愛知県安城市役所で働く加藤課長と小林さんのインタビュー記事です。
今回は管理職と若手職員のフラットな関係性や、働きやすさ、そして安城市役所で働く魅力について伺いました。
お二人のやりとりからも、職場環境の良さ、働きやすさがとてもよく伝わってくる内容となっています。
ーまず簡単にお二人の自己紹介をお願いします。
加藤:名古屋市の出身で、大学では法学を学んでいました。平成8年度に入庁し、現在29年目となりました。最初の配属は電子計算課という部署でした。組織改正により現在は無くなってしまった部署なのですが、法学とは全くもって関係のない部署ですね(笑)
その後、税や企画、商工、人事関係などの部署を巡り、現在は環境都市推進課長を務めております。

小林:私は安城市の出身で、小さい頃から高校生まで安城市に住んでいました。大学は都内の大学に進学し、課長と同じく法学を学んでいました。
その後、民間企業での経験を経て、令和3年度に安城市役所に入庁しました。当初は任期付職員という雇用形態で、保育課、環境都市推進課に勤務し、令和6年度から、正規職員として同じく環境都市推進課で働いています。

ー加藤さんは、なぜ安城市役所を志望されたのでしょうか?
加藤:もともと安定した仕事に就きたいというところで、地方公務員になることを希望していたのですが、なぜ名古屋市の私が安城市を受験したのかといいますと、なかなかカッコいい理由が見当たらないんですよね(笑)
昔は現在のように市役所の情報も簡単に調べられるものでは無かったので、名古屋市から電車で通えるところ、といった観点で安城市に行きつきました。実を言うと、安城市に初めて来たのは、募集要項を取りに来たタイミングでした。
ただ、受験するからには志望動機や安城市のことは絶対に聞かれるだろうなと思ったので、庁舎にあった「広報あんじょう」のバックナンバーを何冊も持ち帰り、勉強していたのを覚えています。インターネットが無い時代だったので、市の施策や強みを調べるのも結構大変だったんですよ。
ー小林さんは、なぜ安城市役所に転職しようと思ったのでしょうか?
小林:前職は社風が合わなかったということもあり、計画的では無く比較的早く離職をしてしまったんです。そのため、無職期間があり、年金手続き等を行うため国保年金課を訪れたことがきっかけです。
それまではあまり市役所に手続きに来るような機会も無かったので、思えばこれが初めての安城市役所との接点だったかもしれないですね。ただ、その時の窓口の方がとても親身に寄り添ってくれるような方だったので、私の中で働く先として市役所を意識するようになりました。
それから市役所の仕事について調べていくうちに、これまで自分が知らなかったような幅広い業務があるということを知り、「これなら面白そう」と思うようになり、市役所を受験することを決めました。
ーお二人は試験対策としてどのようなことをされていましたか?やはり昔と今では大きく異なるのでしょうか?
加藤:私は大学で公務員試験対策といった講座を受講していました。筆記試験対策が主となるようなカリキュラムですね。現在のように「人物重視」と言われるような試験スタイルでは無かったため、面接の練習はほとんど行わず、ほぼ筆記試験の勉強だけをしていました。
小林:全く逆ですね(笑)
私は公務員試験対策といった勉強はほとんどしていなくて、面接対策に集中していました。もう何回も何回も自分で繰り返して、伝えたいことを話すことができるかといった練習を繰り返していました。また、地元とはいえ、市の施策のことについては全く知識がなかったので、他の方と同じように安城市のことについて「広報あんじょう」やホームページを見て勉強をしていました。
ー加藤さんは様々な分野を経験されていますが、入庁当時はどういった分野で働くことを希望していたのですか?
加藤:市役所に入る前は市民課くらいしか行ったことが無かったので、仕事のイメージが湧いておらず、入ってから何がしたいのかといったことはあまり考えていませんでした。
ただ、働く中で「次はこれをやってみたい」と思えるようなことがあれば、異動先として希望をしていました。覚えている中では「資産税課」と「商工課」については自ら希望しましたね。特に深い理由があったわけではないのですが、市職員となった以上、税金を扱う業務は1度くらい経験しておきたいと思ったのと、安城市で有名な七夕まつりの企画、調整等に携わりたいと思ったのがきっかけです。
ただ、希望以外の部署はやりたくなかったというわけでもありませんでした。幅広い経験ができるのが市役所の特徴であり魅力だと思っていますし、配属されればその場所で何かしらやりがいや面白みを見つけて働いていたと思っています。
ー小林さんは、希望する分野などはありましたか?
小林:私は市役所のことを調べるうちに、本当に多岐にわたる業務があるということを知ったので、最初から「これがやりたい」といったことはなく、まずは自分が配属されたところで頑張ろうという思いでした。
ただ、任期付職員だった頃も含め、これまであまり窓口対応をしたことが無いので、今後窓口で直接市民対応ができるような部署も経験してみたいですね。
ー加藤さんから見て、昔と今、市役所はどういった点が変わったと思いますか?
加藤:職場環境でいうと、私が入った時は自席でタバコを吸っていたりお茶汲み当番があったりと、今では中々想像がつかないようなこともありましたね(笑) 市役所だけでなく、民間も同じような環境だったのかと思いますが、昔と今、考え方は大きく変わったなと感じます。
業務面では、市役所が担う業務は着実に増えており、昔よりも部署が細分化され続けていて、仕事量も増えていると思います。
働き方も大きく変わってきましたね。わかりやすい例で言うと、昔は男性が育休を取るという考えは、世間でも市役所でも一般的ではありませんでした。制度としては昔からあったのかもしれませんが、少なくとも私の周りで、育休に入るような男性は聞いたことがありませんでしたね。
ー現在は男性職員から育休取得の相談をされる立場かと思いますが、昔を知っている分、違和感はなかったですか?
加藤:正直なところ、最初は「え?男性が育児で休むの?」って思ったこともあります。ただ、昔とは時代が変わったということを理解しているつもりなので、私は「ぜひ休んでね」と言うようにしていますし、今ではむしろちゃんと取得してもらいたいと思っています。
毎年育休を取得する男性職員も増えてきているので、少しずつ当たり前というか、取得しやすい雰囲気にはなってきているのではないでしょうか。
自分から育休を取りたいと言い出せない人は今でももちろんいるかと思いますので、出産の話を聞いたらこちらから「育休はいつ取る?」と声をかけるようにするなど、誰もが育休を取りやすい環境にすることが我々管理職の役目だと思っています。
ー小林さんは、現在の安城市役所での働き方についていかがですか?
小林:私はすごく働きやすいと思っています!本当にこれは課長が隣にいるからとかではなくて、心からそう思っています(笑)
3年間の任期付職員期間が終わってもずっと働き続けたいと思ったのも、職場環境が理由の一つですね。周りの職員も産休・育休を取るのが当たり前ですし、その後、復帰して働いている先輩職員の姿もたくさん見てきました。本当に誰もが安心して働ける場所だなと思っています。
普段のお休みに関しても取得しにくいということは全く無く、むしろ課長の方から「ちゃんと年休取ってね」「何日目標だよ」って声をかけていただいています。自分の休みも取りやすい環境でありがたいと思っています。
ーお二人を見ていると上司部下の壁を感じないのですが、普段から同じようなやりとりをされているのですか?
小林:一般的に「課長」ってなると少し緊張するのかもしれませんが、私の所属では全くそんなことはありません。普段も今みたいに気兼ねなくお話させていただいています。
実は環境都市推進課に異動が決まった時に、周囲の方から「加藤課長なら安心だね」って言われたんです。本当にどの職員からもそう言われたので加藤課長は特に部下から慕われていて、お話しやすい存在なんだと思っています(笑)
加藤:普段の打ち合わせでも、私や係長や担当者、みんな一緒に発言するようにしています。仕事の話であっても、常に係長を挟んで話すといった雰囲気はあまりないですね。フラットに課長、係長、係っていう役職なく、何でも話せるような関係性にしたいと思っています。
普段から、空いている席があれば、私がそこに座って部下と話をしているような事も多いと思います。
小林:そうですね。打ち合わせの時とかも、若手が萎縮して喋れないとかそういうことは全くなくて、お互いにコミュニケーションが取れていると思います。課長から「小林さん、ちょっとこれ教えてくれる?」って聞かれることもありますし、私から「こうしたらどうでしょう」と課長に直接提案することもあります。
空いている席にもよく座っているイメージですね(笑) 気が付けば課長が近くにいて、周囲との会話に溶け込んでいることがよくあります。
ー現在の業務内容について、お二人の立場でそれぞれ教えていただけますか?
加藤:うちの課は、環境政策係、環境衛生係、カーボンニュートラル推進室温暖化対策係の3つの係があります。環境政策係は、環境基本計画の推進、スマートハウスや次世代自動車などの補助金の受付、環境学習や意識啓発の推進などをしています。
環境衛生係は、騒音振動などの公害苦情への対応や環境保全、犬や猫の登録、市営霊園の管理など、多岐に渡る業務を行っています。
温暖化対策係は、カーボンニュートラルに特化したセクションを作りたくて、2年前に環境政策係から独立しました。そこでカーボンニュートラルの推進をメインとして進めています。
小林:私はカーボンニュートラル推進室に所属しています。私が携わっている仕事内容は大きく3つあります。1つ目は、公共施設から排出されているCO2量の管理です。
2つ目は、CO2排出量削減のための設備導入などのハード面での取り組みの推進です。
3つ目は、職員への啓発です。カーボンニュートラルを進めることの大事さや、どういったことをすれば良いのかなどを啓発しています。
ーやりがいや魅力を感じる瞬間を教えてください。
加藤:課長職としての話になりますが、やはり部下の成長を見るのがやりがいですね。毎年新しい職員が入ってくるので、最初は分からないことだらけだと思うんです。でも、係長や周りの先輩職員が優しく丁寧に教えてくれて、この職場で皆で育てた新人がやがて仕事で結果を出していくようになります。そんな姿を見ていると、とても嬉しい気持ちになりますね。
小林:大きな事業に携わらせていただいているという実感があることがやりがいに繋がっています。今、私が小さい頃によく遊びに行っていた公民館に、太陽光発電設備を設置する仕事をしているのですが、馴染みある施設に自分が設備を新しく導入するということは感慨深く、やりがいを感じました。
また、市役所ってどうしてもお堅いイメージがあったのですが、今の部署は全くそんなことはなく、自由に仕事を考えて、ボトムアップで仕事を進めさせてもらえるので、自分がやりたかったことが実現できるという点も魅力に感じますね。
ー人材育成について、課長としての考えを教えてください。
加藤:まずは管理職として、働きやすい職場を作ることが一番大事だと考えています。心身ともに健康で働けること、個々のパフォーマンスを最大限に発揮できる職場環境を作ること。そうすることで、新卒の人でも、異動や中途採用の人でも、最大限のパフォーマンスを発揮できるようになるんじゃないかなと思っています。
ー最後に、求職者の方にメッセージをお願いします。
加藤:安城市に縁もゆかりもなくても、安心して受験してください。大切なのは安城市民のために働きたいという強い使命感を持っていることです。ぜひ受験していただいて、我々と楽しく一緒に働きましょう!
小林:今、一緒に働いている同期には、安城市出身の人もいれば、県外から来てる人もいます。働いている中で本当に色んな人と関わっていることに自分でも驚いています。
安城市役所は出身地問わず、どんな方でもすぐに職場に馴染むことができる環境だと思っています。課長が言われたように、安心して受験してください。
一緒に頑張ってくれる仲間が増えたら嬉しいです!
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年1月取材)