてのこれから
ー対馬市の魅力はどんなところに感じますか。
阿比留:人と人とのつながりが濃く、困ったときに助けてもらえるところです。休みの日も、暑くなければ海に行くことが多く、海がきれいなことも対馬の魅力だと思います。
ー今後、どんな社会福祉士になっていきたいですか。
阿比留:対馬市の社会福祉士として働けて良かったと感じるのは、自分のペースで仕事ができることです。他の人の業務が回ってくることも少なく、自分の利用者さんに向き合える環境だと感じています。
今はまだ分からないことも多く、頼りない部分もありますが、これから経験を積んで、ご家族から質問されたときにその場で答えられる社会福祉士になっていきたいです。
ー最後に、対馬市を志望する方へメッセージをお願いします。
阿比留:社会福祉士が増えれば他の課への配置も広がると思うので、まずは社会福祉士の方に対馬市へもっと来てほしいという思いがあります。実務経験がある方はもちろん、私のように学生から初めて就職する方でも、親身に教えてくれる先輩がたくさんいるので、安心して来ていただければと思います。

ー本日はありがとうございました。
オンラインでの取材でしたが、画面越しにも阿比留さんの飾らない言葉と、対馬への率直な思いが伝わってきました。入庁4カ月という短い期間ながら、利用者一人ひとりに向き合う姿勢と、それを支える長寿介護課の空気が、対馬市役所という職場の温かさを物語っていました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)



