名張市役所で土木技術職として働く田中さんのインタビュー記事です。
民間企業や他の自治体で勤務したのち、学生時代を過ごした「第2の故郷」である名張市へ移住・転職されました。
そんな田中さんに、土木職としての仕事のやりがいや苦労、そして「最高」と語る職場の雰囲気、名張市の魅力について伺いました。
ーまずは、これまでの経歴について教えてください。
田中:大阪府内で生まれ育ち、高校から名張市にある工業高等専門学校に進学しました。卒業後は、一度民間の土木会社に2年間勤め、その後、地元の市役所に転職しました。そして、昨年度(令和6年度)に名張市役所へ転職し、現在に至ります。
ー土木職の道に進もうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
田中:高専の3年生の時に、4年生以降の専門コースを決める必要があったんです。機械や電気、情報処理など様々な選択肢がある中で、私自身、ずっと室内で仕事をするよりは外に出て、時には作業もするような働き方がしたいなと漠然と考えていました。
その中で「現場監督」という仕事に興味を持ち、土木の道に進むことを決めました。特に何かに憧れてというよりは、自分の性格に合っているだろうなと思ったのがきっかけですね。

ー民間企業では、現場監督として働かれていたそうですね。具体的にはどのようなお仕事でしたか?
田中:はい。民間企業では2年間、大阪の梅田の地下鉄工事にずっと従事していました。現場監督の見習いとして、測量をして作業員さんに指示を出したり、時には自分も一緒に作業をしたりと、常に現場にいるような仕事でしたね。
当時はまだ若かったですし、現場の作業員さんが帰られるまでずっと外仕事で、その後事務所に戻って図面を書いたり、次の日の打ち合わせの準備をしたりと、今思うとかなりハードな環境だったと思います(笑)。
ーその後、一度地元の市役所に転職されていますが、なぜ公務員になろうと思ったのですか?
田中:民間企業時代は京都の会社の寮に住んでいたのですが、やはり「地元に戻って働きたい」という気持ちが強くなっていきました。地元に帰って、何らかの形で地域に貢献できる仕事がしたいと考えたときに、公務員という選択肢が浮かんだというのがきっかけですね。
ーそして、次に名張市役所へ転職されたとのことですが、名張市を選ばれた理由を教えてください。
田中:実は、高専時代に3年間、名張市の寮で生活していたんです。なので、私にとって名張市は第二の故郷のような場所でした。また、妻が名張市の出身なので、結婚を機に、妻の地元である名張市に拠点を移し、ここで働こうと決めたんです。リアルな理由はそこですね(笑)。
ー現在の仕事内容について具体的に教えていただけますか?
田中:現在、名張市役所の維持管理室に所属しています。維持管理室は、公園担当と道路担当に分かれていまして、昨年度までは公園担当、今年度から道路担当として勤務しています。
公園担当の時は、市内に約160ある公園の管理が主な業務でした。草刈りなどは地域の自治会に委託しているので、その契約締結業務も大きな仕事の一つです。メインの業務としては、市内の遊具が老朽化してきているため、その更新工事を進めることでした。毎年10から20基ほどの遊具を計画的に更新していく仕事に携わっていました。
今年度から担当している道路の業務は、前職の自治体での仕事内容とほぼ同じです。道路のアスファルト舗装工事や歩道の整備工事などが中心ですが、名張市の特徴として、職員自身が現場で作業をすることが非常に多いです。
もちろん、大規模な工事は入札にかけて業者さんにお願いしますが、小規模な修繕、例えば道路の草刈りや倒木の処理、アスファルトの補修などは、自分たちで直接行います。
民間企業や前職の自治体との一番大きなギャップは、まさにこの「自分たちで作業をする」という点ですね。前職では、基本的に業者さんへ依頼するのが主でしたが、名張市では、できることは自分たちでやる、という文化が根付いています。

ー土木職の仕事のやりがいや面白みは、どのようなところに感じますか?
田中:道路というのは、市民の皆さんの生活に欠かせないインフラです。誰もが毎日使うものの維持管理に携われるという点に、まず大きなやりがいを感じます。
また、道路の補修といっても、原因や状況は様々です。その一つ一つの案件に対して、どの工法を選び、どの材料を使うか、そしてどうすればコストを抑えられるか、自分の知識と経験を総動員して最適な手法を考え出すプロセスは、この仕事ならではの面白さだと感じています。
そして、その考えが形になり、実際に道路が綺麗になったり、安全になり地元の方が喜ばれているのを見ると、やはり嬉しいですね。

ー民間企業や前職の自治体での経験が、今の仕事に活かされていると思うはありますか?
田中:まず、民間企業時代に大きな現場を経験させてもらったことは、今の仕事に大いに役立っています。地下鉄工事のような大規模な現場では、様々な工法や材料に触れる機会がありましたし、工事全体の段取りや作業手順を肌で学ぶことができました。
あの経験がなければ、今のように自分で設計をしたり、積算をしたりする際に、もっと苦労していたと思います。
また、前職の自治体での経験も非常に大きいです。行政特有の支払いまでの流れや、契約に至るまでの手続きなど、基本的な業務の流れはどの自治体も概ね同じです。もちろん、細かいルールや使っているシステムは違いますが、一度経験している分、名張市役所に来てからもスムーズに業務に入ることができました。
ー職場の雰囲気はいかがですか?
田中:職場の雰囲気は、もう最高です!本当にいいと思います。
分からないことがあっても、まずは自分で調べる姿勢はもちろん大事ですが、それでも解決しないときは、上司や先輩にすぐに相談できます。そうすると、一緒になって真剣に考えてくれますし、「じゃあ一緒に現場に行こう」とすぐに行動してくれるんです。一人で抱え込むことがないので、非常にやりやすい職場ですね。
ワークライフバランスの面でも、とても恵まれていると思います。残業は時期にもよりますが、月平均で数時間程度です。有給休暇も取りやすい雰囲気ですし、夏季休暇も全員がしっかり取得できるように、上司や先輩が率先して「全部取ろう!」と言ってくれる雰囲気があるのは、本当にありがたいですね。

ー移住されて感じた、名張市の魅力について教えてください。
田中:実際に住んでみないと分からない魅力がたくさんある街だと思います。
特に感じるのは、交通の便の良さですね。都会のように、仕事終わりの時間帯にひどい渋滞が発生することがほとんどありません。スーパーに行くにも、どこかに出かけるにも、時間を気にせずスムーズに移動できます。このストレスのなさは、住んでみて初めて実感した大きな魅力ですね。
個人的にも、名張市が大好きになってしまいました。本当にいい街だと思います。
ー最後に、これから名張市の土木職を目指す方へメッセージをお願いします。
田中:土木職は、業者の方や地域の住民の方など、多くの人と関わる仕事です。時には、住民の方から厳しいご意見をいただくこともあります。ですが、そこで受け身になるのではなく、市の職員として対等な立場で、言うべきことはしっかりと言う姿勢が大切だと感じています。
もちろん、私たちが至らない点は真摯に受け止め、改善しなければなりません。しかし、過度な要求に対しては、きちんと理由を説明し、断る勇気も必要です。
だからこそ、明るく、そして何事にも積極的に取り組める強さを持った方と一緒に働けたら嬉しいなと思います。
大変なこともありますが、それ以上に大きなやりがいを感じられる仕事です。ぜひ、私たちと一緒に名張市をより良くしていきましょう!
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年7月取材)