大阪府泉南市役所の都市整備部道路課工務係に係長として在籍している田邊 靖博(たなべ やすひろ)さんに、公務員としてのやりがいや民間企業との違いなどを伺いました。
―これまでの経歴についてご紹介ください。
田邊:私はもともと高知県の出身で、四国にある大学の工学部土木工学科を卒業後、民間企業への就職を機に大阪へ出てきました。
その会社は6年ほど勤続していましたが、あるきっかけで泉南市とは別の地方自治体に転職。その後、縁あって泉南市に入庁し、現在5年目です。
―民間企業から公務員に転職したのはなぜですか? また民間から行政に移るにあたり、懸念点はありましたか?
田邊:最初に就職した会社では、構造物の維持管理の仕事をしていたんですね。私自身も大学からずっと土木を学び、企業での経験を積む中で、次第に維持管理だけでなく計画・設計・工事・施工に至る土木構造物のサイクル全般に携わりたいと思うようになりました。
それらのライフサイクル全般の仕事を担えるのはどこかと考えたときに、公共施設の管理者である行政かなと考え、民間から公務員への転職を決意しました。
民間から行政に移る際の懸念は少しだけありましたが、試験を受けた時点では深く考えず身一つで飛び込んだ感じです。
―はじめは泉南市とは別の地方自治体に転職されたとのことですが、そこから泉南市役所に移られたきっかけは?
田邊:以前の自治体にいる頃、第一子が誕生しまして。ちょうど妻の実家が泉南市だったんですね。今後子育てしていくうえで妻の実家が近い方が良いのではないかというのと、妻が育った泉南市がどのようなところか知りたいという思いがあり、泉南市役所に移りました。
―現在所属されている都市整備部道路課工務係の仕事内容と、職場の体制についてお願いします。
田邊:主に道路に関する行政に携わっています。具体的には、狭い道路の拡幅や渋滞が慢性化している交差点の改良など、道路に関する設計・施工です。
まず工事の発注前に、現場に行って測量します。測量を終えてからは設計がメインの仕事ですので、デスクワークが主になります。それが一定のサイクルで動いていく感じです。
また道路の拡幅や改良などは、道路に隣接する個人の土地をどれだけ提供・協力いただけるかが問題になりますので、その土地の所有者や個人宅などに伺い、交渉も行います。
職場の体制ですが、道路課としての人数は11名。課長を筆頭に、課長代理級が3名。その下に工務係と管理係の2つの係が配属されています。私が所属している工務係は2名で、私のほかに2023年に新卒で入ってきた方が1名。
ただ2名で回すというのは無理があるので、実際にはもう1名課長代理級の職員がおり、合計3名体制です。
―通勤・就業時間や、残業の有無についてお伺いできればと思います。
田邊:私の就業時間は9時〜17時半です。コロナ禍以降時差勤務制度を取り入れているので、就業時間は人によって異なります。通勤時間は電車で片道40分程度でしょうか。
残業は部署内でもほとんどしないようにしています。私の上司にあたる課長代理級の方も定時退社が当たり前で、以前私が残業していた日には珍しさと「早く帰ろう」という意味からか、すごく天気が良い日に「今日は雨降るんちゃうか」とからかわれたことがあります(笑)。
―他の職員の方との関わりや、新人職員の教育についてはいかがですか?
田邊:現在所属している新卒職員は、学校を卒業してすぐなので、土木の知識自体はあったんですね。なので、そういったこと以外の工事の進め方、業者さんとのやりとりなどの現場での立ち回りを、私がやっている後ろで見て学んでもらいました。
2,3ヶ月程度一通り学んでもらったあとは実際に現場での対応を任せて、私の方でもフォローはしつつ、自分から積極的に動いてもらうようにしています。実質マンツーマンでの業務になりますので、新人にとっては良い環境なのではないでしょうか。
―以前お仕事されていた民間企業、地方自治体、そして現在の泉南市とでそれぞれの業務の違いはありますか?
田邊:民間と行政の仕事の違いで言えば、行政の方が市民と関わる機会が圧倒的に増えるので、最初は市民の方にどう接して良いかわからない部分がありました。
自治体間での違いは、以前の自治体は政令指定都市の規模が大きい都市だったのですが、そちらは設計を業者に委託発注して設計成果品を納めてもらうのが主だったのですが、泉南市では通常の工事は測量からはじまり設計などもすべて直営なんです。それぞれの良し悪しはありつつ、後者の方が自分の技術力はアップするのかなと思います。
また、工事に移る際も図面や発注内容が全部頭に入っているので、現場で的確な指示を出せるんですね。なので完成に至ったときに「これは全部自分がやったものなんだ」という達成感があります。最初は「え、これ全部自分でやるの!?」と面食らいましたが(笑)。
―仕事以外のプライベートでも泉南市を訪れる機会はありますか?
田邊:そうですね。妻の実家が近くにあるので。あとは和歌山の方に休みの日に家族で遊びに行く時などは自分が携わって工事した道路を通るので、それを家族に紹介できる嬉しさがあります。
―これから泉南市への就業を考えている方にメッセージをお願いします。
田邊:5年前、私が泉南市に入庁したときに強く感じたのは、職員の接し方が非常にフランクだったことです。職員同士が馴染みやすい環境にあって、私が所属している部署もアットホームで毎日楽しく仕事をしています。
また、維持管理、そして、測量から完成まで、一貫して携わりたい方、技術力を磨きたい方にも来ていただけたらと思います。
―本日はありがとうございました。