印西市役所で電気技師として働く職員のインタビュー記事です。
民間企業の設計職から公務員へ。その転職のきっかけや、人口が増え続ける印西市ならではの仕事のやりがい、そして技術職としてのキャリアについて、詳しくお話を伺いました。
都心での民間企業勤務から、公務員への転身を決意
ーまずは自己紹介からお願いできますでしょうか。
平成30年に入庁し今年で8年目になります。それまでは造船関係の会社で、主に船舶に搭載する機器の設計を担当していました。
―転職を考え始めたきっかけは何だったのでしょうか。
理由はいくつかありますが、大きかったのが、都内で働くことへの抵抗感です。特に満員電車での通勤が本当に嫌で。そこで都内を離れて地方で働くことを考え始め、安定して長く働ける場所として公務員が選択肢に挙がったのが、転職の直接のきっかけです。
地元は印西市の近隣の市で、馴染みのある地域で働きたいという気持ちがありました。そして自身の経験ある電気技師の募集がある自治体で比較したところ、印西市は財政的に豊かで、人口も増え続けているという点に強く惹かれました。
ー自治体の将来性や成長性に着目されたのですね。
電気技師として採用されると、恐らく公共施設の維持管理やインフラ整備に関わるだろうと考えました。その時、人口が減少していく自治体では既存施設の維持がメイン業務になるでしょう。しかし、印西市のように人口が増え、成長している自治体であれば、維持管理に加えて新しい施設を建設するような未来に向けた創造的な仕事にも携われるのではないかと思ったんです。
自治体自体の安定性や成長性は重要な判断基準でした。会社で言えば「潰れにくい会社」を選ぶような感覚に近かったかもしれません。
公民館から学校まで。市の未来を創る『新設』にも関わる、電気技師の仕事
ー入庁されてから現在までの業務経歴について教えてください。
最初の6年間は、資産経営課に所属していました。ここでは主に、公民館や支所といった、学校以外の公共施設の修繕・改修工事の監督業務や設計の確認などを行っていました。既存施設の長寿命化計画に基づく大規模改修もあれば、「こういう建物を建てたい」という要望を受けて、新しく建設する際の設計業務に関わることもありました。
その後1年間、DX推進課の管財係という部署で庁舎の管理業務を担当し、そして令和7度から教育総務課に異動し、現在は学校施設の維持管理や修繕を担当しています。
そこでは施設の老朽化に伴う計画的な改修もありますが、印西市ならではの、人口増への対応が直近は多いです。例えば、人口増によって学童保育の施設が足りなくなり、新設する案件が出てきています。
また、現在は、学校の児童数増加に対応するための増築工事なども行われています。こうした成長する自治体だからこその『未来を作るための仕事』に携われるのは、大きなやりがいの一つです。

ー技術職として、他職種の方との連携も多いのですか?
はい。建物を一つ建てるにも、建築、電気、機械など様々な専門知識が必要です。プロジェクトごとにチームを組み、それぞれの専門性を活かして協力しながら仕事を進めています。
ー入庁当時、電気技師がいなかったと伺いました。
そうなんです。入庁時点では電気技師がおらず、新規採用の私と同期の2人だけでした。ですから、全ての案件の電気設備に関する部分は私と同期の2人で担当していました。専門分野で頼れる先輩がいない状況は正直大変でしたが、建築や機械の先輩方が親身にサポートしてくれたおかげで、乗り越えることができました。もちろん現在は後輩も入ってきていて、体制は変わってきています。
民間との違いを乗り越えて。市民の『ありがとう』がやりがいに
ー民間企業から転職して、最も大変だったことは何ですか?
公務員特有のルールや手続きに慣れることですね。何か一つお金を使うにも、法律や条例などで定められた手続きを踏む必要があり、意思決定に時間がかかります。このスピード感の違いには、今も気を付けながら業務に取り組んでいます。
ー技術的な面での難しさはありましたか?
前職は社内で図面を描くのが主な仕事でしたが、市役所では設計業者や施工業者といった外部のプロの方々と直接やり取りをする必要があります。相手の言っていることを正確に理解し、こちらが求めることを的確に伝えなければなりません。そのためには、関連する法律や技術基準などを深く理解している必要があり、その勉強は今も続けています。これは大変な部分ではありますが、自分の成長にも繋がっていると感じます。
ー仕事をしていて、面白いと感じる瞬間や、やりがいを感じるのはどんな時ですか?
一つは、普段は入れない建物の裏側を見られることです。例えば公共施設である文化ホールの舞台装置の裏側など普通は絶対に見られない場所を見る時は、技術職ならではの面白さを感じます。
もう一つ、大きなやりがいを感じるのは、人から直接感謝される機会があることです。特に今は学校の先生方と直接やり取りする機会が多く、工事が終わった後に「ありがとうございました」と声をかけていただけると、自分の仕事が役に立っていると実感でき、大きなモチベーションになります。
ー民間企業との違いで、他に感じることはありますか?
良くも悪くも、意思決定に時間がかかる点ですね。大きな案件になれば議会の承認が必要になることもあり、長期的な視点でスケジュールを管理しなければなりません。また、調整が必要な部署も多岐にわたるため、このスピード感の違いには、今でも気を付けて業務に取り組んでいます。
【職種の垣根を越えたチームワークと、理想のワークライフバランス】
ー職場の雰囲気はいかがですか?
技術職は部署の垣根を越えて助け合う文化が根付いていて、「この分野ならあの人が詳しい」と気軽に聞きに行けます。もちろん、事務職の職員にも契約のことなどを相談しますし、逆に事務職の職員から電気設備について質問されることもあります。
定期なミーティングは無いですが、前述のとおり、いろいろな部署の方と話をする機会があるので、どんどん顔見知りになり関係性も深まっていきます。お互いの専門性を尊重し、協力し合える良い関係が築けていると思います。

ー働き方についてもお伺いします。ワークライフバランスはいかがですか?
工事の発注時期や、完成間近になると残業はあります。ただ、休暇は非常に取りやすいです。自分で仕事のスケジュールを調整し休みを決めているので気兼ねなく休めます。
通勤は徒歩10分で満員電車に揺られることもなく、ワークライフバランスの満足度は非常に高いです。
【未来の仲間へ。専門知識と同じくらい大切な『公務員としての常識』】
ー最後に、これから印西市役所を目指す方、特に民間企業からの転職を考えている技術職の方へメッセージをお願いします。
専門知識はもちろん大切ですが、入庁してからでも十分に学べます。それよりも、民間企業とは異なる公務員の仕事の進め方を理解し、柔軟に対応していく姿勢の方が重要かもしれません。
印西市は財政的に安定し、人口も増え続けている成長中の自治体です。だからこそ、施設の維持管理だけでなく、新しいものを建設するダイナミックな仕事に挑戦できます。自分の専門性を活かしてまちの未来を創りたいという熱意のある方と、一緒に働ける日を楽しみにしています。
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年8月取材)



