「完璧な文章より、等身大の言葉が聞きたいです」
愛知県安城市役所で採用を担当する入庁7年目の鈴木さん。安城市では、受験者が自分の強みを活かせるよう、SPI試験の導入や、エントリー者全員と必ず面接を行う「人物重視」の採用試験を実施しています。
さらに今回からは、採用時期の選択制や、新卒向けの「情報処理」枠を新設するなど、より多様な人材がチャレンジしやすい環境を整えています。
今回は、就職活動を控える大学生や第二新卒の皆さんに向けて、安城市の採用試験の特徴や面接のポイント、そして新たに求める人材像について、鈴木さんにたっぷりとお話を伺いました。

「地元が好き」。県外での学生生活を経て、再び安城へ
ー本日はよろしくお願いいたします。まずは鈴木さんの自己紹介と、これまでのご経歴を教えてください。
鈴木:安城市役所に入庁して7年目になり、採用担当としては現在2年目です。入庁からの5年間は、「アンフォーレ」という複合施設の中にある図書情報館で、司書として図書館運営に携わっていました。
ーご出身も安城市とのことですが、大学時代は県外に出られていたのですね。
鈴木:はい、三重県の大学に進学し、一人暮らしをしていました。ただ、やはり実家や地元の安城のことが大好きだったので、何かあってもすぐに電車で帰れる距離感は安心でしたし、就職も自然と地元に戻ることを選んでいました。

「必ず会える」一次試験。きれいな言葉より、等身大の自分を
ー現在の安城市の新卒採用試験について、一番の特徴はどのような点でしょうか。
鈴木:一言で表すなら、「面接重視」の試験であることです。これまで集団討論や小論文なども実施してきましたが、より一人ひとりの考え方に向き合いたいという思いから、現在は一次試験で「書類選考」と「個別面接」を行っています。
大きな特徴として、書類選考で合否を決めることはせず、エントリーしていただいた方には必ず面接官が直接お会いするようにしています。
ーエントリーすれば必ず面接で会えるのですね!就職活動を控える受験生にとって、非常に嬉しいポイントだと思います。書類選考や面接では、どのような点を見られているのでしょうか。
鈴木:せっかく一対一でお会いできる時間があるので、書類選考はその「架け橋」のような位置づけだと思っています。
面接では、エントリーシートに書いたことをそのままきれいに発表していただく必要はないと思っています。私も受験生だった頃は、「採用されたい」という思いから、どうしても「完璧な文章をスラスラ言えるようにならなきゃ!」と必死でした。しかし、言葉に詰まっても、少し不器用な表現になっても、等身大のままで、「自分はこういう人間です」という想いや経験を、自分の言葉で語ることが大切なんだと、採用担当になってから実感しています。

SPIか教養試験か。そして「いつ入庁するか」も自分で選べる
ー二次試験では、試験のコースを選べると伺いました。
鈴木:申し込みの段階で、いわゆる公務員試験である「教養試験コース」と、民間企業でも広く使われている「SPI試験コース」のいずれかを選択できるようになっています。
民間企業と併願している方や、教養試験の対策をしていない方でも受験できるようSPIを導入しています。受験者数としては、SPI試験コースと教養コースでそれぞれ同じくらいの比率になっており、多くの方に活用していただいています。
ーさらに今年度から、受験者の自由度が広がる変更があったそうですね。
鈴木:そうなんです。これまでは「10月採用」ならその試験枠で、「4月採用」なら別の試験枠で、と分かれて受験をしていただく必要がありました。
しかし、今年度からはエントリーの時点で「何月採用を希望するか」を選択できるようになりました。 「10月でも4月でもどちらでもいい」という方は両方希望して進むこともできますし、「絶対に4月がいい」という方はそれに絞ることも可能です。受験生の皆さんの事情に合わせた、自由度の高い試験になっています。
新卒で「情報処理」枠を新設!行政のDXを牽引する存在へ
ー今年度から、新卒での「情報処理」職の募集が始まるとお聞きしました。
鈴木:今年度から初めて、新卒採用で事務職の「情報処理」枠の募集を行います。これまでは社会人経験者枠でのみ採用を行っていましたが、専門的な視点を持ちながら、市役所全体の情報化や業務改善に繋がるような人材を育て、増やしていきたいという強い思いがあり、今回、新卒採用に踏み切りました。
ー受験に必要な資格などはあるのでしょうか?
鈴木:応募要件として「ITパスポート」試験に合格していることが必要です。指定された日までに合格結果を提出することを要件としています。
ー市役所でITスキルを活かせるというのは、民間IT企業を志望している学生にとっても魅力的な選択肢になりそうですね。入庁後はどのようなキャリアを描くのでしょうか。
鈴木:主に、デジタル関係の部署で、庁内全体のDX推進や、情報政策の企画・調整など、行政のデジタル化をリードする仕事をします。また、様々な部署を経験する「ジョブローテーション」の中で、ご自身が持つ専門知識やスキルを活かし、各配属先のデジタル環境向上のための支援やITを用いた業務効率化を先導していく役割も期待しています。

自分の気持ちに素直に。選んだ道が「自分ごと」に変わる
ー採用担当の鈴木さんから見て、“安城市でキラキラと輝いている職員”はどんな人ですか?
鈴木:仕事をする上でも、何事も、「自分ごと」として捉えて行動している人は、とても輝いているように感じます。同じ仕事内容でも、「自分ごと」として取り組んでいる人は、どこか楽しそうなんです。課題にぶつかった時も「どうしたらもっと良くなるかな?」「どうしたらみんながハッピーになるかな?」と自分で考え、試行錯誤し、挑戦していく姿はとても活気に満ち溢れています。先輩たちのそうした姿から「やりがいは待つものじゃなく、自分で見つけていくものなんだ」と学びました。

ー最後に、これから就職活動を本格化させる学生や受験生の皆さんへメッセージをお願いします。
鈴木:就職活動の中で、多くの不安や迷いがあると思います。私も、うまくいかない自分に対して弱気になったり、自分の選択が正しいのか分からなくなったりすることが何度もありました。
そんな時は、ふとした自分の素直な気持ちに耳を傾けていました。
「なんかいいな」、「なんかわくわくするな」と感じたら、ぜひその気持ちを大切にしてほしいです。
悩んで、迷って、選んだ選択は、きっといつか「自分ごと」になり、明るく楽しいものになると思います。
あなたの「自分ごと」をこの安城市で、一緒に形にしていけたら嬉しいです。
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年3月取材)



