◎仕事体験参加学生より
この度、奈良市役所人事課の仕事体験に参加した小土橋です。
観光分野に興味があったため、インタビューを通じて観光交流事業の魅力を学びました。
観光戦略課の井上さんに奈良市役所での仕事、市役所職員として働く魅力について熱く語っていただきましたので、ぜひ記事をご覧ください。

ーこれまでのご経歴を教えてください。
井上:大阪府で生まれ、兵庫県内の大学を卒業し、奈良市役所に入庁しました。大学時代は法学を専攻し、その流れで公務員を志望するようになりました。入庁後は市民課で6年勤務後、行政経営課に異動しました。その後外務省に出向し、地方連携推進室にて地方の魅力を外国の要人方に伝える仕事を3年経験しました。定期的に地方の自治体と協力して外交官ツアーを企画し、東京にある各国大使館の方々を日本全国、特に地方にお連れしていました。現在は観光経済部観光戦略課総務交流係という部署で、国内外の姉妹都市・友好都市との交流事業を主に担当しています。
ーなぜ、奈良市に就職を決められたのですか?
井上:もともと、世界遺産のある自治体で働きたいと考えていました。大学時代に3か月間、カナダに留学した経験から、永続的に外国の方と触れ合う仕事をしたいと思うようになりました。世界遺産がある自治体はそれだけ訪日者も多く、より多くの外国の方々と交流できると思い、世界遺産がたくさんある奈良市を志望しました。
ーなるほど。では、奈良市以外にも世界遺産が豊富な自治体なども受けられていたのでしょうか。
井上:ええ。実際、京都の世界遺産の方が当時の自分には親しみがありました。ですが、選考の過程で奈良について知るうちに新しく学ぶことが多いと感じ、もっともっと新しいことを知りたい、体験したいと考え奈良市役所への入庁を決めました。
ー入庁前後のギャップはありましたか?
井上:そうですね。仕事内容が多岐にわたるというのは入庁前後のギャップかもしれません。私の想像以上に業務範囲が広く、様々な経験をさせてもらえました。
入庁前は、市民課の窓口業務や観光PRが主な仕事のイメージでした。しかし実際入庁してみると、駅前開発や名産品のPRなど、まだまだ私自身把握できていないくらい市役所の仕事があるのだと驚きました。

△西安市副市長の来寧受入の一幕
ー仕事の内容を教えてください。
井上:主な仕事内容としては、姉妹都市・友好都市との交流の継続や新しい交流の締結、国際交流に関すること全般のやり取りが挙げられます。互いに親善使節団を送り合ったり、市長の海外都市訪問に同行したりするので、そのためのスケジュール調整や連絡調整が仕事の大半を占めています。つい最近の事業に関してのお話ですと、福島県郡山市から奈良采女祭(ならうねめまつり)へ使節団の方がいらしたり、中国の西安市へ奈良県の高校生を派遣したりといった交流事業が行われています。また、5年に1度周年を祝う事業を行っています。昨年はオーストラリアのキャンベラが姉妹都市締結30周年の年だったので、互いの市長が使節団という形で行き来したり、中国の西安市と友好都市提携50周年ということで副市長が来寧されたりしました。その他、サマルカンド市との交流事業の一環で料理体験教室を企画したりしました。
ー国内外で盛んに交流事業が行われているのですね。では、その交流係のお仕事の中で特に印象に残っているものを教えてください。
井上:サマルカンド市との姉妹都市提携でしょうか。2年前、ウズベキスタンのサマルカンド市から奈良市に姉妹都市提携のオファーをいただき、サマルカンド市はシルクロードの要衝地であること、奈良市は「シルクロードの東の終着点」であり、シルクロード由来の伝来品を正倉院に収めているという「シルクロード繋がり」で提携に至りました。提携式の際には、私も市長とともにサマルカンド市を訪問しました。ウズベキスタンの副大統領や州知事、サマルカンド駐在日本大使なども式典に参加され、忘れられない経験をさせていただきました。
ーそれは非常に珍しい体験ですね。一方で、困難な場面に直面されたこともあったのではないでしょうか。
井上:はい。提携までの準備がかなり大変でした。どの国にも共通することですが、やはり国民性・国柄の違いから難しい場面もありましたが、今ではそれも仕事の面白味の1つだと感じています。

△サマルカンド市との姉妹都市提携式の様子
ー海外の方々と交流するうえで特に気を配っていること・心がけていることがありましたら教えてください。
井上:主に2つあります。1つは、「コミュニケーションを絶やさないこと」です。国外の姉妹都市・友好都市との交流となると、だいたい5年に1度の頻度になるので、対話が少なくなりがちです。それを避けるためにも、オンラインミーティングを用いて、日々コミュニケーションを取ろうと心がけています。
もう1つは、「記念品の内容」です。奈良のPRになり、かつ相手側に喜ばれる記念品をお贈りできるよう、選定にはかなり時間をかけています。実際、奈良市の伝統工芸品として刃物が有名ですが、記念品として贈る際にはハサミなどの‟関係を断ち切る”ことを想起させるものは避けるようにしています。
ーなるほど。やはり、心配りというものがかなり大切なんですね。
井上:そうですね。相手に如何に喜んでもらえるか、如何に実りある訪問にすることができるか、日々考えながら業務に励んでいます。また、形式的なものにならないよう、新たな要素をどんどん追加していく姿勢も忘れてはいけませんね。
ー私もその姿勢を忘れないようにします。それでは最後に、奈良市役所へ応募を検討している方にメッセージをお願いします。
井上:奈良市役所を検討されている方は、おそらく奈良市の観光面にも魅力を感じていただけているのではないでしょうか。もしそうならば、奈良県内の寺社や飲食店を巡ったり、伝統行事に参加されてみてはいかがでしょうか。どこの部署に配属されたとしても、市民の方々から奈良県内各地のお寺や名所のご質問を受ける機会があります。その際、実際に体験していたり訪れているとかなり質問に答えやすく、奈良の魅力をよりよく発信できると思います。奈良市内に限らず、県内の新しくできた飲食店や博物館など本当にたくさんの場所を訪ねてみてほしいと思います。国際文化観光都市である奈良市をぜひ、一緒に盛り上げていきましょう。
ー本日はありがとうございました。

△国内外の姉妹都市・友好都市に関するパンフレット
◎職員の方にインタビューをしてみての感想
はじめての体験ということで緊張しながら臨んだインタビューでしたが、気さくにお話しいただいたお陰で市役所職員としての働き方、姉妹都市・友好都市との交流事業について理解を深めることが出来ました。
実際に市長に随行されたサマルカンド市姉妹都市提携のお話や西安市への高校生派遣事業、奈良采女祭への使節団派遣など、通常では伺うことができない仕事の裏側までインタビューすることができ、大変貴重な機会となりました。
市役所職員といえば、窓口業務やPR業務をイメージしがちですが、それ以外にもたくさんのお仕事があると体感しました。また、職員同士の横のつながりも重要になってくるのだと気づかされました。このインタビュー経験をもとに、将来の職業選択の参考にさせていただきたいと思います。
あらためて、大変貴重な機会をいただきありがとうございました。