市立宇和島病院(以下、宇和島病院)の看護師へのインタビュー記事です。
様々な科での経験を通してスキルアップを目指しながら、子育てとの両立にも奮闘する日々を送っています。患者さんへの温かい思いやりと仕事への情熱を持ち、宇和島という地域に根ざした看護師としてのやりがいをお聞きしました。
ーご経歴について教えてください。
梶谷:岡山にある専門学校を卒業後、他の病院で3年間勤務しました。その病院は様々な診療科が一緒になっており、幅広い知識を身につけることができる環境でしたが、働くうちにもっと専門的な知識を深めたいという思いが強くなりました。
宇和島病院には各科に特化した専門の医師がいるため、より深く学ぶことができる環境だと感じ、転職を決意しました。また、給与面や同世代の職員が多い環境にも惹かれました。
2022年に入職し、小児科、糖尿病内科、口腔外科の混合病棟に勤務し、1年2ヶ月経った頃に育休・産休を取得しました。現在は整形外科病棟で勤務しています。

ー宇和島病院への転職活動はどのように行いましたか?
梶谷:宇和島病院に「見学をしたいです」と連絡をして、見学をしました。看護部長の話を直接聞くことができ、病院の雰囲気や働き方について詳しく知ることができました。
また、宇和島病院で働いている友人からも話を聞いたりして、情報収集をしていました。
ー入職後、どのようなお仕事をされてきたのでしょうか?
梶谷:1年目は、小児科、糖尿病内科、口腔外科の混合病棟に配属されました。主に糖尿病内科の患者さんを担当していましたが、小児科や口腔外科の患者さんも診る機会があり、様々な経験を積むことができました。
ー1年で小児科、糖尿病内科、口腔外科の混合病棟を経験されていかがでしたか?
梶谷:入職した当初は慣れるのに必死で、とにかく目の前の仕事に食らいついていくのに精一杯でした。半年ほど経った頃に、ようやく仕事に慣れてきたと感じることができました。
糖尿病内科では、専門的な知識が不足していることもあり、最初は戸惑うこともありましたが、先輩看護師や医師に教えていただきながら、日々勉強を重ね、少しずつ自信をつけていくことができました。患者さんが多かった分、多くのことを学ぶことができ、やりがいも感じていました。
小児科に関しては、子どもと接するのが得意ではなかったので、配属されることに少し不安がありましたが、実際に子どもたちと接していく中で、少しずつ慣れていくことができました。
口腔外科は抜歯などの手術に携わる機会が多く、手術に関する看護技術を学ぶことができました。

ー入職後のサポート体制について教えてください。
梶谷:プリセプターの先輩看護師について指導していただきました。分からないことは何でも相談することができ、安心して仕事に取り組むことができました。
また、新卒の同期の看護師と一緒に研修にも参加させてもらえました。職務経験者ということもあり、自分が学びたい研修を選ぶことができたので、点滴ポンプや輸血の方法など、新しい機器の使い方や看護技術に関する研修を選択しました。
ーその後、産休・育休に入られたとのことですが、取得にあたって準備されたことや、取得された感想を聞かせていただけますか?
梶谷:産休・育休については、特に準備したことはありませんでした。出産予定日の8週間前から産休を取れたので、ゆっくりと自宅で過ごす時間を持つことができ、気持ち的にも余裕を持って出産に臨むことができました。

ーそれでは、現在の整形外科病棟の仕事内容について、教えてください。
梶谷:手術を受ける患者さんの術前・術後の看護、リハビリに向けたケア、日常生活の介助などを行っています。
高齢の患者さんが多いため、トイレや食事の介助、清潔ケアなど、日常生活のサポートも重要な仕事です。

ー1日のスケジュールはどのような流れですか?
梶谷:8時半に出勤し、師長からの朝礼の後、清潔ケアを行います。

その後、患者さんのバイタルチェック、手術前の準備、午後からは入院患者の受け入れなどを行います。

現在は育児部分休業(※)を取得しているため、15時15分に退勤します。また、年間を通して、仕事内容は大きく変わりません。
※育児部分休業:小学校就学前の子どもを養育している職員が、勤務時間の始めまたは終わりに1日2時間を限度に休業できる制度
ー仕事のやりがいについて教えてください。
梶谷:患者さんは入院生活に不安を感じている方が多く、特に高齢の患者さんは環境の変化などからせん妄を発症する方もいます。そのような患者さんの話をじっくり聞き、寄り添うことで、少しでも安心感を与えられたらと思っています。患者さんが安心して治療に専念できるよう、サポートしていくことがやりがいです。

ー仕事をする上で、意識してることはありますか?
梶谷:整形外科の患者さんの中には、認知症などで言葉でうまく訴えられない方も多くいらっしゃいます。トイレに行きたい、痛みがあるなど、患者さんの訴えを汲み取り、適切な対応をするよう心がけています。
ナースコールを押さずにベッドから出て転倒してしまうリスクもあるため、その患者さんにとって安全な環境を考えながら、安心できるよう声かけをするようにしています。
また、同じ病気でも患者さんによって症状が異なるため、常に学ぶ姿勢を大切にしています。
ー働く上で、大変だったこと、苦労したことはありますか?
梶谷:どこの部署も忙しいとは思いますが、時間通りに仕事を進められず、体力的にも精神的にも疲れてしまうことがあります。日々の業務に加え、家事や育児もあるため、大変だと感じることも多いです。
しかし、何気ない患者さんとの会話や、スタッフの方のサポートが働く上で支えとなっていて、忙しい中でも患者さんやスタッフと関わる時間を大切にしたいです。
また、患者さんの笑顔や「ありがとう」という言葉や、元気に退院していく姿を見ると、この仕事を続けてきて良かったと感じます。
ー育児を通して、仕事への向き合い方に変化はありましたか?
梶谷:娘は、自分の思いを伝えたいのにうまく伝えられず、怒ったり泣いたりすることがあります。そんな娘の姿を見て、患者さんが勝手な行動をとってしまうのにも、何か理由があるのではないかと思うようになりました。
患者さんの行動の背景にある思いを理解しようと努めることで、より適切な対応ができるようになったと感じています。
患者さんに対しても、娘に対しても、寄り添う姿勢を大切にすることで、より良い関係を築くことができていると感じています。

ー宇和島市はどんなまちだと感じていますか?
梶谷:宇和島の人はとても温かい人が多いです。道を歩いていると、知らない人から「どこの人なの?」と声をかけられたり、「これ食べさいや」とみかんをもらったりすることもあります。
ー宇和島病院で働く上で、どのような人が向いていると思いますか?
梶谷:人に対して思いやりがあり、相手の気持ちを理解できる人が向いていると思います。
ー今後の展望をお聞かせください。
梶谷:高齢の入院患者さんは認知症の方も多く、関わるうちに、その方たちのケアにやりがいを感じるようになりました。入院中の患者さんの不安を少しでも軽減できるような看護師になりたいと思っています。
ー最後に、看護師を目指す方や、転職・就職活動中の方へメッセージをお願いします。
梶谷:看護師の仕事は大変なことも多いですが、やりがいのある仕事です。
正直、看護師になりたての頃はとても大変で、辞めたいと思ってました。ただ、何年か仕事をしてきて、今は看護師で良かったと思ってます。
もし「誰かの役に立ちたい」「患者さんに関わりたい」「病気についてもっと知りたい」という思いがあれば、一度看護師になって、学んでみるのもいいのかなと思います。
ーありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年2月取材)