現在、新潟県新発田市には約960人(令和7年6月時点)の外国人住民が暮らしており、その数は年々増加しています。
「住みよいまち日本一」を掲げる新発田市にとって、国籍や文化の異なる人々が共に支え合い、安心して暮らせる「多文化共生社会」の実現は、重要なテーマです。
そのキーパーソンとなるのが、地域おこし協力隊の「多文化共生コーディネーター」。今回は、担当者である新発田市市民まちづくり支援課の清治さんと瀧口さんに、募集の背景や仕事の魅力、そして未来の仲間への期待を伺いました。
- 「橋渡し役」として、人と人、地域と行政をつなぐ
- 必要なのは語学力よりも「人と関わりたい」という熱意
- 12人の仲間と支え合う、安心のサポート体制
- 「日本語教師」の夢も叶う? この仕事ならではの魅力と未来
- あなたの「やりたい」を聞かせてください
「橋渡し役」として、人と人、地域と行政をつなぐ
―まず、今回「多文化共生コーディネーター」を募集する背景について教えてください。
清治:新発田市には現在約960人の外国人の方が住んでいて、今後もさらに増えていくことが見込まれます。そうした中で、言葉や文化の壁を越えて、誰もが暮らしやすいまちづくりを進めることが私たちの大きな課題です。
そこで当市では、令和6年3月に「新発田市多文化共生推進指針」を策定し、市として本格的に取り組み始めたところです。多文化共生コーディネーターには、その中心的な役割を担っていただきたいと考えています。
瀧口:前任の隊員が3年間の活動で、交流イベントの開催などに取り組み、外国人住民の方々や支援団体との素晴らしい関係性を築いてくれました。そのバトンを受け継ぎ、さらに活動を発展させてくれる、新しい力になってくれる方を探しています。
―具体的な活動内容について、詳しく教えていただけますか?
瀧口:主な業務は3つあります。1つ目は、ボランティア団体が運営している「新発田日本語教室」の運営支援と考えています。多様化する学習者のニーズに応えられるような市と教室をつなぐ「橋渡し役」をお願いしたいです。
2つ目は、日本人住民と外国人住民の「交流の場の創出」です。これまで、七夕やクリスマス、旧正月など、季節ごとのイベントを企画して、様々な文化の違いを実際に交流しながら体験していただくことで、お互いに理解を深めて来ました。毎回定員を超えるほど盛況で、自分のアイデアを形にして、人と人が繋がる喜びを直接感じられる、とてもやりがいのある活動だと思います。
清治:3つ目は「情報発信」ですね。市の広報紙とは別に、生活に役立つ情報をまとめた情報紙「しばたあやめニュース」を、やさしい日本語や英語、中国語、ベトナム語の4言語で毎月発行しています。SNSなどを活用して、より効果的に情報を届ける方法も一緒に考えていきたいです。

ー地域おこし協力隊としての働き方や勤務形態についても教えていただけますか?
瀧口:市会計年度任用職員としての雇用となり、1週間あたり35時間の勤務が原則となります。基本的には土日祝日を除く週5日、9時から17時まで活動していただくので、フルタイム勤務と近いイメージですね。
業務によっては休日のイベントに出ていただいたり、17時を超えて活動いただくこともありますのが、その場合は他の平日に振り替えて休んでいただいたり、時間外勤務手当を支給することで対応しています。
なお、任期は任用日から1年で、最大3年まで更新することができます。
清治:活動時間以外で、かつ自身の活動に影響のない範囲であれば、副業を行うことも可能です。実際に、空いた時間を活用して起業の準備を進めている協力隊の方もいますよ。ただし、その場合は、事前に手続き等が必要となるので、担当職員に事前に相談していただくようお願いしています。
必要なのは語学力よりも「人と関わりたい」という熱意
―募集にあたり、どのような方に仲間になってもらいたいですか?
清治:年齢や性別は問いません。一番大切なのは、新発田市という地域や、そこに住む人々に興味を持って、積極的に関わろうとしてくれる気持ちです。
特に、ボランティアで活動されている日本語教室の方々の中にもどんどん入っていって、良好な関係を築いてくれるような方だと嬉しいですね。
瀧口:そうですね。よく「英語はどのくらい必要ですか?」と聞かれるのですが、語学力は必須ではありません。
もちろん、英語や中国語、ベトナム語などができれば活動の幅は広がりますが、それ以上に大切なのは、相手を理解しようとする姿勢です。
カタコトでも、まずは「やさしい日本語」でコミュニケーションをとろうとする気持ちがあれば大丈夫です。日本語教室には語学が堪能なボランティアさんも大勢いますし、心配いりません。
清治:協力隊の活動を通じて、資格取得や研修に参加したいという希望があれば、市として支援する制度もあります。様々な言語や文化に触れられる環境なので、ご自身のスキルアップにも繋がるはずです。
ー具体的に、応募要件みたいなものは定められていますか?
清治:先ほどお話ししたとおり、性別や年齢は問いませんが、活動の特性上、運転免許が必要です。また、パソコンを用いた簡単な資料作成(Word・Excel・PowerPoint)や、SNSを活用した情報の受発信ができることが要件となっています。ただし、どれも高度な知識や技術を問うものではありません。
また、新発田市に限らず、地域おこし協力隊として活動するためには、地域要件(※)を満たしている必要があります。こちらについては少し判断に悩む部分かと思いますので、興味のある方はまずは気軽にご相談をいただければと思います。
※3大都市圏及び地域等から新発田市に移住し、住民票を新発田市に移すことのできる方
12人の仲間と支え合う、安心のサポート体制
―移住が前提となるため不安に思う方もいるかと思うのですが、サポート体制はいかがでしょうか?
瀧口:その点は安心してください!新発田市には現在、私たち市民まちづくり支援課がサポートする地域おこし協力隊が12名(令和7年7月時点)活動しています。
隊員同士の横のつながりが強く、定期的にミーティングを開いて情報交換をしたり、相談し合ったりしています。私たち市の職員ももちろん全力でサポートしますので、「知らない土地で独りぼっち」ということはありません。
清治:移住後の住居については、原則としてご自身で探していただく形になりますが、家賃の一部補助もあります。
「どこに住めばいいのかわからない」という場合も、相談いただければ現役の地域おこし協力隊員から地域ごとの特徴や魅力などをお伝えできるかと思います。
また、活動に必要な車やパソコンも貸与しますので、すぐに活動を始められる環境は整っています。

「日本語教師」の夢も叶う? この仕事ならではの魅力と未来
―「多文化共生コーディネーター」として働く魅力や、やりがいはどんなところにありますか?
瀧口:個人的なお話になってしまいますが、実は、私は大学生の時に日本語教師を目指していたんです。ただ、当時はなかなか自分のやりたいことと合致する就職先が見つけられなかったという経験があります。
だからこそ、この仕事は本当に魅力的だと思っています。身近に日本語を教える場があり、さらに自分のアイデアで交流イベントまで企画できる。日本語教育に関心がある方にとっては、理想的な環境ではないでしょうか。
「大学生の時に出会いたかった!」と本気で思います(笑)
清治:3年間の任期満了後のキャリアも魅力的な部分だと思っています。前任者は、この活動で得た経験を活かして、関連機関に就職しました。ここで得た経験は、新発田市内に留まらず多様な分野で活かせるはずです。
あなたの「やりたい」を聞かせてください
―最後に応募を考えている方へメッセージをお願いします。
清治:書類選考では、「このまちで何をしたいか、どんなことを企画してみたいか」という具体的なイメージや、ご自身のスキルをどう活かせるかをアピールしてほしいです。そして、面接では3年後のビジョンについても聞かせてください。
熱意ある方からのご応募を楽しみにしています!
瀧口:「自分が要件に合うか不安」、「仕事内容をもっと詳しく知りたい」という方も多いと思います。
そんな方のために、オンラインでの説明・面談を随時行っています。軽い気持ちで相談するような感覚でお話をさせていただき、そこで不安や疑問を解消していただいてから応募を考えてもらえれば大丈夫です。
オンライン説明・面談は、現役の隊員から経験談を聞くこともできるので、”もう一押し”が必要な方にはとてもお勧めです。
新発田市の地域おこし協力隊、そして多文化共生コーディネーターという仕事に少しでも興味を持っていただけると嬉しいです!
―本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年6月取材)
※募集要件や活動内容についてはこちらの新発田市HP内資料でも確認することができます。