印西市役所で建築技師として働く職員のインタビュー記事です。前職の経験を踏まえ、現在の仕事内容ややりがい、そして印西市の魅力や働きやすさについて、語っていただきました。
ーこれまでのご経歴を教えていただけますか?
大学で建築を学び、平成23年度に、最初に県内の別の市役所に建築職として入庁し、そこで9年間勤務しました。その後、令和2年度から印西市役所の職員となり、現在に至ります。印西市では今年度(令和7年度)で6年目になります。
ー最初の自治体ではどういった仕事をされていたのですか?
大きく分けて二つの業務を経験しました。一つは建築行政と呼ばれるもので、建築基準法に基づく建築確認の審査や完了検査、違反建築物の指導に関する業務です。もう一つは営繕業務で、市有建築物の設計や工事の際の監督業務などです。
前職で、市役所の建築職が配属されやすい部署や業務は概ね経験できたので、市役所間での転職もさほど抵抗なく行えました。
―では、入庁してからの仕事についても教えてください。
印西市役所では、まず教育総務課に配属され、主に小・中学校の施設管理業務や工事の発注などを担当しました。具体的には、各種法令に基づく施設点検業務委託の発注や、学校からハード面での不具合の連絡を受けた際に、必要に応じて現地に赴き、修繕工事を業者に発注するといった業務です。
ー 小・中学校の建設工事や改修工事にも関わっていたのですか?
はい、建設工事や改修工事の発注、契約、予算管理も重要な業務です。入庁して1年目から中学校校舎の増築工事を担当しました。
事業の流れとしては、まず計画建築物の規模、必要な機能、手続きフローの確認、想定する供用開始時期、概算事業費や財源について整理し、事業担当課として基本的な計画をまとめます。
その計画を基に、設計業務の予算を確保し、設計委託業務の発注・契約を行います。校舎の建設工事のような大規模な工事の場合は、資産経営課に設計業務の監督を依頼するので、設計内容の詳細については資産経営課に確認してもらうことになります。
教育総務課としては、学校関係者に対して計画の説明を行い、学校からの要望をとりまとめて、必要に応じて設計内容に反映してもらったりします。

ー 工事の段階ではどのような仕事を担当するのでしょうか?
設計完了後は、工事の発注・契約に進みますが、設計時と同様、資産経営課に工事の監督を依頼するので、工事業者との打ち合わせや、施工状況の確認は資産経営課が行います。教育総務課としては、工事工程を把握した上で、学校運営や行事に影響が出るような工事内容について、学校の先生方に事前に説明を行うなど調整業務が主になります。
全体を通して、事業のスケジュール管理、予算管理も行います。特に教育施設の建設工事の財源は国の補助金や、地方債が充てられることが多く、その内訳が複雑なため、財政課との協議を密に行う必要があります。

ーそこから異動されて 現在は建築指導課に所属されているとのことですが、そちらでの業務内容も教えていただけますか。
建築指導課は、課長1名、審査指導係2名、住宅係2名の合計5名体制です。私の主な業務は、市内で建築行為を予定している設計者や、不動産調査を行っている業者からの建築基準法等に関する問い合わせの対応です。主に対象地の法的な規制の有無などの相談を受けます。
ちなみに、印西市は、建築基準法上、限定特定行政庁に位置付けられているため、市内における様々な建築行為の内、主に木造一戸建て住宅程度の規模の建築行為に関する法解釈等の相談対応を行っています。それ以上に規模の大きい建築物に関する相談は千葉県の管轄になるため、そちらをご案内する形になります。
ー建築技師としてのスキルアップも重要かと思いますが、市からのサポートなどはありますか?
はい、市では、建築士や建築基準適合判定資格者取得に向けた支援として、民間などで行われる受験対策講習会等の費用の一部助成を行っています。また、上司や先輩も学習時間の確保等に対しては積極的に協力していただけるので、建築技師としてのスキルを高めやすい環境ではあると思います。

ーお仕事のやりがいを感じるのはどのような時ですか?
改修工事等を発注する場合、基本的には、設計事務所に業務委託して、設計図や内訳書を作成してもらうことが多いのですが、簡単な工事の場合、自分で設計図や内訳書を作成して工事を発注することもあります。
現地調査や、学校の先生との打合せを通して、工事内容を自分で考えて設計するため、簡単な工事であっても、最終的に現場で形になって完成したときは達成感があります。
ー逆に、お仕事で大変な点はなんですか?
大規模な建設工事の時は、学校、資産経営課、財政課、スポーツ振興課、学校給食課、設計者、工事業者、千葉県教育庁等、多くの関係者と調整をしながら事業を進めます。
関係者と正しく意思疎通が取れていないと、思わぬところで問題が発生してしまう事もあるので、きちんと全体を把握して事業を円滑に進めることは簡単ではありません。

ーどのような点に気を付けていましたか?
調整業務は、情報共有を図るために、多くの関係者と打合せ等をしてコミュニケーションをとることになるのですが、お互いの認識が違っている場合、仮にそれが小さなものであっても会話の中で違和感を覚える事があると思います。
意外とそんな小さなところから後々大きな問題につながったり、無駄な作業をしてしまったりすることもあるので、そういった細かな違和感をそのままにせず、お互いの認識に齟齬がないように、明確に理解し合うことが大事かと思います。
ーワークライフバランスについてはいかがですか?
休日は、雨が降っていなければ必ずといっていいほど子供たちと外で遊びます。印西市内は公園が多く、市外にも車で30分程度で行ける範囲で、子供たちが一日中遊べる施設や公園がたくさんあるので、毎週末が楽しみです。私自身、そこで子供たちと思いっきり遊んでリフレッシュできています。

ー最後に、印西市役所の建築職を目指す方へメッセージをお願いします。
公務員の建築職の仕事は、外から見ると具体的に何をしているのかイメージが湧きにくいかもしれません。工事における「発注側」である仕事も、言葉で言うのは簡単ですが、その中で実際にどのような業務を行っているのかは分かりづらいと思います。この記事を通じて、少しでも建築職の仕事内容や、印西市で働くことの魅力が伝われば嬉しいです。
また、印西市は財政状況の健全性から、人口割合に対して大規模な建築工事を多く行っています。建築系の職員としてそういった工事に携われることは、大変な一面もありますが、完成したときには達成感があり、仕事のやりがいを感じられると思います。もし、そういった部分に少しでも魅力を感じたら、ぜひ印西市を受験していただきたいと思っています。
ーありがとうございました。