生粋の玉名っ子が関西での学生生活を経て、なぜ地元・玉名市役所を選んだのか。
震災の記憶、子育て支援での現場経験、そして現在は総務課での例規改正という専門的な職務。部署異動を「転職レベルの変化」と表現し、自治体業務の魅力をいきいきと語る入庁5年目の高田さん。
法律の知識を武器に、仲間と協力して「市を運営する」実感。これからキャリアを考える皆さんに、市役所で働く本当の楽しさを伝えます。
- 震災の記憶が結んだ地元への想い
- 「窓口」の枠を超えた、市民に寄り添う現場経験
- 法律の知識を武器に、市を動かす「総務」の舞台裏
- 成長の糧は「説明する力」と「多角的な視野」
- 互いを支え合う、玉名市ならではの温かい職場環境
震災の記憶が結んだ地元への想い
ーまずは、高田さんが公務員を目指したきっかけと、地元である玉名市を選んだ理由を教えてください。
高田:私は小学校から高校までずっと玉名市で育った、根っからの地元人間です。
大学は関西の法学部に進学したのですが、高校生の頃から漠然と「将来は法律に関わる仕事がしたい、それなら公務員かな」と考えていました。授業で政治や倫理を学ぶのが楽しくて、その延長線上に公務員という選択肢があったんです。
ただ、地元に戻ることを決定づけたのは、大学1年生の時に起きた熊本地震でした。
当時私は関西にいたので、ニュースの映像でしか故郷の状況を知ることができず、本当にもどかしい思いをしました。
地元の友人たちから「今すごく大変だ」という話を聞くたびに、遠く離れた場所で何もできない自分に、強い焦りを感じたのを覚えています。
その時に、「大学を卒業したら絶対に地元に帰って、自分の手で玉名を支えたい」と強く決意しました。それが、玉名市役所を志望した一番の理由です。

「窓口」の枠を超えた、市民に寄り添う現場経験
ー入庁して最初の3年間は子育て支援課にいらっしゃったそうですね。
高田:はい。子育て支援センターやファミリーサポートセンターの委託業務、ひとり親家庭への支援などを担当していました。
入庁前、市役所の仕事といえば「書類を受け付けて手続きをするだけ」というイメージを持っていたのですが、実際は全く違いました。
ー具体的にはどのようなギャップがありましたか?
高田:思った以上に、市民の方や事業者の方との「距離感」が近いんです。
例えば、子育て支援センターのスタッフの方々とは毎月のように会議を重ねて、「どうすれば利用者の方にもっと喜んでもらえるイベントになるか」「運営をどう改善すべきか」といった深い対話を繰り返しました。
単なる事務手続きではなく、一人ひとりの市民の方の人生に、市役所という立場から並走していくような感覚がありました。
現場に足を運び、直接声を聞きながら仕事を進める毎日は、本当に刺激的でしたね。

法律の知識を武器に、市を動かす「総務」の舞台裏
ーその後、現在は総務課の行政係に異動されたとのことですが、仕事内容はどのように変わりましたか?
高田:昨年度から総務課に配属になり、今は主に「例規改正」を担当しています。例規とは、市の条例や規則のことで、国でいう法律のような市で定めたルールです。
各課から上がってくる「新しい制度を作りたい」「条例を変えたい」という案をチェックし、法的に不備がないか精査して、市議会に提出できる形に整えていきます。
他にも、庁内の文書管理や庶務など、市役所全体の動きをコントロールする裏方の仕事が中心です。

ーまさに、大学で学んだ法律の知識が活きる部署ですね。
高田:そうですね!法令や通知文には専門用語や独特な表現が多いのですが、法学部で学んでいたおかげで、難しい条文を読み解く際にも抵抗感なく向き合うことができていると感じます。
もちろん、今でも「これは難しいな」と頭を抱えることはありますが(笑)、自分が精査した条文が市のルールになっていく過程には、非常に大きな責任と、それ以上のやりがいを感じています。
ー異動してみて、以前の部署と仕事の進め方などの違いを感じることはありますか?
高田:業務内容だけでなく、仕事の向き合い方も大きく変わりました。
まず驚いたのは予算です。以前は国や県の補助金をベースに考えることが多かったのですが、今は市の一般財源の中から自分たちで予算を組む形になり、その責任の重さに身が引き締まる思いの連続でした。
課題解決の面でも、以前は分からないことがあれば国や県に問い合わせるのが当たり前でしたが、今は他市町村の事例を参考にしつつも、基本的には自分たちで頭を悩ませて答えを出していかなければなりません。
そうしたプロセスを経て、「自分たちの手で市を運営しているんだ」という手応えをより強く感じるようになりました。
そうした難しい課題に向き合うからこそ、仕事の進め方も「チーム」が基本です。
前の部署では個人の担当業務をそれぞれが頑張るスタイルが多かったのですが、今の部署は係長を含めたチーム全体で動く感覚が非常に強いです。
誰かが困っていれば自然と助け合う環境があり、とても心強く感じています。

成長の糧は「説明する力」と「多角的な視野」
ー5年目を迎え、ご自身の中で成長したと感じる部分はありますか?
高田:少しずつですが、周りを見渡せる「視野の広さ」が身についてきたかなと思います。
最初の頃は目の前の自分の仕事だけで手一杯でしたが、今は「自分のこの仕事が、他の部署のこの業務にどうつながっているのか」という全体像を意識できるようになりました。
ー仕事をする上で、特に苦労していることは何でしょうか?
高田:今の課題は「説明する力」です。例規の改正について他部署の方に説明する際、自分が100%理解していないと、分かりやすく伝えることはできません。
総務課に来てから、職員から専門的な質問を受ける機会が格段に増えました。それに的確に答えるためには、自分の専門分野だけでなく、市役所が行っている幅広い事業についての知識が必要です。
日々、勉強の連続ですが、自分の説明で相手の疑問が晴れ、仕事がスムーズに進んだ時は、一歩成長できたなと実感します。
ー子育て支援課での経験が、現在の例規改正という業務に活きていると感じる瞬間はありますか?
高田:前の部署で現場の運用を知っていたことが、今の仕事にも活きています。
福祉関係の例規を改正する際、「現場ではこういう困りごとがあったな」と具体的にイメージできるのは、私の強みだと思っています。
互いを支え合う、玉名市ならではの温かい職場環境
ー職場の雰囲気や、ワークライフバランスについてはいかがですか?
高田:玉名市役所は、本当に風通しが良い職場です。業務の合間に「週末はどこに行ったの?」なんてプライベートな雑談をすることも多いですよ(笑)。
私自身も、他部署の後輩職員から質問や相談を受ける場面も多いので、相手が「この人なら聞きやすい」と思えるような雰囲気作りを常に心がけています。
ー休暇の取りやすさなどはどうでしょうか?
高田:休暇はすごく取りやすいです!今の係には子育て中の方も多いので、学校行事などで休暇を取るのは「お互いさま」という温かい雰囲気があります。
私自身、しばらく休暇を取っていないと、上司から「そろそろ休まなくて大丈夫?」と声をかけてもらうこともあるので、気兼ねなく休暇を取得することができています。
残業も、繁忙期にはありますが、それ以外は定時近くで退勤できることがほとんどです。
ー最後に、これから玉名市を志望する方へメッセージをお願いします。
高田:市役所の仕事は、部署が変わればまるで「転職」をしたかのように全く違う業務に携わることができます。
それが自治体職員の仕事の最大の魅力であり、飽きることなく仕事に向き合えます。
玉名市という街を愛し、色々なジャンルの仕事にチャレンジしてみたい、成長したいという方には、これ以上ないほど面白い職場だと思います。
皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしています!

ー本日はありがとうございました。
玉名市の穏やかな風景の中で育った高田さん。彼女の言葉からは、地元への深い愛着と、専門的な職務に対する誠実なプライドが伝わってきました。
法学部での学びを実務に結びつけ、条文の向こう側にある「市民のくらし」を想像しながら、一文字一文字に想いを込めて市のルールを整えていくその姿は、現場の心を知る現代の自治体職員のロールモデルそのものです。
先輩や上司から見守られ、のびのびと、けれど着実にステップアップしていく高田さんの姿は、公務員を目指す多くの方にとって、希望の光となるに違いありません。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年1月取材)



