市役所職員のやりがいを「人のために仕事ができること」だと語る西田さん。
異動後も彼女の名前を覚えて訪ねてくる市民がいることは、地域との密な繋がりと信頼関係の深さを物語っています。
そして、結婚、出産を経て、現在は2人のお子さんを育てながらキャリアを継続中。部分休業制度を活用し、定時より早く退庁することで、仕事と家庭の時間を充実させています。
今回は、多様な部署を経験されてきた西田さんに、仕事の魅力や厳しさ、そして「子育てとキャリアの両立」について伺いました。
地域貢献を胸に「島原市役所」へ
ーまずは、これまでのご経歴と、島原市役所を志望された理由を教えてください。
西田:私はお隣の南島原市出身で、福岡の大学で国際文化学部に所属し、ケルト文化を専攻していました。大学卒業後は、新卒でそのまま島原市役所に入庁しました。
公務員を志望したのは、父親も公務員をしていて、小さい頃から公務員の仕事が身近だったことが大きいです。
就職活動中は、民間企業の説明会にも行きましたが、受験はせず、公務員一本で臨みました。いくつか併願もしましたが、最終的には、生まれ育った地元に近く、地域貢献ができる島原市で働きたいという思いで、島原市役所を選びました。
親の仕事を通して、地域の人々と密接に関わる姿をずっと見てきたので、私も自分が成長させてもらった地域に貢献したいという気持ちでいっぱいでした。

多様な業務経験と仕事の「やりがい」
ーこれまで経験された業務について教えてください。
西田:2011年に入庁し、今年で15年目になります。最初は商工観光課で庶務を2年、その後観光業務を2年担当しました。
観光の仕事では、イベント運営などで市民の方と直接関わる機会も多く、やりがいを感じましたね。
その後、税務課で3年間市民税の課税業務を経て、有明支所で6年半勤務しました。
現在は道路課で庶務を担当しています。
ーいろんな部署を経験されているんですね!その中でも、特に印象に残っている業務は何ですか?
西田:特に印象深いのは、やはり支所での窓口業務です。
支所は「地域の総合窓口」のような場所で、戸籍の受付から児童手当、医療費の請求、介護保険や年金に関する相談まで、本当に「人の一生」の様々なライフイベントに寄り添う業務に携わることができます。
これほど幅広い相談を受けられる部署は他にないと思いますし、市民の方の人生の節目に立ち会えることは、とても貴重な経験になりました。
ー西田さんにとって、市役所職員の「やりがい」って何ですか?
西田:やはり、「人のために仕事ができる」ということですね。
自分の仕事が市民や周りの職員など、誰かのためなって、その結果「ありがとう」と感謝されるとやりがいを感じます。
特に嬉しかったのは、過去に何度か対応した市民の方が私の名前を覚えてくださって、「あなたに相談したいんだよ」と、私が異動した後も訪ねてきてくださったことです。
現在の道路課での庶務業務のように、コツコツと事務作業を進めるのも好きですし、市民の方と直接お話しする窓口業務も大好きなので、どちらの仕事もそれぞれに面白さを感じています。

ー逆に、仕事における「厳しさ」を感じることはありますか?
西田:もちろん、やりがいだけではなく厳しさもあります。
窓口業務では、良いご意見だけでなく、時に厳しいご意見を直接伺うこともあります。そうした時は正直落ち込むこともありますが、同時に「困っている人がいるんだ」と現状を知る貴重な機会にもなります。
その意見を真摯に受け止め、改善に繋げることができれば、それは市としての成長にも繋がります。
子育てとキャリアを両立させる島原市のサポート体制
ー結婚・出産を経て、仕事と育児を両立させる上で活用されている制度や、島原市での働きやすさについて教えてください。
西田:現在、2人目の子どもが生まれてから「部分休業」という制度を活用しています。通常17時15分が定時なのですが、1時間早く16時15分に退庁させてもらっています。
1人目の子どもの時はこの制度を使わず、育休明けからフルタイムで働いていたので、保育園のお迎えなどもかなりバタバタでした。
私も子どもも疲れ果ててしまうこともあったので、2人目の時は迷わず部分休業を利用しました。
部分休業のおかげで、保育園へのお迎えも余裕を持って行けるようになりましたし、家で子どもと向き合う時間も増えましたので、これは本当に助かっていますね。
最近では、男性職員が数週間程度の育児休業を取得するケースも増えてきているので、このような制度がもっと広まり、若い世代が結婚や出産を機にキャリアを諦めることなく、長く働き続けられる職場になっていけばいいなと思っています。
ー他にも休暇制度があれば教えてください。
西田:部分休業の他にも、子の看護休暇などがありますし、夏季休暇も以前の3日間から5日間に増えました。
子どもが小さいと急な体調不良などで休む機会が増えてしまうものですが、これらの制度があることで安心して休むことができます。
職員の皆さん自身も子育て経験者が多いので、お互いに理解があり、休暇も取りやすい雰囲気です。
有給休暇や夏季休暇についても、業務の都合でどうしても休めない日以外は、比較的自由に休暇を取得できると感じています。

ー残業についてはいかがですか?
西田:今は部分休業中ですので、基本的に残業はありません。過去に所属していた部署ですと、やはり税務課と観光課は特に忙しかったですね。
税務課は、確定申告の時期などはどうしても業務が集中してしまいます。
観光課もイベントが多い時期、特に夏などは準備で忙しく、土日対応も多かったので、若い頃は楽しかったですが、子育て中に配属されると大変かもしれません。
ー島原市の子育て環境についてはどのように感じていますか?
西田:島原市は子育て世代にとても優しい街だと感じています。保育園も入りやすいですし、保育料も2人目からは無料になるなど、経済的な支援も手厚いです。
また、公園もたくさんあるので、子どもを連れて遊びに行く場所にも困りません。特に家から歩いて行ける公園は、子どもたちが「行きたい!」とせがむので、よく利用していますね。
風通しの良い職場環境が仕事の原動力
ー職場の雰囲気や人間関係、風通しの良さについて教えてください。
西田:島原市役所は職員同士の仲が良く、和気あいあいとした雰囲気の職場です。
道路課は女性職員が少ない部署ですが、その中でも男女の区別なく、皆さんがよくしてくださいます。
女性職員が少ないからこそ、女性同士で集まったときには、仕事のことからプライベートなことまで、どんな相談でも気軽にできるので、心強い存在です。
業務外の交流も活発で、同じくらいの子どもがいる職員同士で一緒に遊んだり、子ども同士を遊ばせたりすることもあります。結婚前は、同期や同じ部署の皆で遊びに行ったりすることもよくありました。
こうした交流も、職員間の絆を深める大切な機会になっています。

地域の未来を担う「人」のために働きたい方へ
ー最後に、島原市の受験を考えている方に、メッセージをお願いします。
西田:「人のために働きたい」という情熱を持った方を心からお待ちしています。市民の皆様から感謝され、その感謝をやりがいとして感じられる方には、ぜひ島原市役所で活躍してほしいと思います。
また、島原市は職員同士の関係性も良く、休暇制度も充実しているので、非常に働きやすい職場です。
地域と密着し、人との繋がりを大切にしながら、地域の未来を共に創っていける方と一緒に働けることを楽しみにしています!

ー本日はありがとうございました。
西田さんの言葉からは、職員としての真摯な姿勢が伝わってきました。
特に、市民の方の「一生」に寄り添う支所での業務や、異動後も名前を覚えて訪ねてきてくださる市民とのエピソードは、地域と密着して働く公務員の仕事の温かさとやりがいを教えてくれます。
また、「部分休業」を利用しながら、仕事も子育ても充実させているお話は、島原市役所が、職員一人ひとりのライフステージの変化に優しく寄り添う職場であることを示していました。
職員同士が支え合い、子育ての悩みを共有できる温かい環境が、西田さんの仕事の原動力になっているのだと感じる、心安らぐ取材でした。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年10月取材)



