奈良市役所入庁2年目の若杉さんにお話を伺いました。
-なぜ奈良市に就職を決めたのですか。
若杉:大学で奈良の観光や地域活性化を学んでいくうちに、奈良市は歴史があり有名で、栄えていく要素がありますが、宿泊者数が少ないという課題など、ちょっと惜しい部分もあると感じ、奈良市の伸びしろについて考えるようになりました。公務員であれば、より地域に密着して仕事ができると考え、公務員のなかでも市民の方との距離が近い市役所を選びました。
-奈良市役所入庁後の経験について教えていただけますか。
若杉:1年目の配属先が人事課人材育成室、2年目の現在は月ヶ瀬行政センターで勤務しています。
その他にもふるさと納税のプロジェクトチームでの活動にも参加した経験もあります。
1年目の部署では、市民の方と関わる機会がなく、やりとりするのも奈良市の職員だけだったので、入庁前のイメージとギャップがありました。
職員に対しての人材育成が職員を成長させ、より良い施策や市民サービスにつながることで回りまわって奈良市民の方のために働いていることになりますが、肌で感じることは少なく、少し寂しくはありました。しかし、2年目の現在は、実際に地域に飛び込んだり、市民の方の話を聞く機会があり、地域に密着した仕事に取り組めています。
ふるさと納税のプロジェクトチームでは、ふるさと納税が一番盛り上がる12月に、営業活動やPR活動を行い、奈良市の多くの事業者の方との関わりを実感することができました。

-現在の仕事内容について教えていただけますか。
若杉:奈良市の東部に月ヶ瀬という人口1,200人ほどの地域があり、そこの月ヶ瀬行政センターで勤務しています。

現在は、月ヶ瀬地域・都祁地域・東部地域で「LocalCoop大和高原プロジェクト」をすすめています。これは、住民自治と住民共助を実現するためのプロジェクト全般の企画調整を担当しています。
「LocalCoop大和高原プロジェクト」では、今回お話しする事業以外にも視察対応や、土壌改良にかかることなど様々な取り組みを行っています。
-住民の方と直接関わる機会も多いですか。
若杉:そうですね。例えば、住民自治の意識醸成を目的として、全4回の「自分ごと化会議」というものを開催しています。職員はファシリテーターとして参加しており、無作為に選ばれた地域住民の方が主体となって地域課題やその解決策について議論していただいています。
全4回の会議を通して、住民同士のつながりが深まったり、地元の課題を共有したことで、この地域を自分たちでより良くしていこうとする意識が醸成されてきたと思っています。
自分ごと化会議は、今は行政主催でテーマ設定などを行っていますが、今後のビジョンとしては、住民だけで自走できることを目指しています。

他にも地域のさまざまな課題に取り組んでいます。例えば、交通や買い物、ごみ捨てなど、日常生活に密着した問題ですね。
-行政の立場として具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか?
若杉:例えば、イオンネットスーパーで注文した食材や食品を日本郵政の協力のもと、郵便物を運ぶ日本郵政の車両の空きスペースを活用し、月ヶ瀬にある市のワーケーション施設「ONOONO」(オノオノ)に届けてもらう仕組みを作っています。
人口が少ない地域のため、日本郵政の車両の荷台が満杯になるわけではないので、空きスペースの有効活用になりますし、地域住民にとっても便利なサービスになります。このような形で、既存の資源やサービスを活かしながら、地域の生活を支える取り組みを進めています。

交通の課題については、月ヶ瀬地域を循環するコミュニティバスを走らせています。バスの運転については、地域おこし協力隊や地域住民の方も一緒に行っていただいています。
今は、定時運行型ですが、今後は地域住民のニーズに合わせた運行など、月ヶ瀬地域でより暮らしやすい形に変えていければと考えています。

ゴミ捨てについて、ペットボトルや空き缶など、生ごみ以外の再生可能資源の回収場所は、もともと月ヶ瀬地域の中で36か所ありました。それを6か所まで減らし、「MEGURU STATION🄬」を設置し、24時間365日いつでも再生資源を回収できる環境を整えました。
曜日や時間に捉われない利便性を確保しつつ、「MEGURU STATION🄬」で地域住民の方々がちょっとした立ち話ができたり、交流範囲を少し広げたりそんなコミュニケーションづくりのきっかけになればと思っています。

月ヶ瀬行政センターでは、地域住民の方や地域おこし協力隊、一般社団法人の方などと一緒に「LocalCoop大和高原プロジェクト」を進めています。
自分ごと化会議など直接住民の方の話を聞いたり、話し合ったりできているので、市役所に入る前に持っていたイメージに近い仕事ができていると思います。
-次年度は、一般社団法人へ派遣研修に行く予定ですが、どういったことを学びたいと考えていますか。
若杉:研修先は、「LocalCoop大和高原プロジェクト」の中うち、一プロジェクトを一緒に伴走してきた一般社団法人なので、この1つの事業を極めていきたいと考えています。
大学を卒業して2年間市役所で働いてきましたが、市役所で働く、公務員の視点を学んできたと思っています。この派遣研修を通しては、1度民間での考え方や視点の違いについて学びたいと思っています。これからも奈良市役所の職員として働いていくうえで、民間企業と連携しながら働くことはあると思うので、様々な角度から物事を考えていくことで、より良い方向に業務を進めていけたらなと思っています。
-これから奈良市役所で働きたいと思っている方へのメッセージ
若杉:やりたいと思ったことは、受け入れられる職場だなと思っています。ふるさと納税プロジェクトに関わっていたときは、イベントをしたいと上司に相談したら、ぜひやろうと聞いてくださって、いろいろ助言やお手伝いいただきながらイベントを実現できました。
やりたいと思ったことを口に出してみたら、それを拾ってくれる人がいて、実現することができる。そういった職場なんだなとその時、強く感じました。
私は、伸びしろがある地域だと思い入庁しましたが、これからもどんどん奈良市の魅力を発信していきたいと思っているので、奈良市をこうしてみたいという夢がある方はぜひ来ていただけたら嬉しいです。
