佐賀市役所で一般事務職として働く米山さんのインタビュー記事です。
大手都市銀行に新卒で入行し、4年間勤務した後、佐賀市役所に転職した米山さん。これまでに商業振興課や保険年金課、さらには内閣府への出向など、多彩なキャリアを歩んできました。
佐賀市役所で働くことの魅力ややりがいとは何か。転職を考えている方必見の、リアルな働き方や想いに迫ります。
ーまずは、これまでの経歴と、転職を考えたきっかけを教えてください。
米山:出身は長崎県の五島で、大学進学を機に佐賀に来ました。佐賀大学の大学院まで進み、数学を専攻していました。卒業後は、大手都市銀行に入行し、大阪で2年半、北九州で1年半の計4年間勤務しました。
転職の理由は、前職では全国転勤があったという点が大きいです。学生時代からお付き合いをしていた妻が佐賀県内で働いているため、私が銀行員として全国転勤を続けるよりも、地域に根差した働き方をする方が良いのではないかと考えたのが始まりです。

ー数ある自治体の中で、なぜ佐賀市を選ばれたのですか?
米山:まず、公務員を目指した理由は、銀行員として様々な企業と関わる中で、一つの地域に腰を据えて企業やまちの成長を見届けたいという想いが強くなったからです。
全国転勤だと、どうしても2、3年で担当が変わり、お客様との関係も途切れてしまいます。それよりも、自治体職員として長く地域に関わる方が、自分の性格にも合っていると感じました。
その中で佐賀市を選んだのは、大学と大学院で6年間過ごした、馴染みのある場所だったというのが大きいですね。妻の実家も佐賀にありますし、妻自身も佐賀で働いているので、自然な流れでした。
佐賀市以外は考えず、ここ一本で受験しました。
ー入庁後のキャリアについて教えてください。どのような部署を経験されましたか?
米山:平成30年度に入庁し、今年で8年目になります。
最初の配属は、商業振興課でした。ここでは3年間、中心市街地の活性化や事業者の支援を担当しました。銀行出身という経歴から、民間での経験を活かせる部署からのスタートで、スムーズに業務に入ることができました。
その後、保険年金課に2年間所属し、国民健康保険税の収納整理係として、主に滞納されている方への納税相談や、時には差し押さえといった業務も経験しました。
そして、佐賀市には省庁への派遣制度があるのですが、それに手を挙げて、内閣府の地方創生推進事務局に2年間出向しました。
ー内閣府では、どのようなお仕事を?
米山:私が担当したのは、自動運転やドローン、AIといった未来技術を活用して、地域の課題を解決しようとする自治体をサポートする仕事です。
内閣府での経験で良かったのは、視野が大きく広がったことですね。全国の自治体職員はもちろん、民間企業から出向されている方々と一緒に働く中で、本当に良い刺激を受けました。
皆さん、それぞれの組織から自信を持って送り出されてきた優秀な方ばかりなんです。
規制緩和の調整なども担当し、法律の壁にぶつかっている自治体と、その法律を所管する省庁との間に入って交渉するようなこともありました。
大変でしたが、自分の働き方や、佐賀市のために何ができるかを改めて見つめ直す、非常に貴重な経験になりました。
そして出向を終え、今は財政課で1年目を迎えたところです。現在は主に教育部の予算管理を担当していて、学校の建て替えや図書館の大規模改修などに関わっています。
今はちょうど昨年度の決算が出たタイミングなので、その分析作業に追われている毎日です。

ーこれまでの仕事で、特にやりがいを感じるのはどのような瞬間ですか?
米山:一言でいうと、「誰かの役に立ったな」と実感できた瞬間ですね。これは、どの部署にいても共通しています。
商業振興課時代は、事業者さんや中心市街地のために。保険年金課では、納税に困っている市民の方に寄り添い、分割納付などのご提案で感謝されたときにやりがいを感じました。
内閣府では、私が動いたことで、ある自治体が国の補助金を取れたり、規制緩和に向けて一歩前に進めたりしたときは嬉しかったですね。
そして今の財政課でも、担当する部署からの相談に乗り、予算の面から事業をサポートできたときに、この仕事の意義を感じます。
もちろん、直接「ありがとう」と言葉をいただくのは嬉しいですが、それがなくても、自分の仕事が誰かのためになったと思えれば、勝手に満足しています(笑)。
ー逆に、仕事で大変だったことや苦労したことはありますか?
米山:やはり、コロナ禍の時が一番しんどかったですね。当時は商業振興課にいましたが、制度設計もゼロからですし、先行事例も少ない中、疲弊している事業者や市民の皆さんのために何ができるのか、常に考え続ける日々でした。
本当に大変な時期でしたが、一番辛い思いをされているのは事業者や市民の皆さんですから、「自分たちが弱音を吐いてはいけない」と、皆で踏ん張っていました。

ー銀行での経験が、今の仕事に活きていると感じることはありますか?
米山:まずは、数字を見ることへの抵抗がないこと。むしろ、決算書などの数字を分析して、その背景に何があるのかを考えるのは楽しみながらできています。
あとは、対人関係の構築力ですね。銀行時代は、外回りでお客様と直接お話する機会が多かったので、角を立てずにコミュニケーションを取るスキルは身についたと思います。
ー入庁前に抱いていた公務員のイメージと、実際に働いてみてのギャップはありましたか?
米山:正直に言うと、最初は「公務員は定時で帰れる」というキラキラしたイメージを抱いていました(笑)。でも実際は、部署や時期によっては残業もしますし、ハードな一面もあります。
一番のギャップは、仕事内容の複雑さですね。部署を異動すると、それまでとは全く違う業務を担当することになるので、一から勉強し直さなければなりません。
これは大変な部分でもありますが、常に新しいことを学べるという点では、逆に魅力でもあると感じています。
ー研修体制や教育体制については、いかがですか?
米山:入庁してすぐ、2週間ほどの新人研修がありました。座学で各部署の業務内容を学んだり、グループで旧市町村について調べて発表したりと、同期との絆を深める良い機会になりました。当時は宿泊研修もあり、とても面白かったです。
配属後は、「チューター制度」といって、先輩職員が1対1で指導してくれる制度があります。私の指導員は、同じく民間企業から転職されてきた方だったので、民間の気持ちも公務員の気持ちも分かり合える心強い存在で、優しく指導していただいたのを覚えています。
ー佐賀市役所の働き方や職場の雰囲気について教えてください。
米山:残業については、先ほどお話ししたように部署や時期によりますが、市として働き方改革を進めています。
例えば、今は試行的に「勤務間インターバル制度」を導入していて、退庁から次の出勤まで10時間半空けましょうという取り組みが始まっています。職員の健康管理にも配慮した、良い制度だと思います。
休暇もすごく取りやすい雰囲気ですね。もちろん、繁忙期を避けたり、課内で調整したりはしますが、「休みづらい」と感じたことはありません。
職場の雰囲気は、とても風通しが良いです。今の財政課も、上司や同僚と気兼ねなく話せますし、相談事にもすぐ乗ってくれます。逆にもう、すぐに答えを教えてくれるので、「まずは自分で考えないと!」と自分を戒めるくらいです(笑)。
ー職員間の交流などはありますか?
米山:私は野球部に所属していて、部署や年齢を超えた交流があります。練習にはなかなか参加できていないのですが…(笑)。試合の後の飲み会などで、普段は関わらない部署の方と話せるのは楽しいですね。

ー最後に、佐賀市役所を目指す方々へメッセージをお願いします。
米山:もし可能であれば、学生のうちから佐賀市のことにアンテナを張っておくと、入庁後に必ず活きてくると思います。新聞やニュースで佐賀市の取り組みを知り、「自分だったらどうするかな」「もっとこうしたら良くなるんじゃないか」という視点を持つことができれば、それは大きな強みになります。
「誰かの役に立ちたい」「まちを良くしたい」という熱い想いを持った方、ぜひ私たちと一緒に働きましょう!
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年6月取材)