「市役所の中に入って初めて、この事業がどれだけ市民のために必要なのか気づくことができました」 そう力強く語るのは、加賀市役所の企画課で広報を担当する入庁6年目の大家さん。
地元のお祭や消防団など、昔ながらの「地域の繋がり」をこよなく愛する大家さんは、東京の大学へ進学後も地元への思いを募らせ、就職活動では「加賀市役所一本」で受験に臨みました。
入庁後は介護福祉課での窓口対応を経て、現在は市の窓口役となる企画調整業務や、市の魅力を発信する広報紙・SNSの運営を担当し、日々市内を駆け回っています。
今回は、就職活動を控える学生の皆さんに向けて、大家さんが現場で感じたリアルなやりがいや、若手が試行錯誤できる環境、そして「市役所で働くことの本当の意義」について、たっぷりとお話を伺いました。
「地元に貢献したい」。東京の大学から加賀市役所一本で勝負
ーまずは、大家さんの自己紹介と加賀市役所に入庁された経緯を教えてください。
大家:加賀市出身で、小中高と地元で育ち、東京の大学に進学しました。入庁して今年で6年目になります。 就職活動の時は、「安定した職業に就きたい」という思いと同時に、「やっぱり地元が大好きで、地元に貢献したい」という思いが一番強くありました。昔から地域のお祭りや獅子舞、そして地元の消防団にも参加するなど、地域の温かいコミュニティや繋がりが大好きだったんです。


ー東京の大学に進学されてから、より地元への思いが強くなったのでしょうか?
大家:そうですね。東京で大学生活を過ごしたからこそ、地元の人の温かさや地域の繋がりの良さを再認識できました。ですので、就職活動では民間企業や他の自治体は一切受けず、加賀市役所一本に絞って受験しました。「落ちたら来年また考えよう」くらいの覚悟でしたね(笑)。
ー加賀市役所一本ですか!面接ではどのようなことをアピールされたのですか?
大家:面接で「なぜ市役所で働きたいのか」と聞かれた時は、「地元が大好きで貢献したい。市のことをもっと深く知り、そして市の魅力を外に向けて発信していきたい」と素直な思いを伝えました。明るく自分の言いたいことをしっかり伝えられたので、手応えはありましたね。
難しいご意見への対応も「成長の糧」に。一緒に考えてくれる先輩の存在
ー入庁後、最初に配属されたのはどのような部署でしたか?
大家:最初の3年間は介護福祉課に配属され、介護保険料の算定や通知の発送、そして電話や窓口での対応をメインで行っていました。
ーお金に関わる窓口業務は、大変なことも多かったのではないでしょうか。
大家:正直なところ、最初は厳しいお言葉やご意見をいただくこともあり、大変でした。でも、当時の職場のリーダーが本当に素晴らしい方だったんです。 分からないことや困ったことがあっても、すぐに答えを教えるのではなく、「まずは自分で考えて、答えを持っておいで」と一緒に考え、解決へと導いてくれる方でした。そのおかげで、厳しいご意見に対しても「どう説明すれば納得していただけるか」を自分で考えられるようになり、次第にクレーム対応も苦ではなくなっていきました。むしろ、その過程で自分自身の成長を感じられ、仕事が楽しいと思えるようになったのは大きな経験です。
「外」へ飛び出す広報の仕事。取材の輪が広がる喜び
ー入庁4年目からは企画課へ異動されたとのことですが、現在のお仕事内容を教えてください。
大家:現在の企画課では、大きく2つの業務を兼務しています。1つは、議会からの質問に対する答弁書の振り分けや、外部の企業からの提案を庁内の各部署に繋ぐ「企画調整」の業務です。 もう1つが「広報」の業務で、広報紙の作成や、市の公式SNS(LINE、X、Instagram、Facebook)の更新などを担当しています。

ー介護福祉課の「窓口でのお客様対応」の仕事から、広報として「外へ出て行く」仕事にガラッと変わったのですね。
大家:そうなんです。最初は「市役所=がっちりした窓口対応」というイメージだったのですが、今は市役所の外に出て、市民の方や事業者の方に取材をしたり、市の魅力を売り込んだりしています。「市役所にはこんなアクティブな仕事もあるんだ!」と、良い意味でのギャップを感じながら楽しく働いています。
ー広報紙の取材で、大家さんが特に心がけていることはありますか?
大家:取材相手の方を事前にしっかりと下調べし、相手に合わせたコミュニケーションを取ることです。広報の取材対象は、伝統工芸の職人さんから、全国大会で優勝した中学生まで本当に幅広いんです。 特に学生さんなどは、人生で初めて取材や写真撮影を受ける方も多く、緊張して黙り込んでしまうこともあります。ですので、できるだけフランクに話しかけ、柔らかい雰囲気を作って、相手の自然な言葉を引き出せるように意識しています。
ー広報のお仕事の中で、一番嬉しかったエピソードを教えてください。
大家:ある中学生を取材して記事にした時のことです。原稿の確認で親御さんとやり取りをしていたのですが、「こんなに素敵な記事に仕上げてくれて本当にありがとうございます!」とすごく喜んでいただけたんです。 さらに、その親御さんから「実は周りにもこういう頑張っている子がいるから、ぜひ取材してほしい」と次々に紹介していただき、取材の輪がどんどん広がっていきました。自分が書いた記事を通して人と人が繋がり、喜んでもらえるのは本当に嬉しいですね。
「いいね!」を増やす試行錯誤。若手が挑戦できるSNS運用
ー市の公式SNSの運用も担当されているとのことですが、難しさはありますか?
大家:SNSは「答えがない」ので、本当に試行錯誤の連続です。最初はInstagramで色々な投稿を試してみたのですが、なかなかフォロワーが伸びず、壁にぶつかりました。 そこで、他の人気のアカウントを研究し、「SNSを見ているメイン層(20〜30代)には、堅い行政の情報は響きにくい」と気づいたんです。それからは、あえて「行政っぽさ」をなくし、流し見でもスッと入ってくるような、身近でライトなコンテンツを作るように意識を変えました。その結果、1ヶ月でフォロワーが200人ほど増えた時は、自分の考えた施策が結果に結びついた実感があり、大きなやりがいを感じました。
外からでは見えない「市役所の仕事の本当の意味」
ー最後に、これから加賀市役所の受験を検討している学生の皆さんへ、大家さんからメッセージをお願いします。
大家:市役所の事業って、外から見ていると「何のためにこんなことやってるんだろう?」「誰が喜ぶんだろう?」と不思議に思うこともあるかもしれません。でも、いざ市役所の中に入って現状を知り、需要と供給のバランスや背景を把握すると、「市民のために、こんなにも大切なことをやっているんだ」と、その事業の本当の意義に気づくことができるんです。 自分の住んでいるまちの動きや、その目的を知ることは、この地域で豊かに生きていく上で絶対に損にはなりませんし、郷土愛もさらに深まるはずです。
そして、市役所で働く上では、「言われたことをただやる」という惰性にならず、自分で考え、自分の意見を持ってプロジェクトを動かしていくことが大切です。
常に「この仕事の裏には市民の方がいるんだ」ということを意識しつつ、自ら行動できる方と一緒に働ける日を楽しみにしています!



