新上五島町役場で所長補佐(主任保育士)として働く福島さんのインタビュー記事です。今回は、子どもたちの健やかな成長を「食」という大切な役割で支える、町立保育所の調理員の仕事について、そのやりがいや新上五島町ならではの魅力、そして今後の展望を伺いました。
ー本日はよろしくお願いいたします。福島さんは現在、所長補佐でいらっしゃるとのことですが、まずは保育所の体制について教えていただけますか?
福島:新上五島町の町立保育所は、町長が所長になります。その下に福祉課があり、その中で、認定こども園を含めて4つの町立保育所が運営されている形です。私はその中の一つの保育所の責任者という立場になります。
私が勤務しているのは「奈摩(なま)保育所」という、地区の名前がついた保育所です。園の規模は様々で、一番大きな園では園児数が70名近くいますが、私のいる奈摩保育所は比較的小規模で、現在24名の園児たちがいます。他の2園も合わせると、全体では150名から200名近い子どもたちが毎日元気に通っています。

ー現在の調理員の体制も教えてください。
福島:各園に調理室があり、それぞれ調理員が配置されています。一番大きな園では2名体制ですが、それ以外の園、例えば私たち奈摩保育所のような規模のところでは、基本的に1名体制で給食やおやつ作りを担当しています。
もちろん保育士同様に、園の異動や体制変更もありえます。
ー調理員さんの具体的なお仕事内容について、より詳しく教えてください。
福島:調理師の仕事は想像よりずっと広いと思います。給食日誌の作成、衛生管理記録簿の管理、食材の発注業務、検収の記録、受け払い簿の作成など、専門的な知識を求められる業務が、調理以外にたくさんあります。
子どもたちの口に入るものだからこそ、安全と栄養管理には細心の注意を払って多くの業務をされていることを、私自身も所長補佐になって知りました。

ー保育士と調理員が連携する場面は多いのでしょうか?
福島:もちろんです。子どもたちがどう食事しているかの確認や、アレルギーを持つお子さんへの対応などの情報共有、そしてその確認を日々連携しながら徹底しています。
子どもたちが給食を食べている様子を見に来て、「このおかずが好きなんだね」「よく噛んで食べようね」といった声かけや指導をしてくれることもあります。
また、他の園の調理員とも情報交換をしたり、勉強会をしたりしているようです。例えば、月に一度発行する「食育だより」という保護者向けのお便りがあるのですが、これにはその月の献立や、旬の食材を使ったレシピなどが掲載されます。
一番大きな園は独自に作成していますが、他の3園の調理員は協力し、持ち回りで担当を決めて作成しているようです。一人で毎月作成するのは大変ですから、うまく連携して負担を分担しています。
ー献立は調理員が決めるのですか?
福島:献立の基本となる年間メニューや栄養基準は、栄養士が作成します。その指針に基づいて、日々の具体的なメニューは各園の調理師が工夫して決めています。臨機応変に対応できる部分は大きいようです。

ー連携も多いんですね。
福島:各園でいうと調理員は少数ですが、職種関係なく休憩時間にはみんなでお茶を飲んだり、調理員さんがお茶を淹れに来た時に保育士と談笑したりと、和気あいあいとしています。
もちろん個人の性格にもよりますが、調理員も積極的に保育士とコミュニケーションを取っていますので、良い雰囲気だと思います。
ー調理員の仕事のやりがいについても教えてください。
福島:これは、実際に働く調理員の皆さんに聞いてきました。
やはり、子どもたちとの関わりの中で感じる喜びが大きいようです。ただ給食を作るだけでなく、子どもたちの顔を見ながら、反応をダイレクトに感じながら仕事をされています。
「給食、おいしかったよ!」「また作ってね!」と子どもたちから声をかけられると、本当に嬉しいし、それが大きなやりがいになっていると。それぞれの園にいて距離の近い調理員だからこその仕事の魅力だと思います。

ー今回、調理員を募集される背景を教えてください。
福島:小規模園では1名で調理業務全般と事務作業を担っており、負担が大きいというのが正直なところです。管理や調理には細心の注意と手間が必要で、精神的にも肉体的にも大きな負担であり、万が一の事故があってはならないというプレッシャーも常にあります。また、休みが取りにくいという現実もあります。
新しい職員が増えることで、一人ひとりの負担を軽減し、より安全で質の高い給食提供ができるようになると考えています。また、急な休みにも対応しやすくなり、調理員さん自身も安心して働ける環境を整えたいです。例えば応援が必要な園にヘルプに行ってもらうなど、柔軟な人員配置も可能になるかもしれません。
あと、今でも調理員の皆さんは行事食をすごく頑張っていただいています。例えば、クリスマス会やお誕生日会など、特別な日には調理員が腕を振るって、見た目も可愛らしく、子どもたちが喜ぶ特別メニューを作ってくれています。
人手が増えれば、そういった手が込んだものをつくることにも余裕が出てきます。子どもたちのリクエストを聞いてメニューに取り入れてくれることもあり、本当に子どもたちは大喜びなんです。

ー最後にメッセージをお願いします。
福島:これも調理員さんからお聞きした話ですが、公務員として町立保育所で働くということで、安定した給与や雇用条件も働く魅力です。
現在も大変ではありますが、調理員には土曜日を週休としてしっかり休んでもらえるよう、保護者の方にご理解ご協力いただき、土曜保育の給食提供は行わずお弁当持参にしていただくなど、働く環境の整備も行っています。
保育所の調理員という仕事は、子どもたちの成長を間近で感じながら、食という非常に重要な役割を担う、専門性と愛情が求められる仕事です。大変なこともありますが、子どもたちの「おいしい!」という笑顔や「先生ありがとう!」という言葉が、何よりの喜びとやりがいになります。これから調理員としてのキャリアをスタートさせたいという若い方も大歓迎です!

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年05月取材)