「市民の役に立ちたい」「地元に貢献したい」 公務員を目指す多くの方が抱くその想いを、選考の過程ではどのように伝えれば良いのでしょうか。
今回は、茨城県桜川市の採用担当である吉澤さんと佐藤さんにお話を伺いました。求める人物像や仕事のやりがい、そして面接で本当に見ているポイントについて、採用担当者ならではの視点で率直に語っていただきます。
- 何よりも「コミュニケーション」を楽しめる人と働きたい
- すごい実績は必要ない。あなたの「物語」が聞きたい
- 「なぜ桜川市か?」自分の言葉で語る志望動機
- 桜川市の魅力は「人の温かさ」と「まちの変化」
- 試験で見ているのは「あなたらしさ」
- 未来の仲間へのメッセージ
何よりも「コミュニケーション」を楽しめる人と働きたい
ー早速ですが、職員募集をするにあたり、桜川市ではどのような人材を求めているのでしょうか?
吉澤:一番重要視しているのは、人とコミュニケーションを取ることを苦にしない方ですね。これは市民の方に対してはもちろん、職員同士のコミュニケーションも含まれます。
聞きたいことがあるのになかなか切り出せないなど、先輩とのコミュニケーションでつまずいてしまう方もいるので、市職員として働くうえでとても大切な素養だと考えています。
佐藤:加えて、市職員としての仕事を何でも楽しんでやっていただける方がいいなと思っています。市役所の仕事は、人事のようなデスクワークもあれば、選挙の運営、時にはイノシシの対応まで本当に多岐にわたります。
それぞれの仕事に順応して、自分なりに楽しみを見つけられる人の方が、きっと市役所で働くことにやりがいを持てると思いますし、活躍できるはずです。
ーコミュニケーション能力にも色々あるかと思いますが、具体的にどのような力だとお考えですか?
吉澤:まずは、人の話をきちんと聞く「傾聴力」です。相手の話をしっかりと聞いて理解する力があれば、発信する方のコミュニケーション力については、知識や経験を積むことでいくらでもスキルアップすることが可能です。
また、我々が「採用担当者」という立場だからかもしれませんが、受験者の方と話していると、緊張からか壁を作ってしまう人も見受けられます。せっかく同じ場所で働く仲間なので、互いに壁を作らず、分からないことがあればすぐに聞き合えるような関係を築ける力が、仕事を円滑に進める上では大切だと思います。
佐藤:私たち先輩や上司が、若い人に対して壁を作らない雰囲気作りももちろん大切にしています。分からないことを気軽に聞いて、それを自分で実践する。このサイクルができるようになれば、仕事も着実に身につき、どこに行っても活躍できるような人材になるはずです。
すごい実績は必要ない。あなたの「物語」が聞きたい
ー自己PRについて、何をアピールすれば良いか悩む方も多いと思いますが、採用担当としてはどういったことを聞きたいですか?
吉澤:学生生活や社会人経験の中で「これを頑張った」という経験を、ぜひ一つ、熱意を持ってアピールしてほしいです。
例えば、アルバイトでの経験でも、部活動で大会に出たことでも何でも構いません。その人の頑張りが見えることで、「仕事でも同じように頑張ってくれるだろう」と、働く姿をイメージしやすくなります。
「これだけは誰にも負けない」というものがあれば、ぜひアピールしてください。
ー「〇〇大会出場」のような、大きな成果でなくても評価されるのですか?
吉澤:世間的に見て評価されるような実績であったり、必ずしも大きな成果である必要はありません。自身が頑張ったこと、何かを得た経験など、あなたならではの経験を教えてもらえればと思います。
例えば「大学受験にて、自分なりにこんな勉強法で頑張って志望校に合格することができた」という話でも立派なアピールです。頑張ったことやそれにより達成できた経験は誰にでもあると思います。ぜひ、ご自身の人生の転機を振り返ってみてください。きっと「そういえば、これを頑張ったな」と思い当たることがあるはずです。
佐藤:私も就職活動の時は人に誇れるような経験がなく、自己PRの書き方で悩んだことを覚えています。
でも、人と比較する必要は全くありません。サークル活動において、例え部長などの役職でなかったとしても、仲間とぶつかった経験や、それを乗り越えた経験など、ご自身では「普通だ」と思っていることが、実は周りから見るとすごく評価されることだってあります。
趣味でも何でも構いません、あなたが熱中したことを、あなたの言葉で熱く語ってもらいたいです。
「なぜ桜川市か?」自分の言葉で語る志望動機
ー率直にお聞きしますが、採用担当に「響く」志望動機とはどういったものですか?
吉澤:「公務員になりたい」から「桜川市に入りたい」という流れで考える方が多いと思いますが、そこから一歩進んで、「自分が桜川市に入ったら、こんなことをやってみたい」という具体的なイメージを持って志望動機を考えていただきたいです。
そのためには、市のホームページや広報誌、できれば総合計画などにも目を通して、桜川市の取り組みをよく理解した上で、ご自身のやりたいことと結びつけて書くことをお勧めします。

佐藤:市外から受験される方の場合、特に志望動機の書き方には悩まれるかと思いますが、まずは「桜川市に興味を持っている」と熱意を伝えてもらいたいです。そういった点では、吉澤さんが言うとおり、桜川市の現状や動向をよく知っておく必要はあるかと思います。
市内の方であれば「地元が好き」という想いでも志望動機になるかと思いますが、やはり一歩踏み込んだ考えまで聞かせてもらいたいですね。
例えば、最近桜川市が過疎地域に指定されたといった課題を知った上で、「自分の経験を活かして、こんな人口減少対策がしたい」と書かれていると、志望度の高さを感じます。
吉澤:反対に「有名な観光地があるから」や「学生時代に通っていて思い入れがある」という理由だけだと、少し物足りなく感じてしまいます。
なぜなら、そこから「あなたは何がしたいのか」が見えてこないからです。実は私も就職活動の時、縁もゆかりもなかった市を「何となく良いな」という気持ちで受験し、面接で不合格になった経験があります。
やはり「なぜ、ここで働きたいのか」を突き詰めて考えておかないと、自分の言葉で想いを伝えることは難しいのだと痛感しました。
桜川市の魅力は「人の温かさ」と「まちの変化」
ー採用担当者として、他ではない、桜川市で働く魅力は何だと思いますか?
佐藤:はっきり言ってしまうと、業務内容は他の市町村と比較しても大きく変わらないかもしれません。その中でも桜川市を選ぶ理由としては「先輩たちが本当に優しいこと」ですね。これは昔から受け継がれている文化だと思っています。
困った時には親身に支えてくれますし、いざという時には率先して前に立ってくれる、兄貴肌・姉御肌の職員が本当に多いんです。私自身、ここで働いていて先輩や同僚との人間関係で悩んだことは一度もありません。
以前実施したエンゲージメント調査でも、先輩や上司に対する満足度が非常に高いという結果が出ましたので、数値でもしっかりと現れているんだと実感しています。
吉澤:もう一つの魅力は、市が大きく変わっていく「変化の時期」に立ち会えることです。令和9年度中には新庁舎への移転が予定されていますし、市内に商業施設の建設計画などもあり、これからの桜川市は変化が目まぐるしいです。

このタイミングで市職員として働けることは、これから受験される皆さんにとって、大きなやりがいと楽しみになると思いますよ。
試験で見ているのは「あなたらしさ」
ー採用試験において、大切にしていることなどがあれば教えてください。
吉澤:桜川市では「人物重視」の採用を行うため、昨年から作文試験を無くしています。文書作成の能力は入庁してからでも十分に養えますので、それ以上に、面接などを通じて、皆さんのコミュニケーション能力や人柄を知りたいと考えています。
一昔前と比較すると、採用された方の出身大学や学歴はとても幅広くなっています。学歴や知識だけで判断するのではなく、「この人となら一緒に働きたい」と思える方を求めています。
佐藤:私は1人ひとりの「表情」が大切だと思っています。面接試験などではとても緊張すると思いますが、ぜひ「表情」だけでも意識してみてください。硬い表情のままだと、なかなかご自身の想いが伝わりにくいものです。
面接官も人間なので、受験者の笑顔やいきいきとした表情が見えると、話がしやすく、聞きやすくなります。ぜひ、ありのままのあなたを見せてほしいです。
吉澤:また、当たり前かもしれませんが、試験時以外の「振る舞い」も大切にしています。例えば、受付や待合室でのやり取りや、提出物の提出方法、期限を守るといった基本的なことです。試験とは直接関係ない部分にこそ、その人本来の人間性が見えると感じています。
未来の仲間へのメッセージ
ーそれでは最後に、桜川市職員を目指す方へメッセージをお願いします。
吉澤:私は採用担当になって今年で6年目になります。自分が採用、育成に関わった職員が、今では中堅として成長し、活躍する姿を見るのは本当に嬉しいものです。
これから仲間になる皆さんのことも、私たち採用担当が採用試験から入庁後の育成まで、しっかりフォローしていきますので、安心して桜川市を受験してください。
佐藤:桜川市役所には、本当に多岐にわたる仕事があり、たくさんの経験を積むことができます。それは間違いなく、あなた自身の可能性を広げることにつながるはずです。
皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしています!

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年7月取材)



