熊本県八代市役所で保健師として働く林田さんと今村さんのインタビュー記事です。
地域住民の健康を支えている「行政保健師」というお仕事。そんな行政保健師として働くお二人に、やりがいや魅力、職場環境などについてお話を伺いました。
八代市での保健師の働き方や特徴が良くわかる内容となっています。
ーまずは、簡単にお二人の自己紹介をお願いします。
今村:出身は八代市です。熊本市内の大学に進学し、卒業後は熊本県庁で保健師として10年間勤務しており、その内2年間は出向で八代市に来ていたこともあります。
市民の方と直接お話できる機会が多い方が自分には合っていると感じていたので、より市民との接点が多い八代市での保健師活動の経験はとても魅力的に感じていました。
出向から戻り、しばらくは県で勤めていたのですが、八代市の採用枠が広がり、正規職員としてチャレンジできることになったので、そのタイミングで県を退職し、平成30年度に八代市役所に保健師として入庁しました。

林田:私も八代市出身です。高校卒業後、県外の大学に進学し看護学科を専攻していました。大学卒業後、新卒で八代市役所に保健師として入庁しました。令和5年度採用なので、現在2年目になります。

ーお二人が保健師を志したきっかけを教えていただけますか?
今村:実は、当初は看護師を目指していました。進学を検討していた際、資格があれば卒業後の就職に有利だろうと考えたからです。しかし、保健師の資格も取得できる大学だったため、実習を通して住民の方々と深く関わり、健康を支援する保健師の仕事に魅力を感じるようになりました。
そして、就職活動をする頃には、看護師ではなく保健師として働きたいという気持ちが固まっていました。
林田:私は、中学生の頃に八代市の保健センターでインターンシップを経験したことがきっかけで、大学では保健師を目指すようになりました。
インターンシップで地域住民の方々と関わり、健康を支援する保健師の方々の姿を見て、私も地域に貢献できる仕事がしたいと強く感じました。大学の実習を通して保健師の仕事内容をより深く理解し、その思いは一層強くなり、保健師の道を選びました。

ー現在の業務内容について教えてください。
今村:私は健康推進課で、主に精神保健を担当しています。「こころの健康相談」の窓口として、精神的な不調を抱える住民の方の相談を受けたり、臨床心理士との面談の日程調整を行ったりしています。
相談者の方のアセスメントを行い、情報を臨床心理士と共有することで、スムーズな相談対応を心がけています。その他にも、「こころの健康づくり」に関する講演会の企画・運営や、自殺対策のゲートキーパー養成講座なども担当しています。
林田さんも同様ですが、私たち保健師は業務担当の他に、地区担当というものも持っています。主に母子保健に関係する部分になりますが、子どもの発達や育児に不安がある方などを訪問し、親御さんやお子さんの健康増進のため、細やかなサポートができるように努めています。

林田:私も同じ健康推進課で、母子保健を担当しています。主な業務としては、妊娠届出をされた妊婦さんへの母子手帳の交付時に、妊娠中の過ごし方、母子手帳の使い方について説明や相談対応を行っています。
また、乳幼児健診に関する業務にも幅広く携わっており、健診の通知発送から健診当日の運営、そして健診後の事後指導やフォローアップまで、一貫してサポートを行っています。

ー保健師として働くやりがいを感じるのはどんな時ですか?
林田:1年目は業務に慣れることで精一杯で、なかなかやりがいを感じる余裕がありませんでした(笑)
しかし、2年目になり、市民の方々と一緒に考え、寄り添いながら支援を進めていく中で、感謝の言葉をいただいたり、信頼関係を築くことができたと実感できた時に、大きなやりがいを感じるようになりました。
物事が良い方向に進んだときの相談者の笑顔や「ありがとう」という言葉が、日々の仕事の励みになっています。
今村:私も、住民の方々に名前を覚えていただいたり、頼りにされていると感じた時に、大きなやりがいを感じます。特に、子育て中の親子が、支援を通して前向きに変化していく姿を見ると、保健師として少しでもお役に立てたのかなと、心から嬉しくなりますね。
親御さんの表情が明るくなったり、お子さんの成長を喜ぶ姿を間近で見られることは、この仕事ならではの魅力だと思っています。

ー八代市で保健師として働くことの特徴はありますか?
今村:八代市では、乳幼児健診を医療機関に委託することなく、全て市が責任を持って実施しています。他の自治体では、一部の健診を医療機関に委託している場合も少なくありません。
しかし、八代市では、保健師が赤ちゃん訪問から3歳児健診まで一貫して関わることができるため、よりきめ細やかで継続的な支援を提供することが可能です。これにより、保護者の方々も安心して子育てに取り組むことができる環境が整っています。
林田:そうですね。その分、他の自治体と比べると、住民の方々とより密な関係性を築くことができていると感じます。お互いのことをよく知っているからこそ、何か困ったことがあれば、どんなことでも気軽に頼っていただける、そんな存在になりたいと思っています。
ー働く環境としての八代市役所の雰囲気はいかがですか?
林田:現在は比較的少人数の職場ということもあり、職員同士のコミュニケーションが活発で、とても和やかな雰囲気です。一人で業務を抱え込むのではなく、チームで協力して仕事を進めていくことができるので、安心感があります。
また、プリセプター制度が整っており、先輩保健師の方々にいつでも相談できる環境なので、新人の私も安心して働くことができています。先輩方の温かいサポートに、日々感謝しています。
今村:実は、私が林田さんのプリセプターなんです。プリセプターに関する感想をあまり聞いたことが無かったので、少し緊張していました(笑)私と林田さんは年齢が少し離れているので、もしかしたら相談しにくい部分もあるのかもしれないと、実は少し心配していたのですが、先程の話を聞いて安心しました。
八代市は、職場全体で新人保健師をサポートする体制がしっかりと整っています。そのため、経験が浅かったり、年齢が若かったとしても、安心して働くことができる環境だと思っています。困ったときには、周りの先輩たちが親身になって相談に乗ってくれますし、チーム全体でサポートし合える温かい職場です。

ーお二人は大学卒業後、そのまま保健師として働かれていますが、実際に働いてみて、看護師も経験しておいた方が良かったと感じるようなことはありますか?
林田:指導を行う際、看護師として培われるような、より専門的な医療知識があれば役立つと感じることはあります。特に、母子保健の分野では、医療機器を使用しながら生活されているお子さんもいらっしゃいます。看護師としての経験があれば、そういったお子さんやご家族が、どのような状況で、どのような機器を使って生活されているのか、より深く理解できるのではないかと感じる場面はありますね。
今村:看護師としての経験があれば、役立つ場面は確かにたくさんあります。一方で、看護師経験がないと保健師として仕事を進める上でつまづいてしまうということはありません。
保健師の仕事は、実際に現場に出る機会も非常に多いです。もし、わからないことや、現場で経験したことがないような状況に直面したとしても、保健師として働く中で、必要な知識やスキルを十分に身につけることができます。先輩方に相談したり、研修に参加したり、日々の業務を通して、着実に成長していくことができます。
ー今村さんは子育てをしながら働かれていると伺っているのですが、子育てをしつつ働く環境としてはいかがですか?
今村:私は熊本市から通勤しており、他の職員の方々と比べて通勤時間が長いのですが、ほぼ残業なく帰宅できているため、帰宅後は育児に専念できています。市役所には子育て中の職員も多く、子どもの急な行事や通院などにも、周囲の温かい理解と協力があります。
お互いにサポートし合う雰囲気があるので、誰かが必ずカバーしてくれるという安心感があり、子育てと仕事を両立しながら働くことができています。本当に、働きやすく、大変ありがたい環境だと日々感謝しています。
ー最後に、求職者の方へのメッセージをお願いします。
今村:先程もお話ししたとおり、子育てと仕事の両立ができる環境が整っているので、将来のことで迷うことなく、八代市に来ていただければと思います。ワークライフバランスを大切にしながら、やりがいのある仕事ができる職場ですよ。
林田:看護師や保健師としての経験がなくても、プリセプター制度や周囲の職員の温かいサポートがあるので、安心してやりがいを持って働くことができます。私のような経験の浅い新人でも、しっかりと活躍できる職場です。ぜひ八代市役所で、私たちと一緒に働きませんか?

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年2月取材)