「新規開発よりも運用がメインなので、SE経験があれば入り口のハードルは低く、経験を活かしやすいです」
そう話すのは、安城市役所で情報処理職として働く職員。新卒からシステム会社で約10年間、システムエンジニア(SE)として開発から運用、プロジェクト管理まで幅広く経験を積み、令和2年(2020年)に社会人経験者として安城市役所へ入庁しました。
「情報処理」と聞くと、一日中プログラムを書いている姿を思い浮かべる方も多いかもしれません。けれど実際の仕事は、市民の暮らしを支えるシステムを整え、庁内の困りごとを解きほぐし、まちのデジタルを一歩ずつ前へ進めていく――想像よりもずっと幅広く、人と関わる仕事です。
これまでの経験を活かしながら、新しいフィールドで働く。その日々を、たっぷりと伺いました。

約10年のSE経験を、次のステージへ。安城市を選んだ理由
ーまず、これまでのご経歴を教えてください。
小川:大学卒業後、システム会社に新卒から約10年間勤めていました。業務内容は基本的にシステムの開発と運用です。年次が上がると、お客様向けの提案やプロジェクトの進捗・予算管理、後輩の育成なども担当していました。
ーいわゆるSEのお仕事ですね。実際にコードを書くこともあったのですか。
小川:若いときはコードも書いていましたし、インフラ的な部分の構築も少しやっていました。年次が上がるとコードがメインではなくなりますが、それでもコードを見たり、後輩からの質問に答えられるレベルの知識や経験は必要でした。
ーもともと学生時代から、そうした分野を学ばれていたのですか。
小川:プログラミングなどを行う学部だったので、まったく知らなかったわけではありません。ただ、学生時代と仕事として取り組むこととではレベルの差があって、社会人になった当初は追いつくのに一生懸命でした。
ーそこから転職を考え始めたのは、どんなきっかけからでしょう。
小川:家族が増えたことですね。SEは、お客様のシステムを止めずに動かし続ける仕事です。メンテナンスが時間外や休日になることもあり、独身のときは気になりませんでしたが、家族が増えたときに、自分のプライベートな時間をどう確保していくかを考えるようになりました。それが転職のきっかけです。
ーSEの仕事そのものが嫌になった、というわけではないのですね。
小川:はい、SEの仕事を嫌だと思ったことはありません。数値を見たり、自分で物を作り上げたりするのは、嫌いではありませんでしたから。
ー転職先は、公務員に絞っていたのですか。
小川:基本的には公務員をメインで考えていました。民間企業で担当していたのが自治体向けのシステムで、公務員の仕事が身近にありましたし、繁忙期には時間外勤務が発生することもありますが、業務の平準化や業務分担により長期的にワークバランスを保ちやすい環境だと思ったことも理由の1つです。もう1つは、同じIT分野でも、働き方を見直しながら、これまでの経験を活かせる場所を探していたからです。
市民の暮らしを、システムから支える。情報処理職の仕事
ー入庁されて、最初はどんな業務を担当されたのですか。
小川:最初の担当業務は、市民窓口用のシステムの運用管理でした。住民票を出すシステムや、国民健康保険の保険証を発行・管理するシステムなど、市民の窓口を全般的に支えるシステムの管理と、そこで使うパソコンの管理を、3年ほど担当していました。
窓口で当たり前のように受け取る一枚の証明書。その裏側には、システムを整え、支える人の存在があります。
ーその「管理」とは、具体的にどんなことをするのでしょう。
小川:メインは、システムに対する庁内の要望を取りまとめて、システム会社へ伝えていくことです。法改正で新しい対応が必要になったときに相談を受け、実装に向けてネットワークやシステム間の調整、別のシステム会社との調整などを進めます。もちろん、トラブルが起きたときにすばやく対応するのも大切な役割です。
ー自治体にシステムを納める側から、今度は受け取り、まとめる側になったのですね。どんなところに手応えを感じますか。
小川:答えがすぐには出ない課題に向き合うところですね。現場の要望をどう実現するか、複数のシステム会社の間に立って調整しながら、最適な形を探していきます。今はシステムの標準化も担当していて、国が示す仕様と現場の運用の両方を見ながら進める、責任のある仕事です。
システムを「作る」よりも、人と人、組織と組織の間に立って「最適解を導く」。そこに、情報処理職ならではのおもしろさがあります。

ーその後は、どんな業務を担当されたのですか。
小川:4、5年目からは、職員向けのユーザー管理――いわゆるアクティブディレクトリの管理や、ファイルサーバーの管理、ウイルス対策、資産管理などの担当になりました。市民向けのシステムから、今度は庁内で働く職員を支える側へと、フィールドが広がりました。
ー繁忙期はいつごろですか。
小川:自分が所属する係(デジタル推進課情報システム係)としては、年度末に人事異動があるので、3月は忙しくなります。忙しい時期がある程度読めるので、見通しを立てて働きやすいです。
経験を土台に、新しい学びも。ある1日の働き方
ーいわゆる一般的な事務職としての仕事もあるのでしょうか。
小川:むしろ大半はそちらかもしれません。規則改正や条例改正など、市のルールをつくる仕事もありますし、物品の購入や契約といった手続きも担当します。
ー1日の流れを教えてください。
小川:朝は7時半ごろに家を出て、8時10分過ぎに登庁します。パソコンの電源を入れて、8時半の始業までは少しゆとりのある時間ですね。始業後は、まずメールの確認から。外部の業者さんへの依頼や、システムの課題管理のやり取りが多いです。そのあとは、自分のToDoリストに沿って業務を進めます。今はシステム標準化の課題に取り組んでいて、国からの資料を確認し、内容を自分でも検証したうえで、必要があれば国へ質問を投げることもあります。
ーSE時代の経験は、今の仕事で活きていますか。
小川:活かせることは、たくさんあります。システムの用語や「システムがどう動くか」という考え方が身についているので、現場の要望に対して、実現できるかどうかを見極められます。新規開発よりも運用がメインなので、SE経験があれば入り口のハードルは低く、経験を活かしやすいと思います。
ー一方で、行政に来て新しく身につけたことはありますか。
小川:条例改正などの事務は、国からの通知文を市の規則に当てはめて考える必要があって、法務の部署と相談しながら進めます。前職にはなかった仕事なので覚えることは多いですが、その分、良い経験になっています。
前職の経験が土台になり、そのうえに、行政ならではの学びが積み重なっていく。経験者だからこその強みと、新しい成長の両方がここにあります。
ー「情報処理」という職種名で、仕事の中身は正しく伝わると感じますか。
小川:私が採用を受けた当時から「情報処理」と書かれていたので、自治体の情報システム部門に近い仕事だろうと想像できて、違和感はありませんでした。これまでは「事務職(一般)※情報処理」という名前でしたが、今年度からは「事務職(情報処理)」となり、より分かりやすくなったと思います。

自分で考え、答えまで導く。情報処理職で活躍する人へ
ー情報処理の仕事を続けていくうえで、どんな人が長く活躍できると思いますか。
小川:ロジカルに物事を考えられる方ですね。なぜその事象が起きて、何をすればどうなるのか。それを自分で考えて説明できる方。すぐに人へ答えを聞くのではなく、与えられた課題を自分で整理して、答えまで導いていける人が向いていると思います。

ー本日はありがとうございました。
「情報処理職」一見、あまり聞き馴染みのない仕事ですが、要望を整理し、人と人の間に立ち、まちのデジタルを一歩ずつ前へ進めていく。市民が窓口で受け取る一枚の証明書の裏側にも、こうした仕事があります。
これまでの経験を活かしながら、新しい学びを重ねていく。その働き方は、次のキャリアを考える方にとって、きっと確かな手がかりになるはずです。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年6月取材)
安城市役所「事務職(情報処理)」募集情報
安城市役所では、社会人経験者を対象に「事務職(情報処理)」を通年で募集しています。
庁内のDX推進や、情報政策の企画・調整など、行政のデジタル化をリードする仕事です。本記事で紹介したような業務に、これまでの民間経験を活かして携わることができます。
| 募集職種 | 事務職(情報処理)/IT・デジタル職 |
| 雇用形態 | 正規職員(転勤なし・完全週休2日・在宅勤務制度あり) |
| 採用予定人数 | 1〜3人程度(欠員状況・応募状況により決定) |
| 給与 | 月給 294,336円〜 ※実務経験に応じて決定されます |
| 勤務時間 | 8時30分〜17時15分(休憩60分・実働7時間45分) |
| 勤務地 | 安城市役所(〒446-8501 愛知県安城市桜町18番23号) |
| 待遇・福利厚生 | 昇給(4月)、期末勤勉手当(年2回・6月・12月)、扶養手当・通勤手当・住居手当など。敷地内禁煙。 |
| 休日・休暇 | 土曜・日曜・国民の休日・年末年始。年次有給休暇 年20日(採用1年目は採用月による)ほか特別休暇・介護休暇など |
| 募集期間 | 2026年3月1日〜2026年12月24日(通年募集) |
応募資格(必須要件) 次の情報処理系国家資格のいずれかを持ち、民間企業等(官公庁を除く)で情報分野(ITインフラの整備・運用、DX推進など)の実務経験が4年以上ある方。対象資格は、基本情報技術者/応用情報技術者/ITストラテジスト/システムアーキテクト/プロジェクトマネージャ/ネットワークスペシャリスト/データベーススペシャリスト/エンベデッドシステムスペシャリスト/ITサービスマネージャ/情報処理安全確保支援士/システム監査技術者です。あわせて、昭和61年4月2日以降に生まれ、4年制大学・短期大学等を卒業した方が対象となります。
求める人物像 誠実に職務を遂行し、信頼と期待に応えられる人。柔軟な思考力、鋭い先見性と経営感覚を備えた人。果敢な行動力と、課題に挑戦する気概を持った人。
選考フロー 書類選考(一次)→ SPI試験と職務経験を確認するプレゼン試験(二次)→ 最終個別面接(三次)。合格発表は申し込みから約2か月後の予定です。
エントリー・お問い合わせ:パブリックコネクトの求人ページからご応募いただけます。応募の際は実施要項を必ずご確認ください。詳細は安城市役所企画部人事課人事係(電話:0566-71-2203)までお問い合わせください。



