大阪府泉南市役所の成⻑戦略室連携戦略課で係長として働く中堂 庄太さんに、泉南市で取り組んでいる事業についてお話を伺いました。
—これまでの経歴について簡単にご紹介ください。
中堂:大学卒業後、3年間民間企業で勤務したのち、平成26年に泉南市役所に入庁しました。
生活保護のケースワーカーを3年間担当した後、マッセOSAKA(大阪府市町村振興協会が開設した「おおさか市町村職員研修研究センター」)へ派遣されました。
3年間、市町村職員向け研修の企画や行政課題に関する研究に携わり、令和2年に泉南市役所の政策推進課に戻りました。
そこで令和5年に新設したのが、成長戦略室という部門です。シティプロモーションにもっと取り組んでいこうということで新たに設置されました。
これまでは関連部署と連携しながら政策推進課として取り組んでいたことを、1つの部署にまとめた形で、現在はその内の連携戦略課で係長を務めています。
ーシティプロモーションのために作られたんですね。
中堂:大きなきっかけとなったのが、新市長の存在です。
当時全国で一番若い市長と言われていたのですが、泉南市を持続可能なまちにしていくということを掲げて当選しているので、市長直轄で成長戦略室が設置されました。
元々シティプロモーションは、政策推進課で取り組んでいたのですが、さらに本腰を入れて取り組むとなれば、組織が必要という話になり、設置に至ったという背景があります。
ー成長戦略室で行っている取り組みについてお聞かせください。
中堂:
・SENNAN LONG PARK (泉南りんくう公園)という総合施設をきっかけに、泉南市に来て巡ってもらうという観光・誘客のプロモーション戦略課
・ふるさと納税や情報発信を行うふるさと戦略課
・私の属する公民連携や企業立地、SDGs関連事業や万博関連事業も行う連携戦略課
と3つの課があり、それぞれ異なる取り組みを行っています。
部署立ち上げ時も非常に大変でした。
既存メンバー半分、新規メンバー半分で新規採用職員も入った状態だったので、まずは全員で研修をしてなぜこの部署ができてどういう取組みで行っていくのかという認識の共有からはじめました。
今もそうですが、ワンチームとして頑張っていこうとよく言っていましたね。
そして、それぞれの課でKPIを定めて民間企業的な思考で業務を始めていった形です。この部署の業務は、法律の中にない業務だからこそ指標を定めて結果を出すことにこだわっています。
ー業務の領域がかなり広い中でワンチームということは、関連性があるということでしょうか?
中堂:成長戦略室での事業はすべて1つのサイクルにあると考えています。
様々な形のシティプロモーションの中で泉南市は関係人口や交流人口を獲得する観光型だと考えていますが、まずSENNAN LONG PARKを通して泉南市の認知度をあげて知ってもらいます。
そこから企業立地や投資を検討されている企業から泉南市の魅力に気づいたと言ってもらえることも多いですし、観光だけではない経済活動の活性化に繋がっています。
そうすれば税収も増加し、泉南市民へのさまざまなサービスを提供できるようになり、人口増加やシビックプライドも醸成され、また新たな取組みができるという、好循環サイクルになると考えています。
ー中堂さんの業務は何名体制で行っているのですか?
中堂:成長戦略室の次長兼課長と、私、若手職員の3名構成です。ただ、次長兼課長が秘書担当も兼務しているため、思うように指示を仰ぐことができない状態です。
ーそれは大変ですね!どのように業務を分担しているのでしょうか?
中堂:僕が指示をして動いてもらうのではなく、役職関係なく一緒に動いている形です。私とその若手職員とで得意分野も全く異なるので、自然と役割分担ができていて、良いチームになっていると思います。
若手職員は以前の部署での行政事務の基礎がしっかりとできているので、話の理解も早く自主的にどんどん動いていただけるので非常に助かっています。
ー泉南市では入庁10年で3部署を経験するという異動ルールが設けられていると聞きました。そちらにはメリット・デメリットはあるのでしょうか?
中堂:10年で3部署を経験するというルールは経験や知見を深める上で非常に良いことだと思います。1年目で習って、2年目でやってみて、3年目で工夫する。
そのような流れで業務理解が深められるので、育成には非常にプラスに働いていると思います。
デメリットとしては、専門的なスキルがつきにくかったり、上司から見てその部署にいてほしかったりしても、約3年で異動になってしまうという点があります。
ただ、最初の10年間に3つの分野のローテーションが終わったあとは、自己申告制度や専任職制度といったように、自身が勤務したい職場や業務の希望を出すことも可能です。
ーでは、中堂さんご自身の仕事のやりがいはいかがでしょうか?
中堂:良い意味で、市役所らしくない仕事をしてるという実感はとてもあります。ルーティンではないですし、それだけをやってしまうとなかなか生産性もあがらないんですよね。
市民へのサービスが多様化し、効率化や生産性が求められる中、工夫して業務改善していかなければいけないので、自分の発想力やアイデアが活かされていると思います。
ー泉南市役所ならではの特徴はどのようなものだと思いますか?
中堂:上から指示されて動くのではなく、若手職員も一つの戦力として一緒に動く点です。例えば成長戦略室で市長にレクチャーするときは、幹部職員以外の職員が入ることもあります。
その場での会話を一緒に聞いて、市長の目指すところ、課が進むべき目標を明確にして、そのゴールに向かって自分で考えて行動できるようになっていますね。
ーそれでは、中堂さんが現在課題と感じていることはありますか?
中堂:ずばり、属人化です。現在、私が市を代表して、イベントやパネルディスカッションに登壇することもあります。資料作りから当日の喋りまで対応しているので、やりがいになっている一方、私が対応できない時に、同じように動ける職員がいないのが課題となっています。
属人化解消のためにも、業務を平準マニュアル化して、個人の能力を伸ばしていけるような仕組みを残したいと思っています。
また、私よりも上の世代が少なく、さらに、その世代の大量退職が迫っています。そのため、その世代の持つノウハウの継承が難しくなっているというリスクも抱えています。
この状況から脱するために、令和3年度に働き方改革・女性活躍推進プロジェクトチームが、令和4年度にDX推進プロジェクトチームが若手職員を中心に立ち上がり、市長への提言などについても、チームで連携しながら進めました。
ーでは最後に泉南市で働く魅力についてお聞かせください。
中堂:特に成長戦略室がそうですが、泉南市は自分のアイデアがそのまま仕事に直結できます。行政にありがちな法定受託事務だけではなく、自分の能力を活かした業務にもチャレンジできます。
個人の意見を聞いてくれる組織であり、まずは考えてくれる。若手職員からも直接声を上げるような機会が多いのも魅力だと思います。
ー本日はありがとうございました。