「自然が豊かなところと、人の温かさ。これは本当に、どこにも負けていないと思います」——そう穏やかに語るのは、岡垣町役場こども未来課で働く入庁5年目の安永さん。福岡県田川郡で生まれ育ち、下関市立大学で公共政策を学んだ後、知り合いの一人もいない岡垣町に飛び込みました。
今回は、公務員を目指す方に向けて、岡垣町の一般事務職の仕事内容や働く魅力、そして職場の雰囲気について、オンラインでたっぷりとお話を伺いました。
- 父が公務員、選んだ決め手は「人」。書類提出で感じた優しさ
- 児童手当から離婚相談まで。「紙一枚の裏側」を支えるこども未来課の仕事
- 最初は未知の世界。先輩とメンター制度に支えられて育つ
- 同僚と旅行、家から5分の海。「来てよかった」と思える町で
父が公務員、選んだ決め手は「人」。書類提出で感じた優しさ
ーまずは安永さんのご経歴について教えてください。
安永:福岡県田川郡出身です。岡垣町からは車で50分くらいかかるので、近くはない距離ですね。今は岡垣町で一人暮らしをしていて、入庁のタイミングでこちらに引っ越してきました。
ー公務員を意識し始めたのは、いつ頃だったのでしょう。
安永:もともと父親が公務員なので、小さい頃から仕事のことは知ってはいました。実際になろうと思ったのは、高校や大学を選ぶ段階くらいからですね。学部もそのあたりを意識して、公共マネジメント学科を選びました。
ー数ある自治体の中で、最終的に岡垣町を選んだ決め手は何でしたか。
安永:受験を申し込むために書類を提出しに行った時に、応対してくれた職員の方がみんなすごく優しかったんです。私はとても人見知りなんですけど、それでも話しやすいなと感じて、「こんな素敵な職員の方がいる職場で働きたいな」と思いました。
実は県庁にも内定はいただいていたんですけど、「やっぱり岡垣町の公務員として住民の方と深く関わりたいな」と思って、この道を選びました。

児童手当から離婚相談まで。「紙一枚の裏側」を支えるこども未来課の仕事
ー入庁以来ずっとこども未来課とのことですが、具体的な業務内容を教えてください。
安永:最初の2年間ほどは、児童手当やひとり親家庭の手当など、手当関係を担当していました。児童手当の仕事は、お子さんが生まれたときや転入されたときに、まず認定の書類を書いてもらって、それをもとにシステム上で入力・支払いデータを作成し、実際にお支払いするという流れですね。
ひとり親家庭の手当も流れは同じようなイメージなんですけど、その前にまず離婚相談から始まることが多くて。1年目から、さまざまな離婚のお話を聞いて、手当の案内や相談機関の紹介といったことをお伝えしていました。今は幼稚園や保育園の入所関係の業務を担当しています。
ー今の幼稚園の入所関係のお仕事についても教えてください。
安永:主に幼稚園を担当していて、幼児教育・保育の無償化の認定が中心です。無償化は3歳になったら自動的になるわけではなくて、申請書の提出が必要となります。
業務としては、その申請書を受け取った後、システムに入力して、認定通知を園や保護者の方にお渡しする、というのが大まかな流れになります。
ー実際に働いてみて、学生の頃にイメージしていた公務員像とのギャップを感じたことはありましたか。
安永:学生の頃には具体的な業務まで考えられませんでしたが、実際に入庁してみると、一つの手続きの奥にこんなに多くの工程があるんだと驚きました。
例えば児童手当も、受け取る側としては「紙一枚」の手続きで終わりですけど、その裏側では、認定や入力、支払いといった細かな仕事が積み重なって、自分たちに還元されていたんだというのを実感しました。

最初は未知の世界。先輩とメンター制度に支えられて育つ
ー仕事の中で、厳しさを感じた面はどんなところでしたか。
安永:やっぱり最初の頃は、自分も知識が全然ない中で、しかも社会人としての対応能力もまだなかったので、質問されてわからなかったときの対応の仕方が難しかったです。そこが一番大変でしたね。
わからないときは、自分で調べたりもしましたが、特に先輩にはすごく助けてもらいました。そうやって経験を重ねるにつれて、少しずつ自分で答えられることも増えていきました。
ー岡垣町には、メンター制度もあるそうですね。
安永:あります。入庁1年目の職員に対してつく制度で、私自身もメンターについてもらいました。基本的に違う課の先輩との交流という形になります。どうしても他の課の先輩と関わることはなかなかないので、全然違う課の人と話せる機会を設けてもらえるのは、すごくありがたかったです。
今は逆に私がメンターをする側になっていて、都市建設課の後輩を見ています。最初に顔合わせの場を設けたあとは、日々の中で関わりを重ねていく形なので、会ったときや見かけたときには声をかけて、困っていることはないかをさりげなく確認するように意識しています。
ー5年目になって、ご自身で成長したなと感じる部分はありますか。
安永:やっぱり不特定多数の方と接するので、相手に合った喋り方ができるようになったかなと思います。急いでいる方には必要な情報を端的にお伝えして、じっくり聞きたそうな方にはこちらから「こういう制度もありますよ」とご案内したり。お一人おひとりに応じた対応ができるようになりました。

同僚と旅行、家から5分の海。「来てよかった」と思える町で
ー仕事の中で、やりがいや達成感を感じるのはどんなときですか。
安永:住民の方の相談に親身になって対応した結果、感謝されたときはやりがいを感じますね。例えば各家庭の事情を聞いて、その家庭に合いそうな保育園や幼稚園を案内するんですけど、入園後に、「おかげさまで子どもが毎日楽しそうに通えています」という報告を聞けたときには、本当にうれしい気持ちになりました。
あと、私を頼りに窓口に来てくれる方がいたときも、励みになります。何回か対応しているうちに、顔見知りになり、頼りにしてもらえる。そんな方が5年目になって増えてきたように感じます。
ー職場の雰囲気や、上司・先輩との関係はいかがですか。
安永:最初に書類を出しに来たときからそうなんですけど、岡垣町は本当に優しい人、いい人ばかりなんです。他の課の人とも仲良くさせていただいていて、すごく話しやすいし、困ったことがあってもすぐ相談に行けたりします。
誰も知り合いがいない状態からのスタートでしたが、今となっては休日も一緒に遊んだり、旅行に行ったりするような仲間に出会えたので、「岡垣町を選んでよかったな」と心から思っています。

ー安永さんだからこそ感じる、岡垣町の「町の魅力」はありますか。
安永:私、海が好きなんですけど、家から車で5分で行けるんです。あと、夜に家に帰って空を見たらすごく星がきれいで。自然に勝手に癒されるみたいな感じで、これはすごく気に入ってます。
ー最後に、公務員を目指している方へメッセージをお願いします。
安永:とにかく自然が豊かなところと、あと人の温かさ。これは本当にどこにも負けていないと思います。私自身、縁もゆかりもない土地でのスタートでしたが、職員のみなさんが温かく迎えてくれました。
町の規模だからこそ、住民の方と直接関わって、感謝の言葉をいただける場面もたくさんあります。働く環境としても、暮らす場所としても、すごく魅力のあるところなので、ぜひ岡垣町を選んでもらえたらうれしいです。

ー本日はありがとうございました。
人見知りだと言いながらも、ひとつずつ言葉を選んで、終始穏やかに答えてくれた安永さん。知り合いのいない土地に飛び込み、それでも「来てよかった」と言い切れるのは、受験を申し込みに行ったあの日に感じた優しさが、5年経った今も変わらず続いているからなのでしょう。
住民の方と直接関われる町の仕事に、自分らしいやりがいを見つけた安永さんの表情からは、自ら選んだ道への確かな手応えが伝わってきました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年6月取材)



