愛知県知多市で保育士として働く佐野さんのインタビュー記事です。
中学生の頃の保育園でのボランティア体験がきっかけで保育士を志したという佐野さんに、保育士として働く中で感じたやりがいや印象に残ったエピソードなどについてお聞きしました。
「楽しそう」と思われる保育士のお仕事ですが、楽しい以外の業務や大変さについてもざっくばらんにお話しいただきました。保育士を目指す方にとっては、とても参考になる内容となっています。
ーまずは、佐野さんの簡単なご経歴から教えていただけますか?
佐野:私は生まれも育ちも知多市で、高校では保育コース、短大では幼児教育学科を専攻していました。短大を卒業後、平成22年度に知多市に保育士として入庁しました。

ー高校で保育コースに進まれたということは、昔から保育士になりたいという思いが強かったということですか?
佐野:そうですね。「保育士になりたい!」というよりは、純粋に「小さな子どもと触れ合ってみたい」という気持ちが大きかったです。中学生の頃、ボランティア体験で保育園に行く機会があったのですが、子どもたちと一緒に遊ぶ中で、純粋な笑顔や何事にも一生懸命な姿に心を打たれ、子どもたちの成長を見守り、支えていく保育士という仕事に魅力を感じるようになりました。
ちょうど私が高校に進学するタイミングで、地元の高校に保育コースが新設されたため、保育の道に進みたいという思いが強くなっていたこともあり「これはチャンスだ!」と思い、迷わず進学を決めました。
ー「子どもの成長を見守る」という点では、保育士か幼稚園教諭かで悩むことはありましたか?
佐野:少し悩みましたね。私自身、私立幼稚園に通っていたこともあり、「幼稚園の先生もいいな」と思っていた時期もありました。しかし、保育士の実習で知多市の公立保育園に行く機会があり、幼稚園に比べて子どもたちと接する時間が長いこと、そしてそこで出会った先生方の保育に対する姿勢や温かい人柄に惹かれ、「こんな素敵な先生方と一緒に働きたい!」という思いから、公立の保育園を選びました。
公立園はベテランの先生から若手の先生まで幅広い年代の先生方がいるので、働きながら多くのことを学べる環境だと思ったのも理由の一つですね。
ー就職活動はどのように進められましたか?
佐野:私は他を併願せず、知多市に絞って就職活動を行いました。短大では、公立の保育士を目指す学生向けの対策講座を受講していたため、筆記試験対策はもちろんのこと、面接や実技試験の練習にも力を入れて取り組みました。
実際の実技試験では、5歳児のクラスを想定した課題が出題され、試験官の先生の前でピアノを弾いたり、紙芝居をしたりしました。子ども向けの実技なのですが、試験では試験官の方々しかいない状況だったので、とても緊張したのを覚えています(笑)


ー市内の保育園間では、異動などもあるのでしょうか?
佐野:そうですね。平成22年に入庁してから、途中で育児休業を取得していた時期もありましたが、現場での経験は約12年となり、現在の園は3園目の配属になります。3~4年に一度のペースで異動があり、様々な園で経験を積んでくることができました。対象としても、0歳児以外の全ての年齢のクラスの担任を経験させていただき、現在は年中4歳児のクラスを担当しています。
ー異動があるというのも公立園の特徴かもしれませんね。現在の仕事内容についても教えていただけますか?
佐野:1日の流れとしては、朝は園庭で子どもたちと遊んだり、室内で発達に合わせた遊びを提供しています。給食やおやつの時間、お昼寝の時間などを挟みながら、降園までは子どもたち一人ひとりと向き合い、お迎えの際は保護者の方とコミュニケーションを取るようにしています。
保育の仕事というと子どもと遊ぶ時間が多いイメージがあるかもしれませんが、実際は事務作業や指導計画の作成など、子どもと直接関わらない業務も多いですよ。

ー保育士として働く中で、印象的だったエピソードなどはありますか?
佐野:異動して最初に年長の担任をさせていただいたことがあるのですが、その時のクラスは活発な子がとても多く、どうやって上手くまとめていけばいいのだろうと悩んでいた時期がありました。異動で来たばかりの園なので、そこの園の子どものことが分からない、職員の先生たちのこともあまりよく知らない、保護者もまだコミュニケーションがとれていないという状況だったので、本当に大変だったなという思い出があります。
ただ、その子達が日々変化していく姿を一番近くで見てきたということもあり、日々の成長をものすごく感じていましたし、特に最後卒園式の時は本当に大人の手を借りることなく、みんなが立派に卒園式をしている姿を見て、「頑張ってきてよかったな」という思いと、「本当に大きくなったな」という感動がありました。大変だった半面、一番印象に残っている1年間でしたね。


ー佐野さんは子育てをしつつお仕事をしていると聞いていますが、仕事と子育ての両立は大変ではないですか?
佐野:大変なこともありますが、周りの先生方の協力のおかげで両立できています。今は部分休業制度を利用して、朝30分と帰り1時間の勤務時間を短縮しています。実家の両親にも協力してもらいながら、仕事と育児を両立しています。
最初の頃は家では育児でバタつき、園では短縮した勤務時間で仕事を終えることにバタつき…という感じでしたが、最近では限られた時間の中でも、子どもたちと上手く接することができるようになり、心にゆとりも持てるようになりました。周りの方々の支えがあってこそだと感謝しています。
園長先生にも子どもの行事や体調不良の際に配慮していただいており、今のところ子どもの急な病気の対応以外に、行事にも参加することができています。
ー佐野さんが保育士としてやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?
佐野:子どもたち一人ひとりと真剣に向き合う中で、それぞれの個性や特性が見えてくる瞬間ですね。
また、子どもたちと心の繋がりを感じられた時や、日々成長していく姿を見守ることができる時にも、保育士として大きなやりがいを感じます。私自身育児休業を取得したことで、保護者の方の気持ちに寄り添えるようになったこともあり、子どもの成長に関してはより一層喜びを感じることができるようになりました。


ー保育士になる前と後で、保育士という仕事に対するイメージは変わりましたか?
佐野:大きく変わりましたね。SNSなどで「保育士は子どもと遊ぶ仕事!」といった情報を見聞きしていたので、最初は「楽しそうな仕事だな」というイメージを持っていました。しかし、実際に保育士として働いてみると、子どもたちへの声かけ一つ、おもちゃの出し方一つにも、先生方の深い思いや願いが込められていることを知りました。
保育士の仕事の奥深さを実感し、改めて「すごい仕事だな」と感じています。働き始めて最初の頃は右も左も分からず、大変なこともたくさんありましたが、今では「保育士」としての考えをもって子どもたちと接することができるようになってきました。
ー知多市の保育の特徴について教えていただけますか?
佐野:知多市は自然豊かなのどかな地域なので、子どもたちも穏やかに過ごせる環境です。保護者の方々も、仕事と育児を両立しながら、子どもたちの成長に寄り添ってくれています。
また、知多市の保育園では、子どもたちの安全を第一に考えた様々な対策を徹底しています。例えば、コロナウイルスが流行した際には、散歩を控えたり、子ども同士の距離を保つなどの対策を全園で実施しました。子どもにとってはちょっと厳しいのでは?と感じることもあるかもしれませんが、いざ親として子どもを預ける立場になってみると、安全管理の大切さを実感するようになりました。

ー最後に、これから保育士を目指す方々にメッセージをお願いします。
佐野:保育士の仕事は大変なことも多いですが、それ以上にやりがいと喜びを感じられる素敵な仕事です。子どもたちの成長を一番近くで見守り、保護者の方と一緒に子どもたちの成長をサポートできることに大きなやりがいを感じています。
大変な時でも、周りの先生方に支えられながら、みんなで一緒に保育をしているという意識を持つことが大切です。ぜひ、子どもたちと一緒にたくさんの笑顔を共有できる、素敵な保育士を目指してください!知多市保育園でお待ちしています!

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年1月取材)