市立宇和島病院で管理栄養士として働く西村さんのインタビュー記事です。
中学生時代の原体験から栄養士という道を志し、現在は生まれ育った宇和島市で地域医療に貢献しています。患者さん一人ひとりに寄り添い、「食」を通して回復を支える日々のやりがい、そして成長を後押ししてくれる温かい職場環境について、ご自身の経験を交えながら語っていただきました。
「食事は大切」管理栄養士を目指したきっかけ
ーまずは自己紹介と、管理栄養士を目指したきっかけを教えてください。
西村:宇和島市の出身で、地元の高校を卒業後、徳島県の大学で4年間、管理栄養士養成課程で学びました。現在は市立宇和島病院の食養科で、管理栄養士として働いています。
管理栄養士を目指すようになったのは、中学生の時に陸上部で長距離をやっていたのがきっかけです。当時、先生から「食事からしっかり見直さないとだめだ」と、食事の重要性を教えていただきました。
それまではお菓子が大好きで日頃からよく食べていたのですが、食事内容を見直したところ、体つきが変わり、記録もどんどん伸びていったんです。
その時に「食事って本当に大切なんだ」と実感し、管理栄養士という仕事に興味を持ちました。

ースポーツ分野の管理栄養士に憧れていたように思えますが、そこから病院の管理栄養士を志したのには、何かきっかけがあったのでしょうか?
西村:実は、大学に入学した頃、祖母が胃がんを患ったんです。闘病生活の中で、祖母がどんどん痩せていってしまったのですが、帰省して話を聞いていると、「栄養士さんがこんな食事を教えてくれた」「最近こんな資料をくれた」と嬉しそうに話してくれました。
祖母の話を聞いたり、学校で病院に実習に行く中で、食を通して患者さんを支える仕事に憧れるようになり、いつしか病院で働くことが目標になっていました。
思い入れのある病院で、地域の為に
ーそこからは宇和島病院で働くことを目指していたのでしょうか?
西村:大学卒業を控えた頃、祖母の病状が思わしくなかったため、「少しでもそばにいてあげたい」という気持ちから、就職活動はせずにまずは地元に帰ろうと思っていました。
残念ながら祖母は国家試験の前に亡くなったため、目標を見失って、目の前が真っ暗になってしまったんです。家族の支えもあって宇和島に戻り、これからどうしようかと考えていた時に、市立宇和島病院の求人を見つけました。
実は市立宇和島病院は、祖母が最後まで入院していた場所なんです。地元で一番大きな病院でもあり、私にとっては「いつかここで働けたら」という憧れの場所でした。ご縁があってまずは会計年度任用職員として3年間勤務し、その後、正規職員として採用していただきました。

ー思い入れのある病院だったのですね。現在は管理栄養士としてどのようなお仕事をされているのでしょうか?
西村:当院の給食業務は直営なので、業務は多岐にわたります。納品された食材の検品や温度管理といった品質管理から、厨房に入っての給食管理、アレルギーを持つ患者さんへの対応、食事の配膳チェックまで、管理栄養士が責任を持って行っています。
その他、事務所での食数管理や病棟からの電話対応といった事務作業や、外来患者さんへの栄養指導も大切な仕事です。
市立宇和島病院では担当制で各病棟も受け持っているので、担当する病棟の患者さん一人ひとりの状態を常に把握し、日々の食事を管理しています。毎日シフトで業務が変わるので、幅広いスキルが求められますね。
ー実際に働いてみて、イメージしていた「管理栄養士」の仕事とギャップはありましたか?
西村:想像以上に事務作業が多いことには驚きました。特に、食材の仕入れに関するお金の管理や日計処理といった業務も管理栄養士が行うので、「これも管理栄養士の仕事なんだ!」と思いました。
また、食材の納品も仕事の1つなのですが、納品時の品質管理も非常に厳格で、冷凍食品はマイナス15度以下でないと受け取れないなど、細かいルールがたくさんあります。患者さんの口に入るものですから、安全管理の徹底は非常に重要なのですが、正直管理栄養士としてここまで携わるとは思っていなかったですね。
患者に寄り添う。日々の変化がやりがいに
ー管理栄養士として働く上で、やりがいを感じるのはどのような時ですか?
西村:やはり、患者さんの回復を間近で感じられた時です。食事がなかなか進まない患者さんには、直接お話をお伺いして、「どうすれば食べやすくなるか」を一緒に考え、食事内容を毎日調整していきます。

そうして、食欲がなかった患者さんが、少しずつご飯を食べられるようになり、元気になって退院していく姿を見届けられた時は、本当に嬉しいです。病院で働く管理栄養士として、一番のやりがいを感じる瞬間ですね。
また、患者さんから「ありがとう」と声をかけていただいたり、「家に帰ってからは、どんな食事をすればいいかな?」と頼りにしていただけることもあり、患者さんの力になれているんだなと、日々実感することができます。

ーやはり「間近で見られる」という点が病院ならではのやりがいなのですね。反対に、入職当初に苦労したことはありましたか?
西村:入りたての頃はすべてが初めての経験で、覚えることが本当に多くて大変でした。作業内容も多岐にわたりますし、患者さんに関わる業務は非常に細かく、たくさんのルールがあります。
それらを一つひとつ覚えて、実践できるようになるまでは時間がかかりましたね。何度も失敗を繰り返しつつ、周囲の支えもあって、何とかやってこれました。
成長を支える温かい職場環境
ー周囲の支えがあったとのことですが、新人のサポート体制についても教えていただけますか?
西村:当院の食養科には、新人の成長をサポートしてくれる専門のチームがあります。「今、どれくらいのペースで仕事を覚えられているか」を確認し、「次はこれを目標にしよう」と段階的に指導してくれるので、焦らず自分のペースで成長できました。
また、プリセプター制度があるので、わからないことがあってもすぐに質問できる環境です。
もちろん、プリセプター以外の先輩方も気さくな方ばかりで、私が困っていると「手伝おうか?」と声をかけてもらえるような環境です。この温かいサポート体制のおかげで、不安な時期も乗り越えることができました。
ー市立宇和島病院の働く環境や職場の雰囲気はいかがですか?
西村:とても働きやすい環境だと思います。
食養科はシフト制ということもあり、あらかじめ希望を出しておけば希望日に休みを取りやすいですし、仮に土日祝に出勤となった場合は、平日に代休を取ることもできます。
残業も自分の仕事の進め方次第で調整できるので、プライベートとの両立もしやすいですね。
みんなで「雰囲気の良い職場にしよう」という意識共有もしているため、お互いに声をかけ合い、助け合う文化が根付いていると感じています。

未来の仲間へのメッセージ
ー最後に、求職者の方へメッセージをお願いします。
西村:病院で働く管理栄養士の魅力は、何と言っても患者さんの回復していく姿を目の前で見られることです。生きていく上で「食べること」は欠かせません。その大切な食事を通して、患者さんの力になれることは、大きなやりがいにつながります。
専門的な知識や技術ももちろん大切ですが、それ以上に「人のために何かしてあげたい」という温かい気持ちが、この仕事では一番重要だと感じています。その気持ちさえあれば、知識やスキルは働きながら身につけていけますし、周りの先輩方が全力でサポートしてくれます。
少しでも興味を持ってくださったなら、ぜひ私たちと一緒に働きましょう。皆さんにお会いできる日を楽しみにしています!

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年7月取材)