今回のインタビューに登場していただくのは、長崎県松浦市役所で土木技師として働く川浪光貴さんと、一般事務職として働く本多優衣さんです。民間企業から公務員に転職された経験についてお話を伺いします。
—これまでのご経歴を教えてください。
川浪:松浦市出身で県外の大学を卒業後、佐々町にある民間企業で土木技術職として就職。地質調査及び設計業務を担当していました。
働き始めて6年経った頃、子どもが生まれるタイミングで松浦市に帰ろうと思い、松浦市役所の採用試験を受けて無事に採用されました。既に退職しているのですが、父親が松浦市役所で働いていたこともあり、転職するなら父が働いていた職場で働いてみたいと思うようになったんです。
令和6年に入庁し、土木技師として建設課道路河川係で勤務しています。
本多:私は大学を卒業後、管理栄養士として就職しました。最初は児童養護施設で3年、次に病院で1年半働いたのですが、キャリアチェンジを考えていました。
発注業務や献立作成業務がメインの仕事でしたが、より人に直接関わりながら仕事をしたいという思いもありました。それで、管理栄養士という職種にこだわらなくてもいいかなと思い、自分の希望が叶えられそうな自治体にも選択肢を広げてみたんです。
それで私も令和6年に入庁し、今は長寿介護課介護保険係に所属しています。
—試験勉強、試験自体はどうでしたか?
本多:さほど時間を多く取ったわけではないのですが、公務員試験のための勉強はしました。松浦市役所の採用試験は事務適性検査が実施されるため、その対策として、比較的得意な数学に重点を置いて勉強しました。
川浪:仕事をしながらの転職活動だったので、私も公務員試験に向けての勉強時間は多くはないと思います。
試験は筆記のあとは個人面接で、面接官は4、5人いらっしゃいましたね。
本多:面接官から一言目に「緊張してますね」と言われるほど、私はガチガチに緊張しました。でも、面接官のその一言がやさしいと感じて、その後はリラックスして臨めたと思います。
川浪:面接対策はまったくしていなかったのですが、面接では緊張もせずいつも通り話して終わりました。そのせいか、面接官からは「緊張していないね」なんて言われましたよ。でも、面接官としてもそんな応募者だと面接がやりやすいとも言われました。
—現在のお仕事について教えてください。
本多:入庁後、長寿介護課の介護保険係で働いています。介護保険料の賦課徴収に伴う事務や窓口対応が主な業務です。
事務については、65歳になった月から市町村への介護保険料の納付が始まりますので、納付開始の通知を送ったり、反対に還付が発生したら通知書を作成して還付作業を行ったりしています。6月頃に対象者全員にお送りするので、それまでに1年分の納付書を作成しています。
窓口業務に関しては、相談や申請書の提出に来られた際の対応をしています。市民の方のほか、介護施設の方がいらっしゃることもありますよ。
介護保険係には5名の職員がおり、それぞれに担当する業務が異なります。私は介護保険料の賦課徴収担当ですが、介護サービスを利用した後の給付をする係の方や、介護認定担当の方など、それぞれ主に担当する業務が異なります。それぞれに主な担当業務があるのですが、わからないときにはお互いに質問したり、一緒に業務を進めたりもしています。
6月と8月にボリュームの大きな業務があるのですが、それを乗り越えて、入庁半年くらい経つ頃には業務の大まかな流れを把握できるようになりました。
転職前の希望通り、人と直接関わる機会が増えたので、仕事が楽しいです。直接話して「ありがとう」と言っていただけるのが嬉しいですね。勉強不足な点も多いとは思いますが、これからもがんばろうって思えます。
川浪:私は建設課道路河川係で働いています。松浦市内にある道路や河川など、公共土木施設の維持管理や修繕計画、工事管理が主な業務です。その傍らで、窓口に来られる市民の方の対応をしています。私は人と関わり合うのが好きなので、市民の方と接する業務も好きですね。感謝されて嬉しいですし、やりがいも感じます。
道路河川係内では、側溝の整備事業や道路の新設など、それぞれにメインとサブの業務を担当しています。通常はメインの業務を進めているのですが、緊急対応時にはサブの担当者がメインの担当者と一緒に業務を行うこともあります。現在は、先日の大雨で被災した道路及び河川の災害復旧業務などを担当しています。
道路の補修は多いです。20〜30年経過した道路の修繕もメインになっているのが現状です。
市民の方から「道路の舗装が悪くなっている」と教えていただくこともあります。連絡を受けたらすぐに現場に行き、自分たちで修繕できるものなら即対応し、結果を報告するようにしています。もちろん、もともと計画を立てていた工事もありますが、市民の声も大切です。そこは臨機応変に対応するようにしています。
—研修制度はありますか?
川浪:新規採用者に向けての全体研修が複数回あります。他の市町村と一緒に行われる研修もありました。研修では、グループワークを交えたり、研修後の懇親会もあって、交流を深めるきっかけにもなりましたよ。
本多:専門の業務は配属されてから教わりました。長寿介護課内に私の担当業務を対応していた方もおり、その方にマンツーマンで業務を教えていただきました。その点は非常に安心しましたね。
今でもわからない点はすぐに確認させてもらっています。今は忙しそうだなという時は、他の方に教えていただいたり、質問することを簡潔にまとめておくなど工夫もしています。
川浪:道路河川係の人たちもとても優しい方ばかりです。私が困っている時には何も言わなくても感づいてくれるんですよ。積極的に話しかけてくださることもあって、私からも話しかけやすい環境です。ですから、業務でわからないことがあったらすぐに質問するようにしています。
—前職での経験が活かせる点はありますか?
川浪:前職では調査設計を担当していたので、今の業務内容とはかなり違います。ですから、前職の経験が今の仕事に100%活かせるかといえばそうではありません。
前職の知識や考え方なら役に立つこともありますが、基本的には最初から勉強し直しですね。ただ、6年間の社会人経験は、市役所の仕事でも役立っていると思います。
本多:私もこれまでの社会人経験があるからこそ、仕事の進め方を工夫したり、自分の苦手な業務でも乗り越えられるだけの力があるんだと思っています。
—入庁前後でギャップを感じることはありますか?
川浪:コミュニケーションをとる場などで、市民の方との距離が近いと感じました。
仕事内容に関しては、デスクワークが多いのかとイメージしていましたが、実際には現場に出ることが多いです。先日はイノシシが荒らしたり落石があった道路を補修したりと、力仕事が多いです。
本多:前職で仕事の関わりがあったのは、同僚の栄養士さんや調理場スタッフさん、業者さんくらいです。前の職場と比較すると、松浦市役所での仕事は窓口業務や電話応対などが多く、人と関わることが増えたなと実感しています。もともと人とうまく話せるタイプではないのですが、刺激を受けつつ、業務にも慣れてきたなと思っているところです。
—残業はありますか?ワークライフバランスは取れているのでしょうか。
川浪:入庁してまだ1年目ということもあり、残業はほぼありませんでした。ただ、業務上、災害が起これば残業せざるを得ないという状況はあります。それでもワークライフバランスは取れていると思いますよ。
本多:月に1回、順番で残業をする日があるのですが、それ以外に残業することはほとんどありません。残った仕事をちょっと片付けてから帰ろうかな、ということはあっても、夜遅くまで仕事をすることはないですね。
—松浦市の印象を教えてください。
本多:もともと佐世保市に住んでいたので、市役所で働く前から松浦市にはなじみがありました。とにかく、松浦市の人はみなさんやさしくておだやかだと周囲でも評判でした。松浦市で働き始めてからもその印象は変わりませんね。
川浪:松浦市は海も山もありますし、食べ物もおいしいですよ。県外出身の妻も松浦市は「住めば都」だと言ってくれています。魅力的な町であることは間違いありません!