上下水道係という一見イベントとは無関係な部署に所属しながら、自身の夢でもあった町を盛り上げるイベントを数多く開催している山形さん。そのきっかけや具体的なお仕事内容についてお伺いしました!
ー山形さんが豊富町役場に入庁された経緯を教えてください。
山形さん:私は豊富町出身で、幼少期からアニメやゲームの大会が全く無い豊富町が嫌で仕方なく、「役場に入れば何か変えれるのではないか?(若かりし日の夢)」と思っていました。公務員対策試験ノートには「目指せ革命家」と書いていたくらいです。(高校の先生には絶対面接で言うなと口止めされました)
その後、職場体験で初めて役場の中に入り、そのときいろいろと案内してくれた商工観光課の係長が本当に熱意のあるかっこいい方で役場の見方も変わりました。こんな熱い人になりたいと思うようにもなりました。
ー入庁後は上下水道係に配属されたとのことですが、そこでどのようにご自身のやりたかったことを実現しているのでしょうか。
山形さん:大きなもので言うと、『ポケモンマンホール(ポケふた)の設置』や『ガンダムマンホール誘致』などがあります。どちらもマンホールを寄贈していただける企画なのですが、豊富町では寄贈に止まらずオリジナルグッズの展開やイベントの開催なども行っています。
ーどういった経緯でこれらの仕事を手がけることになったのですか?
山形さん:最初に手がけたのは令和元年のポケふたの設置です。当時の北海道知事がポケモンとコラボして北海道の活性化を推進しようという取り組みの中で(きつねポケモンのロコンがメイン)、各市町村にポケふたの寄贈案内が来て、そこに手を挙げてマンホールを寄贈いただいたという経緯です。
ポケモンは誰もが知る大きなコンテンツで、自分ももちろん世代なので、すぐに手を上げてみました。課の上司たちもポケモンが好きで後押ししてもらい、寄贈いただけたのでラッキーでした。
今は廃止となりましたが、当時はポケふたの設置だけでなくグッズ販売なども行いました。製造についてヴィレッジヴァンガードさんと密に連絡を取らせていただくなど、今振り返って見ると入庁した当初は考えられなかったような事をしているなと思います。入庁した当時から10年程は施設の維持管理や料金事務を携わっており、この数年間ハイスピードで一生分の経験や全国の方との出会いに恵まれました。
ーガンダムマンホールはどういった経緯で?
山形さん:元々は地元の事業者さんから下水道を活用した観光事業に対する寄付金をいただいたことがきっかけでした。「使い方はお任せするよ」と言ってもらい、ガンダムマンホールのことも教えてくれたんです。おそらくポケふたやマンホールカードの実績があったからかと。
ガンダムとのタイアップなんて豊富町一生に一度のチャンス!と思い令和3年に応募し令和4年に寄贈いただきました。ただ、寄贈だけで終わらせるのではなく、その後も数多くの関連イベントを実施しました。令和5年8月までに抽選会、グッズ販売、ノベルティ配布、ガチャガチャ設置など22のイベントを実施しました。
私自身、平成4年生まれで初代ガンダムから20年後の世代でして「機動武闘伝Gガンダム 」いわゆるマスターガンダム世代であり、初代ガンダムは再放送で見ていた程度でした。ガンダムはもちろん知っていて、ゲーム、漫画、アニメも触れてきていますし、興味もあります。
だからこそ、寄贈する/されるの関係性ではなく、企画設定についても再三、(株)サンライズとお打ち合わせを重ねてお話をしてきました。豊富町をガンダムとの紐づけをするために設定ストーリーを提案させて頂くこともあります。結果的にその提案ストーリーも勘案しながら、自分で言うのも恐縮ですが「熱意」でガンダムマンホールプロジェクト第2弾の内定を頂きました。
ー大チャンスを掴みましたね!
山形さん:そうですね。今ではガンダムマンホールやグッズを目当てに町外からくる人も多くて、観光にも多少なりとも良い影響が出ているように感じます。ガンダムマンホール関係のイベントでは特に世代の4~50代の方や親子でも楽しめるような企画も多く老若男女問わず好評いただいています。
平成30年度から始めた、ガンダムを含むマンホールカードの配布数は現在までで2万8千枚を突破しています。町への経済効果は間違いなく出ている事と思っています。
とはいえガンダムマンホールについては最初から順調だったわけではなく、当初の打合せでは『豊富町単体ではマンホール設置後の事業展開のしづらさ』『PRの弱さ』が課題となっていました。そこで、同じくポケふたの寄贈を受けた近隣自治体の稚内市さん天塩町さんへお声掛けしてみたところ、「一緒にやりますよ!」と二つ返事をいただいて3市町で展開していくことになったんです。
ー通常業務がある中で大きな仕事をされているかと思いますが、苦労されたことなどはありますか?
山形さん:直近ですと、令和4年3月、市街漏水対応と4月のガンダムマンホールのイベント準備が重なったときは非常に大変でした。停電のときも家に帰れませんでした。でも水道は止められません。蛇口から水は必ず出続ける「当たり前のもの」だからです。自分の業務の重大さを改めて感じましたし、町を支える仕事だと考えると胸が熱くなりました。
ーとても重要なお仕事ですね。普段どのようなお仕事をされているのでしょうか。
山形さん:通常業務としては、下水道事業の経営と運営、料金や契約周り、工事等全般を担っており、水道技術管理者として水道施設維持管理(直営)も兼任している状況です。
24時間止める事のできない上下水道維持管理という(休日、夜間問わず故障対応有り)大事な仕事をしている危機感と責任をもちつつ、楽しいマンホールイベントを合間に実施しています。
ー忙しい中でいつイベントの企画を考えているのですか?
山形さん:業務時間内にまとまった時間をとるのは難しくて、日々の隙間時間にネットやSNSで情報収集したり、ふとした瞬間にアイディアを思い付いたり、結構片手間ですね。好きだからこそ出来るのだと思います。
ーなるほど。自由にやらせてくれる職場のイメージですが、実際の雰囲気はいかがでしょうか?
山形さん:14年上下水道部署に在席していますが、上司、町長ともに「好きにやりなさい、責任は俺がとる」と言ってくださり、ダメ元で怖がらず挑戦できる環境です。微力ながら、その結果町の振興にも貢献できている部分もあるかと思っていますし、これからも自分に出来ることをどんどんやっていきたいです。
今後は実施したあとの成果もしっかり分析し、ノウハウを蓄積しながら次につなげていける体制づくりもしていきたいです。
ーありがとうございます。最後に、山形さんにとっての仕事の原動力を教えてください。
山形さん:日々やりがいを原動力に動いています。住民の皆さんの当たり前をつくり、町の生活を支えられている役場行政の仕事、そしてガンダムマンホールのイベントの仕事と両方をできる自分は幸せものだと感じています。どちらも、住民の方から「ありがとう」と改めて言われることがあり、そういうときに「この仕事をしていて良かった」と再認識します。
『地元のイベントで子どもの笑顔をつくる』ことが特にやりがいを感じる瞬間です。個人的には、マンホールの聖地と呼ばれるようになりたい!豊富町がアニメとゲームの町になってほしい!という野望もあって、SNSなどでマンホールを目当てに豊富町へ来てくれている人を見るのもやりがいにつながっています。
これからも頑張ります!
―本日はありがとうございました!