長野県軽井沢町役場で保育士として働く林さんのインタビュー記事です。異業種から保育の世界へ飛び込み、16年の経験を経て一度は現場を離れた林さん。8年のブランクがあるなか、なぜ再び「保育士」として、そして「軽井沢町」での勤務を選んだのか。
実際に働き始めて感じた町の魅力や、働きやすさ、そして絵画のような美しい景色に囲まれた日々の暮らしについて詳しくお話を伺いました。
異業種から保育の世界へ。16年の経験を経て一度は現場を離れた理由
ー自己紹介をお願いします。
林:石川県の出身です。今は縁あって長野県に移住し、10月から軽井沢町の保育士として採用され、町立の西保育園で働いています。
ーこれまでのご経歴を詳しく教えていただけますか。
林:少し変わった経歴かもしれません。学校を卒業して最初に就いた職種は、車のディーラーの営業事務でした。そこから一念発起し、保育士を目指しました。まずは自分が本当になりたいのかを確かめるために、保育園でアルバイトから始めています。
そして現場を経験して「やっぱりこの仕事がしたい」と確信を得てから、専門学校に通い、金沢市内の保育園で16年ほど働きました。キャリアの最後の方は、かなりハードな日々でしたね。事務作業や大きな行事の運営に追われ、残業が続く生活が3、4年続きました。
ー残業が続くのは体力的にも精神的にも厳しそうです。
林:それで一度、保育の世界を完全に離れたんです。その後は社会福祉法人の本部で事務職として4年ほど働くなど、色々なキャリアをわたりあるきました。

「現場が好き」という思い、そして憧れの長野・軽井沢へ
ーそのまま事務職を続ける選択肢もあったかと思います。なぜまた現場に戻ろうと思われたのですか。
林:事務職として保育園や高齢者施設をサポートする中で、ふと「やっぱり自分は現場が好きだったんだな」と思い直す瞬間があったんです。現場を離れて8年。年齢を考えると、現場に戻るなら今が最後のチャンスだと思いました。
ーそこで、なぜ「軽井沢町」を選ばれたのでしょうか。
林:実は若い頃、長野県内にある短大に通っていたんです。その時に出会った長野の人たちが本当に優しくて。石川に戻ってからも「いつかまた長野に住みたい、働きたい」という思いをずっと持ち続けていました。
ー長野への憧れがずっとあったのですね。
林:はい。でも、公務員の保育士採用試験は年齢制限が厳しいところが多いですよね。以前に募集を見た時は年齢制限で受けられませんでした。ところが、今回軽井沢町の募集要項を見たら、年齢の上限が緩和されていて、私でも挑戦できることが分かったんです。
「このチャンスを逃したら、もう一生後悔する」と思いました。全く新しい土地、しかも憧れの長野で再スタートを切れるというのは、私にとって大きな魅力でした。
ブランクのある身に心強かった「年齢制限の緩和」と「試験内容」
ー久々の試験、しかも公務員試験ということで緊張はありましたか。
林:勉強は……実はあまりしていません(笑)。ただ、軽井沢町の試験は実技試験(ピアノなど)がなかったのが、ブランクのある私にはすごくありがたかったです。
ー面接はどうでしたか。
林:面接はしっかり練習して臨みました。5人の面接官を前に、20分ほどお話ししました。これまでの経験や、なぜ今また現場に戻りたいのかという思いを、自分の言葉で6割くらいは伝えられたかなと思います。

戸惑いを支えてくれた、周囲の温かいサポート
ーそして見事合格され、10月に入庁されました。現在はどのような業務を担当されていますか。
林:西保育園の1歳児クラスを担当しています。11名のこどもたちを、担任2名とパートの先生で見ています。
ー8年のブランクを経ての現場復帰、最初はいかがでしたか。
林:正直、最初は戸惑いの連続でした。いくら経験があると言っても、こどもたちからすれば私は「知らない人」です。最初はなかなか受け入れてもらえず、私が抱っこすると余計に泣かれてしまったりして。他の担任の先生に負担をかけているのではないかと申し訳なくなることもありました。
ー歌や手遊びなども、思い出すのが大変だったのでは。
林:そうなんです!昔あんなに歌っていた手遊び歌が、全然出てこなくて(笑)。でも、周りの先生方が本当に温かいんです。
雰囲気もすごく良く、皆さん常に私のことを気にかけて声をかけてくれます。複数担任制ですが、まだ慣れないうちに一人になってしまうこともあります。そんな時は隣のクラスの先生がすぐに飛んできて「何か手伝おうか?」と雑務を引き受けてくれたりします。
「公立」ならではの働きやすさと、軽井沢の豊かな自然環境
ー「公立」の保育園ならではの特徴はありますか。
林:私にとって初めての公立園なのですが、一番驚いたのはワークライフバランスの良さです。時間がきっちり管理され、残業が発生した場合は手当も出ますし、そもそも「残らなくてもいい環境」をみんなで作っている感じがします。
ー心のゆとりが、保育の質にも繋がりそうですね。
林:本当にそう思います。あとは、やっぱり環境が素晴らしいです。西保育園には園庭のほかに「森」のようなスペースがあるんですよ。そんな場所でこどもたちがのびのびと遊んでいる姿を見ると、軽井沢で働く喜びを実感します。
ー暮らしの面でも、変化はありましたか。
林:毎日、絵葉書のような景色の中を生活している感覚です。景観が守られている町なので、どこを切り取っても本当に美しい。通勤の10分間、窓の外を眺めるだけで心が癒やされます。地元の友達からは「あの軽井沢に移住したの!?」と、すごく羨ましがられますよ(笑)。

ー趣味や休日の過ごし方も変わりそうですね。
林:カフェ巡りが趣味なのですが、軽井沢には素敵なお店が山ほどあるので、これから開拓していくのが楽しみです。最高の「推し活」環境ですね。
一歩踏み出す勇気が、最高の環境を引き寄せた
ー最後に、今後の目標や、軽井沢町を目指す方へのメッセージをお願いします。
林:私の保育の知識は、一度8年前で止まっています。今は新しい考え方や手法がたくさんあるので、研修などを通じて自分自身をどんどんアップデートしていきたいです。
また、何かを理由に諦めなくて本当に良かったと思っています。軽井沢町は、経験を正当に評価してくれますし、何より温かく迎え入れてくれる土壌があります。自然豊かなこの場所で、心にゆとりを持ってこどもたちと向き合いたい方には、最高の環境だと思います。

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年12月取材)



