京都府久御山町役場の都市整備部建設課で、土木技術職として働く小西さんのインタビュー記事です。高校を卒業し、新卒で「現場」の世界に飛び込んだ小西さん。女性技師として、そして若手職員として、日々どのような思いで久御山町のインフラを支えているのか。小さな自治体だからこそ経験できる仕事の幅広さや、住民の方々との温かい交流、そして公務員としてのリアルな本音まで、お話を伺いました。
「座学よりも現場」高校から公務員の道へ
ー小西さんのこれまでの経歴について教えていただけますか?
小西:令和5年に入庁しまして、今年で4年目になります。府立の高校を卒業して、新卒で久御山町役場に採用していただいた形です。
公務員になるのは10人いるかいないかという環境で、私自身、最初はそこまで強い志があったわけではないんです。大学進学など、机に向かって座学に励むよりは、早く社会に出て現場の空気を知りたいという思いの方が強かったんです。家族にも公務員が多く、民間よりも公務員を考えていました。
道路、公園、水路――「なんでもやる」のが久御山流
ー現在の所属と、具体的な仕事内容を教えてください。
小西:今は建設課に所属しています。主な仕事は、町内の道路、公園、水路の維持管理や整備工事です。
ー道路も公園も水路も、全て担当されているのですか?
小西:はい、全部です。大きな自治体だと道路や公園は別の課が担当するなど細かく分かれていることが多いのですが、久御山町では、建設課がそれら全てを一手に引き受けます。
ー技術職の職員さんは何名くらいいらっしゃるのでしょうか?
小西:建設課の係員レベルで言うと、今は5人ですが、その他上下水道課や管理職を含めると15名の技術職員がいて、この15名が主体となって町内全域のインフラをカバーしています。
ー少人数で全てを管理するのは大変そうですね。どのように業務を分担しているのですか?
小西:エリア等で分けるのではなく、一つの業務を一人が主担当として受け持つ形です。課長が全体のバランスを見て振り分けてくれます。私の今の例で言うと、今はかなり大規模な公園の整備工事を任せてもらっています。
ー大規模な工事となると、責任も重そうですね。
小西:そうですね。私は今その大きな案件に集中させてもらっているので、他の維持管理業務などは少なめですが、他の職員はそれぞれ3つくらいの維持管理業務を持ちながら、さらに別の工事発注も抱えているという状態です。
ー年間を通して、忙しい時期などは決まっているのでしょうか?
小西:維持管理の委託業務はほとんどが4月に一斉に始まるので、年度初めはバタバタします。工事については、案件によって始まる時期や終わる時期が違うので、一概に「この時期」とは言えません。持っている案件次第でスケジュールが大きく変わるのが、この仕事の特徴かもしれませんね。

自分が作った歩道に、人の体温を感じる瞬間
ーこれまで経験した仕事の中で、特に印象に残っているものはありますか?
小西:昨年度に担当した歩道の整備工事ですね。元々歩道がなかったところに新しく歩道を作るという内容でした。
工事の難易度自体はそこまで高いものではなかったのですが、完成した後にそこを通りかかると、実際に住民の方が歩いている姿が見えるんです。「ああ、ちゃんと役に立っているんだな」と、自分の仕事の結果を肌で感じることができて、単純にすごく嬉しかったです。

ー技術職ならではの醍醐味ですね。
小西:本当にそう思います。あとは、図面を描く作業自体も好きなんです。高校の授業でも製図は得意な方でしたし、自分の得意なことを仕事に活かせているという感覚があって、毎日楽しいですね。
「なんでも屋」としての面白さと、地域への貢献
ー「役所の技術職」という仕事に対して、入庁前と後でギャップはありましたか?
小西:思ったよりも「なんでも屋」だなと感じることは多いです。住民さんとの距離がすごく近いです。例えば、道路の脇にある溝掃除の話です。本来は管理している私たちの仕事なのですが、町内全ての溝を常に掃除するのは現実的に難しいんです。なので、多くの住民さんや企業さんが自発的に掃除をしてくださっていて。私たちはそのためのゴミ袋をお渡ししたり、掃除した泥の回収に行ったりします。
ー外に出ている時間が多いのでしょうか?
小西:事務職の方に比べれば圧倒的に多いですが、ずっと外にいるわけではありません。実はパソコンに向かって作業している時間も意外と長いんです。入庁前はもっとずっと外にいるイメージだったので、そこも一つのギャップでした

女性1人目の技師として。温かい職場に支えられて
ー土木の現場というと、どうしても男性が多いイメージがありますが、そのあたりはいかがですか?
小西:確かに男性が多い職場ですね。実は久御山町役場で、女性の技術職(技師)として採用されたのは私が初めてなんです。最近は私の母校から後輩の女の子も入ってきてくれて、少しずつ仲間が増えてきているのが心強いです。
ー職場内での教育体制はどうなっていますか?
小西:指導担当の先輩は決まっているのですが、役場全体の方針として「職場のみんなで育てていこう」という空気があります。特定の誰かだけでなく、誰に何を聞いても親身に教えてくれる環境なので、すごく助かっています。
皆さん穏やかで、話しやすいですよ。人間関係で悩むことがないので、そこは本当に恵まれているなと感じます。
リアルなワークライフバランスと公務員の「本音」
ーお仕事の忙しさや、お休みについてはいかがですか?
小西:正直に言うと、年度末など忙しい時は本当に忙しいです。また、雨がひどく降ると、洪水を防ぐための施設を見に行かなければなりません。夜中に出動することもあるので、それは大変だなと思うこともあります。
ただそれ以外では、自分なりにメリハリをつけるようにしているので、休める時はしっかり休みます。有給休暇も、仕事の都合さえ付けば周りを気にせずに取れる雰囲気です。
「飽き性」な私にこそ、この仕事が合っていた
ー小西さんにとって、久御山町の技術職としてのやりがいは何ですか?
小西:私、実は結構な「飽き性」なんです(笑)。だから、一つのことだけをずっと突き詰めるよりは、いろいろなことを経験したいタイプで。
ーなるほど、だから先ほどの「道路も公園も水路も」という環境が合っているのですね。
小西:まさにそうです。大きな自治体で「道路だけ」を何年も担当するのは、私には向いていなかったかもしれません。今日は道路の補修について考えて、明日は公園の維持管理について考える。そうやって多岐にわたる業務に携われることが、私にとってはいい刺激になっています。
ー最後に、これから自治体の技術職を目指す方、特に久御山町を検討している方にメッセージをお願いします。
小西:久御山町は小さな町ですが、その分、自分の仕事が目に見える形で町に残ります。住民の方との交流も多く、「ありがとう」の声を直接聞ける機会もたくさんあります。技術職としてのスキルはもちろん、人間としての幅も広がる仕事かと思います。
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年5月取材)
「自分は飽き性だから」と笑いながら話してくれた小西さんですが、その言葉の裏には、多種多様な課題に対して柔軟に対応できる高い適応能力と、技術職としての確かなプライドが感じられました。



