兵庫県南あわじ市役所、教育総務課の近江さん(入庁22年目)と農地整備課の橋本さん(入庁9年目)のインタビュー記事です。事務職として入庁しながら、働きながら建築士の資格を取得し建築現場の領域へ飛び込んだ近江さんと、県への派遣を経て土木の現場で活躍する橋本さん。
「市役所の仕事は一つじゃない」を体現するお二人に、キャリアチェンジの裏側や、定時退庁を貫くメリハリのある働き方について、本音で語っていただきました。
「税務」から「建築」、「福祉」から「土木」へ。異動はまるで転職?
ーまずはお二人のこれまでの経緯と、現在のお仕事について教えてください。
橋本:入庁時は福祉課に配属され、民生委員さんの団体運営や障害福祉関係の事務を担当しました。その後、総務課へ異動し、統計調査や法令の審査業務を経験しました。
そして兵庫県への派遣研修として洲本土地改良事務所で2年間勤務し、令和7年度からは南あわじ市役所の農地整備課に戻り、現在はため池の改修工事や農地の災害復旧など、現場に出る仕事をメインに行っています。
近江: 私は平成16年に旧南淡町役場に入庁し、合併を経て南あわじ市の職員となりました。最初は総務課、次に税務課に配属され、そこで産休・育休を挟みながら通算7年ほど税務の仕事をしました。
その後、ふるさと創生課で移住定住の促進やふるさと納税を担当し、令和4年度からは建築技術室という部署へ異動しました。そこで「道の駅」周辺の大規模な整備事業に携わり、現在は教育総務課で小中学校の施設整備、つまり雨漏りの修繕やLED化の推進といった学校施設の維持管理を担当しています。
ーお二人とも、事務職として入庁されていますが、現在は技術的な分野で活躍されていますね。特に近江さんは、働きながら大学に通われたと伺いました。
近江:そうなんです。きっかけは税務課時代に固定資産税を担当したことでした。 固定資産税の評価をするために、市内のお宅を一軒一軒回って家屋調査をするのですが、そこでいろいろな家の間取りや構造を見るのが面白くて、建築に興味を抱きました。
そこから、設計を学ぼうと働きながら通信制の大学に入り直して建築の勉強を始めました。
ー働きながらの大学生活は大変だったのではないですか?
近江:当時は子供が保育園に通っていた時期でもありましたのが、家族の協力もあってなんとか両立できました。3年かけて卒業し、せっかくならと二級建築士の資格試験にも挑戦して、運良く合格することができました。
それを人事評価のシートに書いて「建築関係の部署に行きたい!」とアピールしていたら、本当に建築技術室への異動が叶ったんです。
ー建築技術室で、いきなり大規模なプロジェクトを担当されたとか。
近江:希望通り建築の部署で、いきなり担当が「道の駅うずしお」周辺の整備事業という、市の中でもトップクラスに巨大なプロジェクトでした(笑)。
非常に驚きましたが、周りには専門知識を持った上司やプロフェッショナルな職員がいてくれたので、技術的な部分は教わりながら、私は事務的な調整や発注業務に徹することでなんとか乗り切れました。
更地だった場所に建物が建ち上がっていくプロセスを間近で見られたのは、本当に感動的な体験でした。
「現場に出たい!」自ら手を挙げた県への派遣
ー橋本さんは、県への派遣をご自身で希望されたそうですね。
橋本: はい。入庁してから「福祉課」で窓口業務、「総務課」で企画業務を経験しました。市役所の仕事には大きく分けて「窓口」「企画」「事業」の3つがあると思っているのですが、若いうちにこの3つ目の「事業」、つまり実際に工事に関する業務を経験しておきたいと思ったんです。
市役所の中にいるだけでは経験できない大規模な工事の知識を学ぶために、県への派遣制度に手を挙げました。
ー実際に県での仕事はいかがでしたか?
橋本: 「ほ場整備」といって、昔ながらの形が悪い田んぼを、トラクターが入りやすいように四角く整備し直す事業を担当しました。 全くの未経験だったので、最初は図面の見方も機械の名前も分かりませんでしたが、県の職員さんに教えていただきながら現場に入りました。
何も知らない状態から飛び込んだので工事の進め方や積算の知識、農業に関する用語などを1から学び、今の農地整備課での仕事に関係する知識を身につけることができました。

「おしゃべり」が最強の武器。窓口と現場で感じる、それぞれのやりがい
ー仕事をしていて、どんな時にやりがいや面白さを感じますか?
橋本: 私は根っから「人と喋ること」が好きなんだと思います。 福祉課時代もそうでしたが、窓口で住民の方のお話を聞いて、手続きの方法だったり、関係する部署へ案内するのがすごく楽しかったんです。
今の農地整備課は、農家さんから困りごとを聞いて、現場に行って直接話をして解決策を考える仕事です。現場で地域の方と話しながら、修繕方法を考えたり、関係する補助金を勧めたりして、役に立てた時に「ありがとう」と言っていただけるのが、今のやりがいです。
近江: 私は「新しいことを楽しむ」ことに尽きますね。 正直、入庁した時は単調な仕事なのではとおもっていました。でも実際は、数年ごとに異動があって、まるで転職したかのように仕事内容が変わります。
税務課で家の評価をしたり、ふるさと納税で特産品のPRをしたり、今は学校施設の工事を発注をしたり。その時々で新しい知識が必要になりますが、それを全力で面白がることで続けられています。
今の学校整備の仕事も、自分の母校や身近な子どもたちが通う学校に関われるので、「ここのトイレ古いままだな、直してあげたいな」と、自分事として捉えられるのが嬉しいですね。
「17時半以降は私の時間」。定時退庁を貫く、南あわじ流・ワークライフバランス
ー働き方についてお伺いします。残業やワークライフバランスについてはいかがですか?
近江: 私は基本的に「残業はしない」というスタンスを貫いています。よっぽど緊急の仕事がない限り、定時である17時15分を過ぎたらすぐに帰ります。 17時半以降は完全に自分の時間です。
子供の送り迎えはもちろんですが、週末は飲み歩いたり、美味しいものを食べに行ったりと、プライベートを全力で楽しんでいます。 遊ぶために働く(笑)と言っても過言ではないので、その分、勤務時間内は集中して効率よく仕事を終わらせるようにしています。
橋本: 私も働き方は同じです。部署にもよりますが、今の部署も含めてこれまで経験した部署では、繁忙期を除けば基本的に定時で帰ることができています。 上司や先輩も早く帰る雰囲気を作ってくれているので、帰りづらさもありません。有給休暇も取りやすいですし、プライベートの時間もしっかり確保できています。
ー職場の雰囲気はいかがですか?
橋本:雰囲気もすごく良くて、上司や同僚も優しい人ばかりです。 ミスをしてしまった時も、「どうやって挽回するか」を一緒に考えてくれる頼もしい先輩たちに囲まれています。
近江: 私も今の部署に異動した時、周りが静かそうに見えて「馴染めるかな」と心配したんですが、話してみたらみんな気さくで(笑)。どこに行っても楽しく仕事ができていますね。
「異動」ができる強み。資格取得で広がる公務員のキャリア
ー最後に、今後の目標や、南あわじ市役所を目指す方へのメッセージをお願いします。
橋本: 私は今後、今の部署での経験を活かして、土木関係の資格取得に挑戦したいと思っています。資格取得には一定の実務経験年数が必要なのですが、今のうちに現場でしっかり知識を吸収して、将来的には「事業」も「窓口」もできるオールラウンダーになりたいですね。
近江: 公務員の良さは、一つの組織にいながら多様なキャリアを築けることです。希望を出して、全く違う分野に挑戦できるチャンスがあります。そして、その先々で得た経験や資格が、意外なところで繋がって役に立つこともあります。
「事務職だからこれしかできない」と決めつけず、やりたいことがあればどんどん声に出して挑戦できる環境が南あわじ市にはあります。好奇心旺盛な方には、ぴったりの職場だと思います。
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年1月取材)
お二人に共通しているのは、与えられた仕事をただこなすのではなく、自ら楽しみを見つけ、主体的にキャリアを切り拓いている姿勢です。事務職として入庁しても、本人の意欲次第でプロフェッショナルを目指すことができる。そんな柔軟性と可能性が、南あわじ市役所にはあります。



