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玉名市役所

玉名市では「人と自然が輝き やさしさと笑顔にあふれるまち 玉名」の実現に向けて「玉名市人材育成基本方針」に基づき、下記に掲げる「あるべき組織像、あるべき職員像」に向けて、職員一人ひとりが日々成長するとともに、組織も持続的に成長し続けることを目指しています。

「玉名市モデル」を構築した土木職が語る、行政の現場における土木職とは?

玉名市役所

2026/05/07

なかなかなじみのない行政の現場における土木職。今回、革新的な橋梁メンテナンスモデル「玉名市モデル」を構築し、「地方公務員アワード2025」(株式会社ホルグ主催)を受賞した土木課の木下さんに行政土木職の現状ややりがいについて聞きしました。

 

 


市役所入庁までとこれまでの業務

―最初に、木下さんの入庁前の経歴からお聞かせください。

 

木下:大学を卒業後、中堅の産業機械メーカーで4年間勤めた後に、玉名市役所に転職しました。当時は発注者側の立場が魅力的に見えたことと、転勤がほぼない点に惹かれて市役所への転職を考えました。

 

就職氷河期だった当時は、そもそも技術系職員の採用がない自治体も多く、実家から通える範囲にあった玉名市役所を受験しました。ありがたいことに合格をいただいたので、前職を退職して入庁しました。

 

 

―技術職として、入庁後はどのような業務を担当してこられましたか。

 

木下:主に土木・都市計画全般を経験しています。玉名市のような規模の自治体では幅広い業務に携わることができるため、技術職としての専門業務に従事すると同時に、用地買収や予算要求なども広く担当できる機会をいただけました。

 

玉名市で初となる4車線の都市計画道路のプロジェクトを担当したことがありましたが、計画・予算・用地買収・事務・工事に至るまで、すべてを「ワンオペ」で担当しました。

 

この都市計画道路に一定の目途がついた2016年からは、橋梁のメンテナンス業務に従事しています。

 

 

―技術職として幅広く担当してこられたわけですが、特に印象深かったできごとはありますか。

 

木下:大きく2つあります。1つ目は、先ほどお話しした都市計画道路をワンオペで担当した際の苦悩です。

 

そして2つ目は、その苦悩の経験を活かし、企画・財政・総務といった他部署の協力を得ることで、現在も担当している橋梁メンテナンスの改革を体制づくりから達成できたことです。

 

 

―技術職であれば、どのような部署であっても社会インフラに携わることになります。業務の中でどのようなことを感じられましたか。

 

木下:わが国では「社会インフラは存在して当たり前」と認識されています。そのため、その“当たり前”を守るメンテナンスの価値も軽視されがちです。問題が起きて責められることはあっても、何事もない平穏な状況を称賛されることは多くありません。

 

現場で携わる者として、こうした状況を不条理と感じることもありましたが、そうした感情が業務を行う上でのエネルギーになった部分はあるかもしれませんね。

 

革新的な橋梁メンテナンスモデル「玉名市モデル」

―現在はどのような業務を担当されていますか。

 

木下:その名のとおり橋梁のメンテナンスが主たる業務ですが、現在は自分の係(土木課橋梁メンテナンス係)が所管する市道橋だけでなく、他の部署が所管する農道橋や林道橋への診断・助言もさせていただいています。また、舗装業務や、技術系職員が配属されていない部署の日常管理の改善など、多岐にわたりサポートもしています。

 

 

―全国的に注目されている、橋梁メンテナンスにおける「玉名市モデル」について教えていただけますか。

 

木下:「玉名市モデル」とは、地方自治体特有の「財源・人員・技術力不足」という制約を克服し、橋梁メンテナンスを事後保全から「予防保全型」へと早期に移行させた革新的な実務モデルです。補助金や外部委託に過度に依存せず、①市職員の能力向上(橋梁補修DIY)、②措置数の拡大(分離発注)、③高度技術の補完(学官連携)、以上の3つのステップで構成されています。

 

 

―どのような成果を生んだのでしょうか。

 

木下:モデル構築に当たっては困難の連続でしたが、この独自の取組により、玉名市は従来手法と比較して20億円以上ものコスト縮減を達成しました。さらに、1巡目点検で早期措置が必要とされた橋梁の修繕完了率100%を達成し、2巡目点検では危険な橋梁(Ⅲ・Ⅳ判定)をゼロにするという、完全な予防保全型メンテナンスへの移行を実現しています。

 

「地方公務員アワード2025」授賞式の様子

「行政エンジニア」という未来

―技術系職員のことを「行政エンジニア」と呼称することを提唱されています。どのような狙いがあるのでしょうか。

 

木下:従来の「土木職」「建築職」といった縦割りの呼称に限界を感じるようになりました。現代の技術系職員には、設計や積算といった専門技術だけでなく、地域の将来を見据えたインフラ計画の立案、効率的な予算配分(財政的視点)、住民と対話して合意形成を図るコミュニケーション能力など、「地域経営」の一翼を担う総合的な能力が求められています。

 

他方で、我が国では社会インフラの価値が軽視されがちなため、土木職の価値も低く見られがちで、必死に当たり前を支えている技術職の頑張りが日の目を見ません。

 

「行政エンジニア」と新たに呼称する意図は、単なる名称変更ではなく、自らを「地域を支える誇り高き専門職」として再定義し、新たなアイデンティティを確立することにあります。

 

「行政エンジニア」という共通の旗印の下に集うことで、職員一人ひとりのモチベーションを高め、専門職としての自覚を促す狙いがあります。孤立しがちな個々の職員を、地域経営を担う専門職としてエンパワーメントすることを目指しています。

 

この新しいアイデンティティの確立が、厳しい社会情勢の中で未来の地域を担う人材を惹きつけ、育てていくための第一歩になると信じています。

 

 

―技術系公務員の交流拠点となる団体(SORAE)を設立されたとも聞きました。

 

木下:はい。国土交通省が提唱する『地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)』 の“一丁目一番地”として「人の群マネ」に取り組むためには、立場を越えて技術系公務員がつながる場、すなわちサードプレイスとして技術系に特化した場所が必要だと考え、私費で団体を設立しました。

 

各自治体で尖った取組をする職員は組織内で孤立する傾向が強いため、組織の外で繋がることで孤立の解消につながっています。ひいては、この団体で構築した全国ネットワークを活用し、玉名市役所の職員教育や業務改善にも還元しています。今後は、市役所全体に寄与できる知見をフィードバックするなど、玉名市の人財育成にも貢献していきたいです。

※SORAEウェブサイト:https://sorae-japan.org/

 

 

玉名市役所で働くこと

―玉名市役所の職員寺子屋(職員同士が学びあう自主研修の場)で、講演もされましたが、事務職の職員との関わりで意識されていることはありますか。

 

木下:職員寺子屋で講師を務めた際は、事務職の職員が社会インフラの価値を再考するきっかけになればという思いが一番でした。

 

社会インフラの維持管理は、もはや事務職と“協創”していかなければならないステージに入っています。だからこそ、事務職の職員と対話することは非常に重要だと考えており、業務外でも常に対話を重ねるようにしています。

 

職員寺子屋での講演の様子

―市役所の中では係長職も務められています。部下や後輩職員と関わるときに意識していることや重視して伝えていることはありますか。

 

木下:まずは「失敗の定義」について伝えています。仮に1万円の材料が1年でダメになったとします。普通はこれを「失敗」だと思うでしょうが、実は「その製品の使用条件を明確化できた知見」でもあります。この知見によって、同じ材料を大規模な工事で多量に使用し、無駄な投資をしてしまう事態を未然に防ぐことができます。小さな失敗は大きな失敗を防ぐセーフティネットになるため、「小さな失敗には価値がある」と教えています。

 

係長としては、部下の得意分野を伸ばすことと、苦手分野にチャレンジさせることの「塩梅」を強く意識しています。そして、係を一つのチームとして捉え、相互補完やチームとしてのメリットを考えて行動するよう指導しています。

2025年度の橋梁メンテナンス係のメンバー

―行政の土木職のやりがいや魅力は何でしょうか。

 

木下:実構造物が目の前に存在するため、手をかければその結果がダイレクトに返ってくるところが面白く、大きな魅力です。

 

やりがいとしては、世界的に見ても稀有なスピードで高齢化が進行する中での老朽化対策は難易度が非常に高く、世界中から注視されています。その巨大な課題のど真ん中で業務に従事できることは、大変ですが非常にやりがいがあると感じています。

 

一方で、採用難や人材育成、それに事務職との連携といった課題があると感じますし、生活に直結しているからこそ、住民の方から厳しい意見をいただくこともあります。外部の方から直接的に感謝されるようなケースは少ないかもしれませんね。

 

 

大きすぎない やりがいを感じられる場所

―最後に求職者(志望者)の方へのメッセージをお願いします。

 

木下:玉名市役所は、1時間単位で休暇が申請できる点や、自家用車での通勤が可能である点など、ワークライフバランスの面で非常に優れています。

 

また、玉名市は大きすぎない規模の自治体だからこそ、一つの課が担当する業務範囲が広く、自分の心持ち次第ではありますが、異動ぜずとも多くの経験を積むことができます。その一方で、決して小さすぎる市ではないため、稀に大規模な事業を経験するチャンスもあります。さらに、大規模な市と違って技術職の数が少ない分、自分で判断して進められる場面も多く、やりがいを感じやすい環境です。

 

自らのスキルアップを望むのであれば、玉名市はちょうどよい規模の市役所だと思います。実際に私も、玉名市規模の自治体だったからこそ事務職の方々の協力を得やすく、自分が改革の中心にいられたと実感しています。大きなやりがいは、玉名市くらいの規模の市役所の方が得られると本気で思っています。

 

興味がある方は、玉名市の採用試験にぜひチャレンジしてほしいと思います。

職員インタビュー

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