多治見市では、給食を生きた教材とし、食育の推進に役立てられるように、旬の食材や地元の食材を取り入れ、できる限り手作りにこだわった安心・安全でおいしい給食づくりに努めています。
今回は、多治見市食育センターで働く20代のエース調理員・渡邉さんにお話を伺いました。
未経験から調理の世界へ!

―入庁までのご経歴を教えてください。
渡邉: 工業高校を卒業後、民間企業で2年ほど働いていました。そこから転職して、最初は食育センターの会計年度任用職員(パート)として採用されました。2年ほど経験を積んで、昨年度、採用試験に合格し、4月から晴れて正規職員となりました。
―最初に会計年度任用職員に応募されたときは、調理は全く未経験だったと聞いていますが、調理員をめざしたきっかけは何でしょうか。
渡邉: 実はすごく単純で…調理系のドラマが好きだったんです(笑)。それがきっかけで、調理の世界に興味を持ちました。ちょうどその時期に、知人のお父さんが調理員として働いているという話を聞いて、調べてみたら会計年度任用職員の募集があった、という経緯です。
―そうだったんですね。実際に調理場に入ってから、想像していたものとのギャップはありましたか。
渡邉: ありました。家やバイト先のキッチンとは違い、スケールが大きく、たくさんの人が働いています。「こんなに工場っぽいんだ!」とか「こんなにたくさんの人が関わっているんだ!」と驚いた記憶があります。
―なるほど。働き始めてからは、どのように業務や技術を学んだのですか。
渡邉: 最初は先輩に同行し、野菜の皮むき・洗浄など基礎的なところを学ばせていただきました。毎日その場で教えてもらいながら、できることを増やしていきました。
―現場で学ぶことが圧倒的に多い職種だと思いますが、先輩方へは何でも聞きやすいような環境でしたか。
渡邉: はい。調理中だけでなく、仕事終わりや休憩中など、いつ質問しても優しく教えてくださいます。 恥ずかしながら、入った当時は中学校の調理実習くらいの知識しかなくて…(笑) 包丁の握り方とか、野菜の切り方、食材の保存方法など、本当に基礎的なことから聞いていました。
―会計年度任用職員として経験を積んだ後、正規職員の採用試験にチャレンジされたということですが、やはりそれだけ調理の仕事がご自身に合っていたということですか。
渡邉: はい。調理場の皆さんが優しく、業務の中で不満に思うこともないです。何より、安心して働ける環境だなと感じています。正規職員の先輩方にも声をかけてもらって、勇気を出して採用試験に挑戦したところ、タイミングよく採用していただけました。
調理員の業務内容

―次にお仕事内容について聞いていきたいと思います。1日の業務の流れを教えてください。
渡邉: 午前中は、8:00出勤・ 野菜の下処理 → 9:30 調理 →10:30~ 配缶 → 片付け。お昼休憩(12:15頃~)に自分たちで作った給食を食べて、休憩後13:00~ 次の日のミーティング→ 13:30~ 片付けの続き → 16:00~ 次の日に向けた準備 → 16:30 定時という流れです。
―調理の他にも片付けや洗浄作業など、やることがたくさんあってお忙しそうですね。1日に何食分くらい作るのですか。
渡邉: 食育センターで作るのは、1日に約4,200食です。市内には、他にも6つの給食調理場と、保育園にも調理場もあるので… 正確な数はわからないですが、すべて合わせるとかなりあると思います(笑)。
―例えば、学校の夏休み期間など、給食がない日もあると思いますが、そんな時は何を行うのですか。
渡邉: 学校がお休みの期間を目一杯使い、調理場内の清掃や、いつも洗えないような大きな調理機器の洗浄、お皿磨きなどを行っています。一つの機器に3週間ぐらいかける時もあるので、結構時間がかかる作業ですが、子どもたちが食べる給食なので、かなり丁寧に取り組んでいます。
―メンテナンスも、とても大事なお仕事ですね。他に、給食を安全に届けるために心がけていることはありますか。
渡邉: 「ケガをしないこと」と、「食材の下処理を念入りに行うこと」です。ケガをしてしまうと、周りの調理員の方に負担をかけてしまうし、何より衛生面で問題になります。また、毎日新鮮な食材が届きますが、その分虫や土がついた状態で届くこともあります。少しの異物も入らないように、何回にも分けて野菜を洗ったり、必ず確認した上で次の工程へ移るようにしています。
―大変な業務もあったりしますか。
渡邉: そうですね。一度に大量のごはんや汁物を調理するので、それをかき混ぜるときは結構大変です(写真のようなひしゃくやスパテラを使用します)。 特に大変なのはカレーを作るとき。多治見市では、小麦粉とバターを炒めてルウを一から手作りしているので、ルウが焦げないように、1時間近くひたすら混ぜることもあります。でもその分、すごく美味しいカレーになるんです!
やりがいと、今後への挑戦

―先ほどのカレーの話は、まさに努力の結晶と言えますね!大変な中でも、やりがいを感じる場面はありますか。
渡邉: 自分が食べておいしいと思える給食ができたときや、料理の食缶が残さず返ってきたり、食育センターに見学に来た子どもたちに「いつもありがとう」「この前の○○美味しかった」と言ってもらったときなどに、すごくやりがいを感じます。 一生懸命作ってよかったなと思います。
―とても素敵ですね。現在、何か技術的な面での目標や挑戦したいことはありますか。
渡邉: 一番の目標は、「味付けに自信を持てるようになること」です。あらかじめレシピ・分量は教えてもらえますが、その時の食材の状態で味が全然変わってくるんです。それを自分で見極めて、素材の味を引き出すような味付けをしていきたいですし、「これでおいしくなる!」と自信をもてるようになりたいです。
―5年後・10年後は、どのような職員になりたいですか。
渡邉: 子どもたちに「おいしい」と思ってもらえる給食を作るのはもちろんですが、担当エリアのチームリーダーとして皆を引っ張って、安心して働ける場所を作っていきたいです。
調理員を目指す方へのメッセージ

―この記事を読んで「調理員になりたい」と思ってくださった方へ、メッセージをお願いします。
渡邉: 調理員は、20代から60代(会計年度任用職員さんを含めると70代)まで幅広い年代の方が活躍できる仕事です。お休みも取りやすく、例えば急にお子さんが体調を崩して「ちょっと早めに上がります」ということになっても柔軟にフォローしてもらえますし、学校の夏休み期間などは比較的落ち着いているので、日単位のお休みもたくさん取れます。
そして、未経験でも大丈夫です。 工業高校を出て、ほとんど料理をしたことがなかった私でも、しっかりスキルアップできました!(笑) わからないことがあっても親身に教えてもらえる環境なので、ぜひ思い切ってチャレンジしてもらいたいです。



