石川県加賀市役所の建設部の土木課で働く坂本さんに、これまでの経歴や役所での仕事と職場環境についてお話を伺いました。
—これまでのご経歴を教えてください。
坂本:私は加賀市出身で、石川工業高等専門学校の環境都市工学科に進学しました。卒業後は国土交通省の北陸地方整備局に就職し、新潟市で4年、金沢市で2年勤務をし、そこでは大規模な社会基盤の整備や、河川と道路の改修を担当していました。その後、昨年の4月に加賀市役所に入庁し、現在に至ります。
—なぜ土木職を志望されたのですか?
坂本:土木職というよりも、元々公務員に興味がありました。両親に相談したところ、県内の石川工業高等専門学校を薦められ進学しました。そこで土木に関する勉強をしていくうちに私たちの生活に欠かせない社会基盤の整備に携わる分野であることを理解し、土木職で働こうと思うようになりました。
—国土交通省に入庁された理由と、仕事の内容について教えて下さい。
坂本:当時は社会基盤の整備といえば、国土交通省や県庁のイメージがあり、国と県両方の試験を受けていましたが、国から内定をいただき、より大規模な政策に取り組めることに魅力を感じ、国土交通省に就職することに決めました。国土交通省では道路改修や河川改修の工事に携わっていました。道路では、新しく大きなバイパスを作る事業の工事発注や、河川では洪水を未然に防ぐための工事発注を担当していました。
—加賀市役所に転職された理由を教えてください。
坂本:国土交通省での「住民の安心安全な暮らしを支える仕事」にやりがいを感じつつも、生まれ育った地元の住民に対しても役に立つ仕事がしたいと思うようになりました。
また、結婚というライフステージの変化があり、今後の人生を見つめ直したときに、仕事と子育てを両立しやすい環境で働きたいと思うようになりました。両親の近くに住みたいという気持ちもありまして、転職を考えるようになりました。
他の自治体の土木職の採用試験は専門の試験があるところもありますが、加賀市役所は、SPI、論文、面接のみで、働きながらの就職活動がしやすかったです。
—仕事の内容について教えてください。
坂本:建設部土木課の整備グループに所属しています。整備グループでは、各町内から破損や改修に関する要望書を受け、それに基づいて整備をします。例えば町内の側溝整備事業を進めたり、橋梁の修繕工事や交通安全のために通学路の整備をしています。グリーンベルトの設置など歩行者の安全を向上させるような整備もします。加賀市の管理する公園の整備事業もあり、トイレの改修工事を担当しています。
—整備グループの構成について教えてください。
坂本:職員は5人います。リーダーが1人、主査が2人、私を含め技師が2人です。4人で工事を発注しています。要望書と予算をもとに、リーダーが年間工事を各担当者に割り当てます。担当者は、割り当てられた工事を計画的に発注する準備を進めていきます。
—教育体制について教えてください。
坂本:入庁後、すぐに工事を任されて初めは不安だったのですが、先輩方は気さくな方が多く相談もしやすいので、一人で抱え込むことなく業務を進められています。固定の教育担当者がいるというわけではなく、みんなが教えてくれるという感じです。
図面の作成に関しては、高等専門学校の授業で習ってはいたのですが、分からないところは先輩に随時確認しています。測量は2人以上で行うので、作業内容に問題がないかをお互いに確認しながら進めています。
—国土交通省と市役所の仕事の違いはありましたか?
坂本:業務内容は同じなのですが、工事の規模が異なります。国土交通省のときは工事の規模が大きいので、基本的には測量、設計、図面の作成は委託先のコンサルタントが作成し、出来上がったものに対して私が工事を発注するという流れでした。
それに対して加賀市役所では比較的規模が小さい工事もあるため、自分で測量を行い、図面を作成し、工事を発注していきます。自らで作業をすることが多く、それが自分にも合っていて、面白さや達成感を感じながら仕事をしています。
あとは、現場に行くことが増えました。国土交通省のときは、工事を発注する部門と現場監督の部門が別だったこともあり、現場に行く機会が少なかったのですが、今は現場の確認や工事の監督も自分で行うので、現場に行かない日の方が少ないぐらいです。
また、転職前に想像していた以上に地元の方との距離感が近いと感じます。各町内が要望していることに対して、私たちが事業を行うという形なので、住民や業者との調整が多いですが、地元の業者がほとんどなので、コミュニケーションが取りやすく、仕事もすすめやすいです。
—どういったことにやりがいを感じられますか?
坂本:交通安全のために歩道の整備やグリーンベルトの設置を行っているのですが、地域の安心安全に関わる重要な事業に携われていることにやりがいを感じています。地元に貢献してるなっていう実感があります。
また、やりがいとは異なりますが、今年の元日に発生した能登半島地震においては、能登の被害も甚大ですが、加賀市においても道路の陥没やひび割れ、構造物の破損の被害が出ており、すぐにパトロールを実施し、被害状況の確認を行いました。
車が走れないような状態の場所もあるので、状況をみながら災害協定を組んでいる業者と共に応急的な工事をしてもらいました。規模が大きな復旧工事に関しては測量・設計を行い、国に災害に関する補助金の申請を行いました。
測量や調査中に住民から「ありがとう」や「お疲れ様」とお言葉をかけていただき、ご自身も大変な状況の中、そういう暖かい言葉をかけてもらうのは、心苦しくはあるのですが、自分たちの仕事に使命感を持って頑張らないといけないと強く感じ、身が引き締まりました。
—庁内の雰囲気について教えてください。
坂本:アットホームで、気さくな方が多い印象です。わからないことを先輩に尋ねていると、その先輩以外の方も聞いていてくれて、横からアドバイスしていただけることもあります。土木課整備グループの合言葉は「ワンチーム」で仕事に励んでおり、みんなでやっていこうという雰囲気があります。
建設、土木というと男性が多いイメージかと思います。確かに土木課で女性は私だけなのですが、建設部全体としては女性が増えています。土木課だけではなく、建設部全体も仲が良いですし、同世代の女性もいるので寂しい思いはしないです。
ー働き方について教えてください。
坂本:自分の担当する工事が決まっており、自分でスケジューリングができるため、有休取得の計画が立てやすいです。また上司も積極的に有休をとるように言ってくれるので、自分の好きなタイミングで有休を取り、プライベートと両立させています。
—加賀市の魅力について教えてください。
坂本:「石川県で子育てNo.1」を目指している自治体なので、子供の教育費や医療費が他の自治体に比べると安いです。R6年3月には北陸新幹線が敦賀まで延伸し、加賀市でも「加賀温泉駅」が開業したので、今後さらなる発展に期待しています。
また、加賀市は「加賀温泉郷」と呼ばれる山代、山中、片山津の3つの温泉地を有し、それぞれにシンボルとなる「総湯」という共同浴場があります。私は山代温泉出身なので、冬場などはよく山代温泉の総湯に行きましたが、そこへ行けば知り合いがいて、会話をしながら楽しくお風呂に入ったりします。周りを見渡しても幅広い年齢層の方がそれぞれ会話を楽しんでいるので、そういったところに地元の暖かさを感じています。
—最後に、加賀市役所へ応募を検討している方にメッセージをいただきたいです。
坂本:加賀市の安心安全な暮らしを一緒に支えていきましょう。ぜひ、ご応募よろしくお願いいたします。
—本日はありがとうございました。