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和水町役場

和水町は熊本県の北部に位置しており、福岡都市圏へ車で約60分という利便性を持ちながら、豊かな自然と歴史の息吹が共存する、穏やかで住みよい町です。 本町は、国宝「江田船山古墳」や国指定史跡「田中城」など、古代から中世の歴史ロマンあふれる地です。また、日本人初のオリンピック選手「日本マラソンの父」金栗四三氏の生誕地として、「体力・気力・努力」の精神を町の誇りとして大切にしています。 私たちは現在、子育て支援の充実や、移住・定住促進に力を入れています。切れ目のないサポートで、住民一人ひとりに寄り添った温かい行政を推進しています。 和水町の役場職員の仕事は、地域と深くつながり、その成長を肌で感じられるやりがいに満ちています。歴史を未来へ紡ぎ、住民の笑顔を支える。そんな誇りある仕事を、ここ和水町で私たちと一緒に始めませんか。

生半可じゃいけない。和水町職員が15年かけてたどり着いた、地元への恩返しの形

和水町役場

2026/08/03

「住民の方の笑顔を見るのが、一番のやりがいなんです」

 

そう穏やかに語るのは、和水町役場まちづくり課で商工観光係として働く、入庁15年目の戸上健太さん。生まれも育ちも和水町。地域のイベントに囲まれて育ったこどものころの記憶が、そのまま「この町のために働きたい」という思いに変わり、平成24年度に和水町役場へ入庁しました。

 

今回は、そんな戸上さんに、地元への思いと、これまで歩んできた15年間について、たっぷりとお話を伺いました。

 

 

 


 

地元が育ててくれた恩を、返したい。一度の挫折を越えてたどり着いた、公務員という選択

 

ー本日はよろしくお願いいたします。まず、和水町役場を志望されたきっかけを教えてください。

 

戸上:生まれも育ちも和水町です。小中学校の頃、地元のおっちゃんたちが土曜日に水泳やものづくりの体験教室を開いてくれていて、その記憶が今も忘れられません。地域の大人たちに育ててもらったという感覚があって、それがそのまま、この町のために働きたいという思いにつながっていきました。安定やお金の面は、正直まったく考えていませんでした。

 

 

ー民間企業も考えず、公務員一本だったのでしょうか。

 

戸上:民間企業は考えなかったですね。高校を卒業する時点で、もう公務員一本に絞っていました。実は、高校3年生のときに一度、和水町役場を受験しているんですが、2次試験の面接で不合格になってしまいました。同じ高校の同級生は合格していたので、正直『なぜ自分が』という思いもありましたね。そこで、公務員専門学校に1年間通うことを決めました。

 

 

ー地元への思いは、進路を決めるうえでも支えになったのでしょうか。

 

戸上:そうですね、地元で働きたいという思いは変わりませんでした。ただ、双子の兄が大学進学を決めていて、2人同時に大学へ進学すると親の負担が大きくなってしまうという事情もあったので、役場に入るか消防をめざすか考えたすえ、最終的に役場を選びました。1年間の専門学校生活を経て、無事に合格することができました。

インタビュー

 

「町のことを知らなかった」という原点。独学で磨いた、伝える力

 

ー入庁後、どのようなお仕事をされていたのですか。

 

戸上:経済課で観光を担当する係だったので、町の古墳祭りというイベントの運営や、観光PRで外に出ていくことが主な仕事でした。ただ、配属されてすぐ、外部の方から観光施設への行き方などを尋ねられる機会が多くあって、そのとき『自分は町のことを、これまで何も知らなかったんだ』と気づかされたんです。

 

地元で生まれ育ったつもりでいたのに、いざ説明する立場になると、何も答えられない自分がいました。

 

 

ーそこから、どのように町のことを学ばれたのでしょうか。

戸上:とにかく町内を回りました。自分が知らないと説明できませんから。それまでは、ただ好き勝手に和水町で楽しく過ごしていたんだなと、あらためて気づかされましたね。1年目は、いろいろな場所に足を運んだ記憶があります。

 

 

ー町を知ろうと歩き回るなかで、住民の方や事業者の方とのやり取りでは、どのような難しさがありましたか。

 

戸上:19歳で入庁しているので、年上の事業者さんとのやり取りも多くありました。契約や打ち合わせの場面では、何でも言いなりになってはいけないと感じる一方で、町としてこうしたい、こうしてほしいという伝え方は、ずっと意識してきましたね。相手にどういう順序で伝えれば理解していただけるのか、というのは、今もまだまだ勉強中です。

 

 

ーその伝え方は、どなたかに教わりながら身につけていったのでしょうか。

 

戸上:特に、この人の伝え方をお手本にしたということはありませんでした。行政は意思決定までのプロセスがとても大変だと感じていたので、上席の方や住民の方にどう伝えればいいか、どんな資料を作れば分かりやすいのかを、自分なりに考えながら少しずつ身につけていきました。

 

相手の目線でどうすればすっと伝わるのか、というのは今も意識していて、そういった説明の仕方を紹介するYouTube動画を、ついつい見てしまうこともあります。

 

 

普段の業務の様子

 

 

「生半可じゃいけない」。町のロゴとキャッチコピーに懸けた1年

 

ーそこから数年を経て、異動された社会教育課では、どのようなお仕事を担当されていたのでしょうか。

 

戸上:社会教育係を5年、社会体育係を2年3カ月経験しました。公民館の施設管理から、子ども会の運営、ペーロン大会、東京オリンピック2020の聖火リレー、金栗マラソン大会の運営まで、とにかくイベントが多い7年3カ月でした。

 

日にちが決まっているイベントは、成功して当たり前という前提があるので、事前の調整とスケジュール管理を徹底することを常に意識していました。

 

 

ー成功して当たり前というお話がありましたが、戸上さんにとってイベントの「成功」とは、どのようなものだと感じていますか。

 

戸上:何事もなく、滞りなく終わること。それが私にとっての最低ラインであり、成功だと思っています。前例のない初めての事業であっても、その基準は変わりません。だからこそプレッシャーはありますが、参加された方の笑顔を当日に見られることが、何よりのやりがいになっています。

 

 

ーイベント運営で経験を積まれたあと、まちづくり課ではどのような仕事に携わることになったのでしょうか。

 

戸上:町のブランドロゴとキャッチコピーの制作を担当することになりました。ちょうど新しい町長が着任されたタイミングと重なって、まちの顔になるものなので、生半可なものにはできないという思いが強くありましたね。

 

 

ー実際に、どのように進めていかれたのでしょうか。

 

戸上:庁内での提案と修正を何度も重ねて、事業者さんとのやり取りでも、思うようなデザインがなかなか出てこない時期がありました。当時の課長と2人、『ああでもないこうでもない』とずっと話し合っていたのを覚えています。

 

今も後任の職員が、ブランドロゴとキャッチコピーを使った統一のジャンパーやポロシャツを作ってくれていて、今なお使われ続けています。15年間の中で、一番やりがいを感じた仕事です。

 

ジャンパー
ブランドロゴとキャッチコピー入りのジャンパー

 

気づかされた、距離の近さ。和水町で働くということ

 

ーまちの顔となるロゴづくりをやり遂げたあと、戸上さんはどのような道に進むことになったのでしょうか。

 

戸上:熊本県庁への出向が決まり、地域振興課の移住定住推進班で1年間、移住相談会の実施や地域おこし協力隊制度の担当、東京・大阪・福岡でのPRイベントなどに携わりました。町単位とは違うスケールの仕事に触れられたのは貴重な経験でしたが、日頃の仕事の中で県民の方と直接関わる機会は少なく、県庁ならではの距離感も肌で感じた1年でした。

 

 

ーその経験を経て、あらためて感じる和水町ならではの魅力を教えてください。

 

戸上:県庁での経験があったからこそ、和水町のような小さな自治体ならではの距離の近さに、あらためて気づくことができました。山も田んぼも川もそろう、まさに田舎の町なのですが、過ごしにくいと感じたことは一度もありません。

 

熊本市内や福岡へのアクセスも良く、ご近所付き合いも盛んで、地域の方がこどもに声をかけてくれたり、野菜を持ってきてくれたりもします。それでいて中心部にはアパートも増えていて、便利さと過ごしやすさが両立した町だと思います。

 

 

ー距離の近さを実感されたあと、今はどのようなお仕事に携わっているのでしょうか。

 

戸上:今年の2月に50回目の節目を迎える「戦国肥後国衆まつり」の準備や、家族公園の環境整備、プロスポーツプロスポーツとの連携PRブースの出店などを担当しています。私自身は新しいアイデアを出すことは苦手なのですが、周りの方が出してくれたアイデアを、形にして走らせていく役割は得意だと思っています。

 

 

ー職場としての魅力はどのようなところにあると感じますか。

 

戸上:活発に意見を出し合いやすい雰囲気があり、若手職員も多いので馴染みやすい環境だと思います。1人では難しいことも、相談し合える仲間や、方針を示してくれる上司がいるので、一緒に楽しみながら仕事ができます。

 

 

ー戸上さんご自身の歩みを聞かせていただきましたが、最後に、和水町をめざす方へメッセージをお願いします。

 

戸上:活発で、人と話すのが好きな方に来ていただきたいです。役職が上がるほど、相手にどう伝わるかを考えて説明する力が求められます。枠に収まらず、いろいろな人と関わることを楽しめる方と、一緒にぜひ働きたいですね。

 

戦国肥後国衆祭りの様子
戦国肥後国衆祭りの様子

ー本日は、ありがとうございました。

 

画面越しに聞いた「生半可じゃいけない」という一言が、ずっと心に残っています。派手な成果よりも、地道な調整と粘り強い話し合いを重ねてきたことが、戸上さんの言葉の端々から伝わってきました。戸上さんの15年間は、まさにその積み重ねだったのだと思います。熊本県庁への出向という、より大きな舞台を経験してもなお、和水町の距離の近さに立ち返っていく姿には、飾らない地元への思いがにじんでいました。

 

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)

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