北海道釧路市役所で採用担当として働く西館さんのインタビュー記事です。
なんと、当初はあまり長く続けるつもりはなかったという西館さんに、気持ちの変化や働く中でみつけたやりがいや魅力についてお話しいただきました。
面接のポイントや学生生活でやっておいてもらいたいことなど、「採用担当」としてのお話も満載なので、これから釧路市役所を目指す方、公務員の仕事に興味がある方は必見です!
ーまずは自己紹介と、釧路市役所に入庁されるまでの経緯を教えてください。
西館:生まれは北海道の道東にある別海町という、人口よりも牛の数が8倍くらいいるような町です(笑)
小学校4年生まで過ごし、その後は隣町の中標津町に引越し、高校卒業まで過ごしました。

大学は旭川の教育大学に進学し、教員を目指し教育分野を専攻していましたが、当時の教員採用試験は倍率も高く、合格できませんでした。法律に関する仕事にも興味があったことから、塾講師をしながら法律の勉強をして、機会があれば資格試験を受けようかと考えていました。
そんな中、ふと公務員試験も受けてみようと思ったのが、釧路市役所で働くことになる最初のきっかけです。深い理由があったわけではなく、本当に「なんとなく」といった動機でした。とりあえず地元周辺の試験を受けてみようと思い、その中で「何となく幣舞橋からの夕日がきれい」という理由で受けた釧路市役所に縁あって働くこととなりました。
現在は職員課で採用担当として働いていますが、実は次の4月(※約1週間後)には異動することが決まっています。
正直なところ、当初は公務員になる明確な目標や、働き方についての具体的なイメージは持っておらず、「とりあえず3年勤めてみよう」という感覚でしたが、気が付けば約20年働き続けています。採用担当者のインタビューで、こんな志望動機を語ってしまってはダメですね(笑)
ー飾っていなくて素敵だと思います!当初の考えとは裏腹に、長く働き続けている理由、または転機となったエピソードを教えてもらえますか?
西館:最初の配属先は、福祉部の生活保護業務のケースワーカーでしたが、当時の直属の上司の影響が大きかったです。その方は長年にわたり福祉業務に携わり、福祉に対して強い思いを持ち、「こういうことをやりたい」というビジョンを次々実現している方でした。その姿を見て、「役所でもこういう仕事ができるんだ!」と、公務員に対するイメージが大きく変わりました。
その後、教育委員会での勤務も経験しました。先ほどお話をしたとおり、当初は教員になることを考えていたのですが、教育委員会では「学校や先生ではできない子どもや家庭への関わり方」ができることに気づきました。例えば、不登校の子どもやそのご家庭への支援です。
スクールソーシャルワーカーや福祉関係の方々と一緒に活動をする中で、学校だけでは見えない部分に対して、異なるアプローチから関わることができ、子どもたちが変わっていく姿を間近で見ることができました。
福祉部と教育委員会の経験の中で、私の中で「市役所でしかできないこと」を見つけることができ、それをやりたいと思えたことが長く続けることとなったきっかけです。今では釧路市役所で働くことができて本当に良かったと感じております。
ー働く中でやりがいを見出せたのですね。続いては、現在のお仕事について教えていただけますか?
西館:福祉部、教育委員会の経験を経て、現在の職員課に配属されました。
職員課では最初、職員の給与担当となり、99%内勤、給与システムやExcel、Accessと向かい合う日々でした。現在は採用や研修、人事評価などを担当しています。時期にもよりますが、採用業務の比重が大きいです。

ー今まで異なる分野を経験されているようですが、特に印象に残っている業務やエピソードはありますか?
西館:やはり教育委員会時代の不登校支援ですね。適応指導教室(現:教育支援センター)の運営や、スクールソーシャルワーカーとチームとしての連携を通じて、教育的な課題を抱える子どもたちやご家庭と深く関わることができました。学校という枠組みだけでは難しい、個別性の高い支援にチームとして携われたことは大きな経験です。
なかなか家から出られなかった子が、家から出て少しずつ変わっていく姿を目の当たりにした時の気持ちは今でもしっかりと覚えています。実は当時関わっていた子が、のちに釧路市役所を受験してくれたこともありました。その子の成長はもちろんですが、釧路市役所を選んでくれたことにも、とても感慨深いものがありましたね。
ー西館さんが感じる公務員として働く「やりがい」や「魅力」は何でしょうか?
西館:よく言われることですが、一番は「ありがとう」という感謝の言葉を直接聞くことができること、そして、人々の役に立っていると実感できる瞬間が、大きなやりがいですね。
また、仕事によっては、市民の方の生活や人生に深く関わることができる点も魅力だと感じます。多くの人に影響を与える仕事もあれば、特定の一人ひとりに寄り添い、その人の人生を良い方向に変えるお手伝いができる仕事もあります。
責任は重いですが、自分の働きかけが良い影響となり、その人のその後の人生に関わっていくことを実感できるのは、公務員ならではかもしれません。もちろん自分一人がその役割を担うわけではなく、同僚と協力しながら進めていくことで、その気持ちを共感できることも醍醐味かもしれません。
ー現在は採用担当とのことですが、どのような思いで業務に取り組んでいるのでしょうか?
西館:採用業務に関わり始めたのは、ちょうどコロナ禍の頃でした。それまでは、「公務員試験を受けたい」という人は一定数いて、その中から選考するというイメージが強かったのですが、コロナ禍で働き方も大きく変わり、そもそも現在は受験してくれる人も少なくなりました。
その現状を踏まえ、「どうすれば釧路市役所に興味を持ってもらえるか」「どうすれば釧路市職員の魅力が伝わるか」を真剣に考えるようになりました。ただ待っているだけでなく、積極的に情報を発信し、一人でも多くの人に「釧路市役所で働きたい」と思ってもらえるように働きかけることが、今の採用担当の重要な役割だと感じています。
もちろん、試験のスケジュール管理や手続きといった基本的な業務も大切ですが、それ以上に「どうやって人を惹きつけるか」という視点が求められていると感じます。

ー採用担当として、釧路市役所はどのような人物を求めているのでしょうか?
西館:「一度入ったら定年まで」という時代ではなくなり、色々な仕事を経験してキャリアを積んでいくのが当たり前になっています。ですので、正直なところ「ここで一生勤めよう!」とまでは思わなくても良いと思っています。
公務員の仕事は人と関わることが避けられません。人との関わりがあまり得意でなくても問題はなく、「人と関わる仕事に前向きに取り組んでみよう」という気持ちを持っている人が、ベースとして求められる人物像かと思います。
ーズバリ!面接では、受験者のどのような点を見ているのでしょうか?
西館:釧路市では適性検査も導入しているのですが、やはり面接は重要だと考えています。短い時間でのやり取りになるので、面接で最も見たいのは飾らない、ありのままの皆さん自身です。
多少敬語がうまく使えなくても問題ありません。取り繕った言葉よりも、ご自身の言葉で、正直に自分の考えを伝えようと努力してくれる人の方が、ずっと魅力的に映ります。
特別な面接練習をするよりも、日頃から色々な人と話す機会を持つことが一番大切だと思います。人と関わる中で、相手のことを考えながらコミュニケーションをとるスキルが身につき、それが面接でも必ず活きてきます。
ーこれから釧路市役所を目指す人へ、入庁前にやっておいてほしいことや、釧路市のことを調べるおすすめの方法などはありますか?
西館:まずは、学生なら学生生活を、社会人なら今の仕事など「今、目の前にあること」をしっかり楽しんで、充実させてほしいです。中途半端にせずやりきっていただければ、その経験が働いてからのキャリアにも必ず繋がります。
釧路市の調べ方ですが、採用試験のために無理に釧路市に関する知識を詰め込む必要はありません。それよりも、「もしも自分が釧路で生活したら、どんな感じだろう?」とイメージを膨らませてほしいです。どんなお店があるのか、住むとしたらどんな物件があるのか、休みの日はどのように過ごそうかといった、具体的な生活を想像してみると入庁後のことが楽しみになると思います!

釧路市のホームページや観光協会の情報も参考になりますが、それ以上に実際に働く職員の声に触れていただきたいです。このPUBLIC CONNECTの記事を読んでいただくのもお勧めです(笑)
先輩職員の働く様子や、同年代の職員の話など、リアルな情報を見て聞いて、自分自身に重ね合わせてください。私たちも、職員の情報をできるだけ発信していきたいと考えています。
ー最後に、求職者へのメッセージをお願いします!
西館:公務員の仕事は、世間でイメージされるような「楽な仕事」や「ルーティン業務」ばかりではありません。大変なこともたくさんありますし、異動になれば新しいことを一から覚え直す必要もあります。
それでも、これから受験される人には「希望」を持って釧路市役所の扉を叩いてほしいです。大変さの中にもやりがいや楽しみは必ず見つかりますし、何より地域のために働く魅力はやってみないと分からない部分があると思います。
また、釧路市役所の良いところは、学歴や前職に関係なく、入庁後の仕事への向き合い方次第で、いくらでも道が拓けるところです。実際に、今の幹部職員も様々な経歴の方がいますし、近年は様々な前職がある人が入庁しており、様々な職員がいます。入庁してから自分がどう成長していきたいか、どんな働き方をしたいか、ぜひ前向きなイメージを持って挑戦してほしいと思います。
(釧路市役所のどこかで)皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしています!

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年3月取材)