「これ、自分がやったんだな、というやりがいはあります」
そう静かに話すのは、柳川市役所建設課で土木職として働く、入庁2年目の山田晟矢さんです。1年目は建設課維持係、2年目の現在は整備係に所属し、道路の拡幅や舗装工事などを担当しています。
地元への想いから公務員の道を選び、右も左も分からなかった1年目を、先輩たちの手厚いサポートに支えられながら乗り越えてきた山田さん。今回は、就職先を考えている、あるいは迷っている方に向けて、その歩みと、現場で少しずつ積み重ねてきた手応えについて、たっぷりとお話を伺いました。
- 「住民に一番近い場所で働きたい」。地元・柳川で貢献すると決めた理由
- 道路を作るはずが、イメージとは違った1年目。先輩の手厚いサポートに救われて
- 側溝の高さを間違えた日。先輩と並んで見つけた、現場の手応え
- 20代が多く、堅苦しくない職場。地元・柳川で働くことを、これから考える方へ
「住民に一番近い場所で働きたい」。地元・柳川で貢献すると決めた理由
ーまずは入庁までの経歴を教えてください。
山田:高校を卒業して、佐賀大学に進学し、新卒で柳川市役所に入庁しました。地元は柳川で、高校もこちらで過ごしました。
ー市役所を選んだ理由には、どのようなものがありましたか?
山田:実は県庁も少し考えたんですが、県庁のインターンシップに参加したときに、県よりも市役所の方が住民の方に密着していると感じて、最終的には近隣の自治体と柳川で迷ったんですけど、やはり自分が生まれて育った柳川に貢献したいし、今後も住み続けたいと思っていたので、柳川市役所に決めました。
ー地元の人のつながりについて、何か感じることはありますか?
山田:人のつながりが結構強いかなとは思います。地域の祭りに参加したときなどに、特にそう感じていました。中学生の頃、自転車通学の行き帰りに、面識のない相手にも自然と挨拶を交わしていたので、そういう意味でもつながりが強いと思います。

道路を作るはずが、イメージとは違った1年目。先輩の手厚いサポートに救われて
ー入庁して1年目、最初はどんな業務を担当されたんですか?
山田:最初は維持係に配属され、道路の舗装のひび割れの補修工事や草刈りなど道路維持管理に関する仕事をメインで担当していました。ですので、もともとイメージしていた、道路を作るような新設工事とは少し違うなと思いました。住民からの要望を受けて対応することも多く、年に2回から3回、自分たちで草刈りを行うこともありました。
ー初めての仕事で、当時はどんな心境でしたか?
山田:最初は本当に何も分からない状態でした。知識はあったつもりでも、実際の現場ではほとんど活かせなくて、これからやっていけるのかなという不安はありました。ただ、先輩方がたくさんフォローしてくれて、仕事にはだいぶ慣れることができました。
ー最初のころ、大変だった仕事はありますか?
山田:道路に側溝を入れる業務を担当している際に、図面を作成するため「CAD」という、設計図をパソコンで描くための専用ソフトを利用するのですが、その使い方も全然知らなかったので、どうやって使えばいいのかなというところから始まりました。
触りながら、なんとなく分かるようにはなっていきました。現場を確認したうえで測量や図面作成、工事の積算、発注へと進むという一連の流れについても、先輩方に教わりながら一つずつ身につけていくことができました。
ー電話対応も多かったそうですが、どんな内容が多かったですか?
山田:草刈りの依頼や、道路が陥没しているという連絡が頻繁にありました。それを受けて、現場作業員に依頼し、補修や草刈りをしてもらう対応をしていました。
ー仕事に慣れてからは、何か変化はありましたか?
山田:慣れてからは、担当する工事の本数も増えていき、成長を実感しています。規模が大きくなるというよりは、こなせる件数がどんどん増えていくイメージです。

側溝の高さを間違えた日。先輩と並んで見つけた、現場の手応え
ー2年目の整備係では、具体的にどんな業務を担当されていますか?
山田:今は主に道路の拡幅事業や、砂利道の舗装事業などを担当しています。維持係の頃より対応する件数は少なくなり、1つ1つの事業に集中できるので、今のほうが仕事はやりやすいと感じています。大きな工事では建設コンサルタントが設計を担うこともあり、業者とのやり取りは今も先輩方に同行してもらいながら進めています。
ーこれまでの仕事の中で、印象に残っているエピソードはありますか?
山田:ある現場で側溝を設置したときに、高さが合わなくて、水がうまく流れない状態になってしまったことがありました。そのとき先輩が現場に一緒に来てくれて、対処法をしっかり教えてもらったことが、一番印象に残っています。
ーどのように対処されたのですか?
山田:既製品の側溝を削って、中の高さを高くすることで対処できました。先輩が自分にも分かるように縦断図という図を描いて見せてくれて、実際に自分でも書いてみたら、すぐに理解できました。
ーお仕事の中で、やりがいを感じる瞬間はどんなときですか?
山田:一番は、現場の工事が終わったあとに、実際に通ってみると、これ自分がやったんだなというやりがいを感じます。住民の方が「ありがとう」と言ってくれることも多く、そういうところでもやりがいを感じます。

20代が多く、堅苦しくない職場。地元・柳川で働くことを、これから考える方へ
ー所属されている係の雰囲気や仕事を進めていく上での教育体制はいかがですか?
山田:整備係は係長を含めて5人で、5人中3人が20代です。雰囲気としてはクールなほうだと思います(笑)。上下関係が堅苦しい感じはあまりないです。研修制度も整っており、福岡県単位での研修に今年は2回参加しました。測量のやり方や排水構造物の設計に関する研修で、係長から「これ行ってきたら」と勧めてもらうため、研修にも参加しやすいです。
ー柳川市役所での庁内の交流について、印象的なことはありますか?
山田:野球部に入っていて、消防本部の職員も含めて30人近くのメンバーがいます。普段関わりのない部署の人とも顔見知りになれるので、仕事で何か聞きに行くときや、お願いをするときもしやすくて、入って良かったなと思っています。
ー最後に、就職先を考えている方へメッセージをお願いします。
山田:私は、建設課だけでなく水路など他の土木関係の分野も経験し、後輩から何を聞かれても答えられる職員になりたいと思っています。今、就職先を悩んでいるという人は、民間企業のほうが良いなと思うところもあると思いますが、シンプルに市役所もいいところなので、ぜひ応募してほしいです。

ー本日は、ありがとうございました。
山田さんの言葉の端々には、地元・柳川への静かな愛着と、先輩たちに支えられながら一歩ずつ前に進んできた実感がにじんでいました。側溝の高さを間違えたときのエピソードも隠さず率直に話してくれた姿からは、失敗も含めて受け止めてくれる職場の空気が伝わってきます。
「これ、自分がやったんだな」――その一言に込められた手応えは、地元で、仲間に支えられながら働くことの豊かさそのものでした。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)



