山口県周防大島町役場の施設整備課土木建設班で技師として働く大田さんに、これまでの経歴や役場での仕事と職場環境についてお話を伺いました。
—これまでのご経歴を教えてください。
大田:コンピューター系の専門学校で、プログラミング、CAD、ウェブデザイン等を学び、卒業後に山口県内の民間企業で15年の経験があります。
2社目が10年以上在籍していましたが、電力会社からの受託で、電柱を建てる際の図面の作成や住民・自治会への交渉などの業務を行っていました。在籍時に土木現場での経験を積み2級土木施工管理技士の資格も取得しています。そこから、今年の10月1日から周防大島町役場に転職し今に至ります。
—なぜ民間企業から公務員へ転職されたのですか。
大田:父が公務員であり、私が小さな頃から「全体の奉仕者」という言葉をよく口にしていたんです。その言葉にずっと憧れを感じていた、というのが一つの理由です。もともとの電力の仕事も人々のインフラにとって非常に重要で奉仕者の面は強いですが、やはり民間企業ですのでコストや利益を追及する必要はあります。だからこそ、「全体の奉仕者」を体現する公務員として働きたいという思いはずっとありました。
そんなときに偶然、仕事の関連で周防大島町のホームページにアクセスする機会があり、パブリックコネクトへ行き着き職員募集情報を拝見しました。そこで、土木技師が40歳まで受験可能であることを知り、なにかの縁だと思い応募をいたしました。
ーパブリックコネクトで求人を見て応募されたんですね!
大田:そうなんです。事務職は年齢制限がかかっていたのですが、土木技術職なら応募できる、となって応募いたしました。あのときはお世話になりました(笑)。
ーいえいえ、ありがとうございます!周防大島町の印象はありましたか?
大田:私は仕事で行ったことがあるくらいで、当時は山口市に住んでいたのでそこまで馴染みもなかったです。就職するとなると移住も伴うので、家族で話し合いましたし、実際に周防大島町へも行きました。
そこで感じたのは「瀬戸内のハワイ」と呼ばる周防大島町の南国のような雰囲気です。人も温かかいですし、環境もよく、ここなら住める、むしろ住みたい、と家族で思い、応募させていただきました。
—公務員試験の準備や試験当日の雰囲気を教えてください。
大田:土木技師の1次試験は筆記試験がなくて、作文と面接だけでした。そのため公務員試験のための勉強は正直あまりしていないです。作文の様式や書き方を本で勉強した程度ですかね。本当に最低限でした。
勉強よりも、自分にとっては「町を知ること」が一番の試験対策になりました。経験に基づかない、ただ考えて作っただけの言葉は、相手に見抜かれてしまうと、社会人経験から感じていたので、実際に周防大島町を歩いてみた体験がいきました。
実際に足を運んで、見たモノから感じて、心から出た言葉は特別な力があると考えているので、面接ではそれをそのまま伝えるように意識しました。面接はとても緊張しましたけど、笑いもあり、面接っぽくない雰囲気でしたね。経験者採用ということで、実務経験を聞かれる時間が多かったです。
—移住の準備について教えてください。
大田:周防大島町の移住相談会があるのですが、内定とのタイミングが合わず、そこには参加できませんでした。相談会の場以外でも相談にのってくださるので、そういった機会を利用しながら家族と一緒に住まいを探しました。
—班の人員構成や、お仕事の内容について教えてください。
大田:施設整備課土木建設班には班長を含めて6人在籍しています。道路や河川の整備をしています。道路に穴が開いている、とか川の護岸が崩れているので直してほしい、といった住民の方からの要望を受けて修繕をします。自分たちで補修できるようなものはその場で補修することもあります。
必要な工事を設計し、図面を書き、施工業者の入札を行い、工事が始まってからは監督として完成まで見届け、最後に検査をします。私は入庁して2ヶ月ですので、サポート業務メインで、比較的整備がしやすい補修の設計部分を担当させてもらっています。先輩の現場についていき、勉強させていただいていますね。
図面の作成では前職と同じソフトを使っていますし、住民への対応でも前職での敷地交渉での経験が活かせていますね。
ーどういった点で民間企業との違いを感じますか?
大田:意思決定までの流れやスピードに違いを感じますね。前職では口頭で了承をとって、物事を進める等、意思決定までがすごく早かったんです。現在は、決裁をとるにしても上司に印鑑をもらい、どういった対応をとるのかきちんと書類をそろえます。どのような場合でも文章に残す必要があり、慎重に進めていると感じますね。
また、民間企業では、利益を中心に考えていましたが、今は「住民のためになるか」を考えるようになりましたね。
ーどんなところに、やりがいを感じますか?
大田:アイデア勝負な点にやりがいを感じます。住民から工事の要望を受けてから、どのようなアプローチで工事をしていくかは自分で考えなければなりません。
例えば舗装の修繕に関しても、まずアスファルトを切り、地面を堀り、土を入れ替える方法もあれば、今の舗装の上に新しいアスファルトを重ねる方法、など様々なアプローチがあります。
正解が一つではないので、上司や先輩の意見がぶつかりあっている場面によく遭遇しています。もちろんよりよい答えを見つけるための議論なので、互いに尊重された建設的な話し合いがされています。
まだ、私はそこまでに達していないのですが、いつか自分のアイデアで、先輩方と話ができるようになりたいと思っています。
—新人教育について教えてください。
大田:毎日丁寧にご指導いただいています。厳しい時もありますが、こういった理由があって、こういう工事が必要、ですとか手順を追って説明してくださるので非常にわかりやすいです。本当に良い方ばかりです。
先輩からいただいた「技師だったら持論を持ってほしい」という言葉がとても心に響いています。上司や先輩は自分の工事に関する持論やプライドを持って仕事をされているので、そのような環境に身を置いて、多くのことを学ぶことができていてありがたいと思います。
ー今後の展望について教えてください。
大田:住民の方や、業者から「あの人に任せれば、ちゃんと直してくれる」と相談をもちかけられるような公務員技師になりたいですね。
—最後に、周防大島町役場へ応募を検討している方にメッセージをいただきたいです。
大田:技師という仕事は正解がなく、大変なこともあります。ただ、道路や橋など、自分の関わったものがはっきり形に残る仕事なので、そういったことに喜びを感じられる方にぜひご応募いただきたいです。
—本日はありがとうございました。