「一度は諦めかけた市役所への道。それでも、地元・飯塚で働きたいという想いが消えることはありませんでした」そう穏やかに語るのは、入庁1年目を終えたばかりの三宅さん。陸上自衛官として4年間勤務し、その後は飲食店でのパート、会計年度任用職員を経て、正規職員としての採用を手にしました。
一見すると異色の経歴に思える三宅さんの歩み。しかし、自衛隊で培った「体力と規律」、飲食店で学んだ「接遇の極意」、そして「公務員への憧れ」のすべてが、現在の公共交通対策という現場で鮮やかに結びついています。
経歴や年齢を理由に一歩踏み出せないでいる人にこそ届いてほしい、挑戦と成長の物語を紐解きます。
- 自衛隊から飲食店、そして憧れの市役所へ。三宅さんが歩んだ「挑戦」の軌跡
- 地域を支える「移動手段」を守る。公共交通対策課での日々と学び
- 飲食店時代のスキルが生きる。「言葉選び」で市民の心に寄り添う
- 萎縮なんて必要ない。温かい先輩と同期に囲まれた「最高の環境」
- 「遠回り」は、いつか必ず強みになる。一歩踏み出そうとするあなたへ
自衛隊から飲食店、そして憧れの市役所へ。三宅さんが歩んだ「挑戦」の軌跡
ーまずは入庁までの簡単なご経歴をお聞かせください。
三宅:私は生まれも育ちも飯塚市で、高校も市内の学校に通っていました。もともと高校生の頃から「将来は公務員に」という目標を持っていたんです。
部活動で陸上をやっていたこともあり体力には自信がありましたので、最初のキャリアは、学校に来られた広報の方のお話に直感で「これだ」と感じ、その力を存分に生かせる陸上自衛隊を選びました。
自衛官として4年間、日々訓練に励む濃密な時間を過ごした後、結婚や出産という大きなライフイベントがあり一度家庭に入りました。その後は、近所の飲食店で4年間ほどパートとして働いていました。
ー公務員という目標を再始動させたきっかけは何だったのでしょうか?
三宅:実は、同窓会で再会した幼馴染が「今年から飯塚市役所に受かって働くんだ」という話をしてくれたんです。その話を聞いた瞬間、自分の中でどこか諦めかけていた気持ちが、熱い想いと一緒に込み上げてきました。
それから「絶対に正規職員になる」と決めて、まずは仕事の流れを知るために、飯塚市の会計年度任用職員として働き始めました。昼間は市民課の窓口で業務をこなし、夜は公務員試験対策の学校に通うという、かなりハードな一年間を過ごして、合格を果たしました。

地域を支える「移動手段」を守る。公共交通対策課での日々と学び
ー現在所属されている「地域公共交通対策課」では、どのようなお仕事をされているのですか?
三宅:飯塚市が運行しているコミュニティバスや、予約制の乗り合いタクシーの運営管理がメインの業務です。具体的には、運行業者さんへの委託料の支払いや運賃収入のデータ管理、また、市民の方からの電話問い合わせの対応も非常に多いですね。
ーコミュニティバスというと、市民の皆さんの生活に欠かせない移動手段ですよね。
三宅:まさにその通りです。特にお年寄りの方などにとっては大切な「移動手段」になります。お問い合わせの電話では、「次はいつバスが来るの?」といった時刻の確認が非常に多いです。
入庁したばかりの頃は、停留所名を聞いても場所がピンとこず、電話口でお待たせしてしまうこともありました。でも最近では、地域名を聞けば「あ、あの辺りだな」とすぐに時刻表のページを開けるようになってきました。
1年経って、ようやくスムーズに対応できるようになったなと手応えを感じています。
ーデスクワークが中心かと思いますが、現場に出ることもあるのでしょうか?
三宅:はい、たまに現場確認にも行きます。例えば、タクシー会社さんから「工事をしていて予定の道が通れない」といった連絡があれば、実際に現地に行って状況を確認し、工事担当者の方に「いつまで工事が続きますか?」とヒアリングをすることもあります。
ただ机の上で事務をこなすだけでなく、現場の状況を把握することも大切な仕事の一つです。

飲食店時代のスキルが生きる。「言葉選び」で市民の心に寄り添う
ーお仕事をする中で、特に大変だと感じる瞬間はどんな時ですか?
三宅:苦情というよりは、非常に多くいただく「要望」への対応ですね。例えば、「ここに新しいバス停を置いてほしい」とか「日曜日に走らせてほしい」といったお声です。
市としてできることには予算や制度の制約がありますし、民間の交通機関との兼ね合いもあります。すぐに「やります」とは言えないもどかしさがありますね。
ーそういった難しい局面に、三宅さんはどう向き合っているのですか?
三宅:単に「できません」と断るのではなく、まずはしっかりとご要望を伺い、相手の方が何に困っているのか、その背景にまで心を寄せてお話しすることを意識しています。先輩方の「ふんわりと、でも誠実に」伝えるテクニックを横で聞きながら、自分なりの言葉のレパートリーを増やしてきました。
こうした「相手の立場に立った伝え方」という面では、前職の飲食店で培った接遇のスキルがとても活きていると感じています。

萎縮なんて必要ない。温かい先輩と同期に囲まれた「最高の環境」
ー職場の雰囲気についても伺いたいのですが、上司や先輩方との関係はいかがですか?
三宅:本当に良い環境だと感じています。入庁当初、わからないことだらけで質問攻めにしてしまいましたが、先輩方は嫌な顔一つせず、つきっきりで教えてくださいました。
両隣に先輩がいらっしゃるのですが、お二人の電話対応を横で聞きながら学べたのは、新人だった私にとって最高の研修でしたね。最初から緊張せずに質問ができる、風通しの良い職場です。
ー同期の方々とも交流はありますか?
三宅:はい、同期もすごく仲が良いですよ!同期が企画してくれて、みんなで飲み会をしたりバーベキューをしたりすることもあります。
普段は別々の部署で働いていますが、市全体のイベントなどで顔を合わせると、「最近どう?」なんて話をして盛り上がりますね(笑)。仲間がいると思うだけで、すごく安心します。
ーワーク・ライフ・バランスの部分についてもお聞かせください。お子さんもいらっしゃるとのことですが。
三宅:現在、小学2年生と5歳の二人の子どもを育てています。正規職員としてフルタイムで働いていますが、土日はしっかり休めますし、有給休暇や夏季休暇も計画的に取ることができています。
平日の夕方は確かにバタバタしますが、職場が定時退庁を推奨してくれているので、仕事と子育てのバランスはうまく取れているなと感じています。

「遠回り」は、いつか必ず強みになる。一歩踏み出そうとするあなたへ
ー最後に、これから飯塚市役所を目指す方や、転職を考えている方へメッセージをお願いします。
三宅:転職を考えている方の中には、「自分には特別なスキルがない」とか「年齢的に遅いのではないか」と不安に思っている方もいるかもしれません。でも、これまでの人生で経験してきたことは、市役所の幅広い仕事の中のどこかで、必ず強みとして生きてきます。
私も自衛隊や飲食店を経て、遠回りしてここに来ました。でも、その遠回りがあったからこそ、市民の方の気持ちに寄り添った対応ができるようになったと思っています。
飯塚市役所は、あなたの「これまで」を温かく受け入れてくれる場所です。ぜひ、自信を持って挑戦してください。新しい仲間に会えるのを楽しみにしています!

ー本日はありがとうございました。
三宅さんの歩みを伺いながら、「経験に無駄なことなんて一つもないのだ」と改めて確信しました。自衛官として鍛えた心身と、飲食店で磨いた相手を思いやる心。それらが混ざり合い、飯塚市の公共交通という「生活の生命線」を支える確かな力となっていました。
市民からの厳しい要望に悩みながらも、先輩の言葉を吸収し、自分の言葉へと変えていくその真摯な姿勢。飯塚市の明日を担うのは、三宅さんのような「目の前の一人に誠実でありたい」と願う職員たちなのだと感じました。
飯塚市という大きなフィールドで、あなたの経験がどう花開くのか。三宅さんの物語が、誰かの次の一歩を照らす光になることを願っています。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年4月取材)



