福岡県八女市役所で土木技術職として活躍する江崎さんと橋本さんのインタビュー記事です。
高卒で公務員という道を選んだお二人に、八女市で働く魅力や土木の仕事のやりがい、そして自然災害と向き合う現場のリアルな声をお聞きしました。
ーまずは、お二人の自己紹介をお願いします。
江崎:江崎です。生まれも育ちも八女市で、県内の工業高校土木科を卒業後、平成29年度に八女市役所に入庁しました。今年で9年目で、第一整備室河川係に所属しています。
橋本:橋本です。出身は八女市の隣の市になります。江崎さんと同じ高校の土木科を卒業し、令和5年度に八女市役所に入庁しました。現在3年目で、第一整備室農林土木係に所属しています。
ー土木科の高校を選ばれた理由は何だったのでしょうか?
江崎:土木関係のコンサルタントで働いている父の影響を受け、土木について興味を持ち、工業高校に進学しました。
橋本:私自身、元々好奇心が旺盛な性格で、道路や橋などがどのように作られているのかに興味がありました。また、作ったものが形として残るという点に魅力を感じ、土木を専門的に学べる高校に進学しました。

ー高校卒業後、民間企業や他自治体ではなく、なぜ八女市役所を選ばれたのですか?
江崎:八女市役所を選んだのは、やはり地元への愛着が大きかったからです。民間企業に進む道も考えましたし、他の自治体からも内定をいただいていたのですが、生まれ育った八女市に恩返しをしたいという気持ちが強く、八女市役所への入庁を決めました。
橋本:私も民間企業という選択も考えましたが、公務員の土木系の仕事は、測量や設計、現場監督に至るまで、工事の一連を見届けることができるという点が魅力だと感じ、公務員を選びました。
また、八女市は子どもの頃から野球の試合などでよく訪れた馴染み深い場所です。自然豊かなこの町を自分の手でより良くしていきたいと思い、八女市を選びました。
ー高卒で公務員になることに対して、入庁前に不安はありましたか?
江崎:高卒ということもあり、知識も経験もなく、「できなくて当たり前」だと思っていたので、あまり不安は感じなかったですね。「期待されていないだろう」という気持ちをポジティブに捉えて、最初は「伸びしろしかない!」と自分に言い聞かせていましたね。(笑)
仕事内容に関しては、入庁前は事務処理が多いイメージを持っていましたが、実際には現場に出ることが非常に多かったです。大体、1日2時間ぐらいは庁舎外での業務をしています。
橋本:高校まで勉強しかしてこなかったので、社会人として働くこと自体に不安がありました。特に人間関係は心配でしたが、実際に入庁してみると、皆さんとても気さくで、コミュニケーションも取りやすく、和やかな雰囲気で本当に安心しました。
公務員に対しては、少しお堅い、真面目な人が多いというイメージがありましたが、実際はそんなことはなく、親しみやすい方ばかりで、良い意味でのギャップを感じましたね。
ー現在の具体的な仕事内容と、一日の大まかなスケジュールを教えていただけますか?
江崎:道路や河川の公共工事を担当しています。草刈りや道路の穴ぼこの補修といった維持管理業務や、数億円規模の工事など、幅広く携わっています。
一日の流れとしては、まず朝出勤したらメールをチェックし、午前中は工事発注の準備や図面の作成、設計書の作成といったデスクワークが中心です。午後は、現場の立ち会いや、午前中の業務の続きをします。
もちろん、途中で電話対応や窓口対応が入ったり、緊急の案件で現場に確認へ行くこともあります。
橋本:私は入庁して3年目で、主に農業用の水門や水路、農道といった施設の整備を担当しています。
一日の流れは江崎さんと似ていますが、午前中はメールやタスクの確認から始まり、電話対応、窓口対応が中心です。場合によっては、現場に出て測量を行うこともあります。午後は、設計書や図面の作成、発注準備といったデスクワークが主な仕事内容になります。
市民の方からは、道路の陥没や河川の越水といった緊急性の高いご連絡をいただくこともあり、その際は最優先で対応するようにしています。
ーお仕事の中で、特にやりがいや魅力を感じるのはどのような時ですか?
江崎:やはり、災害時など住民の方が困っている状況で、私たちが設計や施工管理を行い、道路などを元通りにすることで喜んでいただけることが一番のやりがいです。工事が無事に終わり、住民の方から「ありがとう」「おかげさまで助かったよ」と感謝の言葉をかけていただけると、非常にやりがいを感じますね。
橋本:私は農林土木係なので、地域の農家の方々と密接に関わることが多いです。地元の方々の要望を丁寧に聞き取りながら設計を進め、工事が無事に完了した際に、わざわざ市役所の窓口まで足を運んでお礼の言葉を伝えてくださった時は、本当にこの仕事をしていて良かったなと思いました。
ー災害対応について、具体的にどんなことをしているのかを教えてください。
江崎:大雨や台風などの自然災害が発生した場合は、昼夜を問わず現場に駆けつけ、被害状況の確認や応急処置にあたります。被害状況は様々ですが、二次災害を防ぎ、住民の方々の安全を確保することが最優先です。
数年前の豪雨災害の際には、数か所で道路が寸断され、復旧までに2年近くかかったこともありました。その時は、住民の方々が一日も早く普段の生活に戻れるように、関係機関と連携しながら復旧作業にあたりました。
橋本:私が特に印象に残っているのは、昨年、立花町で発生した土砂災害です。当時、現場に到着すると、田んぼから水路にかけて土砂が崩れ落ちていて、滝のように水が流れ出している状態だったのが衝撃的でした。
現場対応以外にも、国への補助金申請など、様々な業務に追われました。初めての災害対応で戸惑うことも多かったですが、なんとか乗り越えることができました。
ー職場の雰囲気や人間関係についてはいかがですか?
江崎:そうですね、風通しも良くて働きやすい環境だと思います。先輩方も皆さん優しく、分からないことがあれば気軽に質問できる雰囲気があります。周りの方々が常に気にかけてくださり、日々の業務を通して自然と仕事を覚えることができました。
現在は、私自身がメンターとして後輩職員の成長をサポートする立場にあります。先輩方が入庁当時の自分にしてくださったことを思い出しながら、親しみやすく、話しかけやすい雰囲気が伝わるように、積極的にコミュニケーションを取るようにしています。
橋本:私も江崎さんと同様に、風通しの良さ、相談のしやすさというのを感じています。入庁1年目の頃も、隣の席の先輩だけでなく、江崎さんをはじめ、他の係の先輩方も気さくに声をかけてくださったので、分からないことがあればすぐに相談することができました。
ーお二人は野球部に所属されていると伺いました。活動内容や部員構成などを教えていただけますか?
橋本:練習は週に2回で、平日と土曜日に1回ずつ行っています。試合があれば、土日に活動することもあります。
私も入庁してから日が浅いですが、野球部を通じて色々な部署の先輩方と知り合うことができたのは、とてもありがたいです。練習や試合の後は、みんなで食事に行ったりすることもあり、仕事とはまた違った雰囲気で交流を深められるのも楽しいです。
江崎:部員は24名で、年齢層は20代が中心ですね。現在は20歳から33歳までの部員で構成されています。
数年前に全国大会に出場し、東京まで行って試合をしました。なかなかできる経験ではないので、とても良い思い出になっています。
そして、先日行われた福岡県支部大会で優勝し、今年8月に東京で開催される全国官公庁野球大会に出場することになりました!全力で頑張りたいと思います。
ーお仕事とプライベートの両立についてお聞きします。休暇の取りやすさや残業の状況はいかがでしょうか?
橋本:もちろん、業務が立て込んでいる時期や繁忙期はありますが、それ以外の時期は比較的残業も少なく、定時で帰れることが多いです。有給休暇も取りやすく、自分の趣味やプライベートの予定に合わせて柔軟に休むことができています。
江崎:私も残業は比較的少なく、有給休暇も取得しやすいなと感じています。ただ、台風や大雨などの自然災害が発生した場合は、休日返上で対応にあたることもありますので、これは土木技術職としての使命だと思っています。
ー最後に、これから八女市の土木技術職として働くことを考えている方々へ、メッセージをお願いします。
江崎:八女市は、豊かな自然に囲まれた魅力的なまちです。住民の方々も温かく、人情味にあふれています。そういった地域の方々のために働けることに対して、やりがいや喜びを感じていただけるのではないかと思います。
橋本:入庁前は、仕事内容や公務員として働くことへの不安があるかもしれません。でも、八女市役所の先輩方は皆さん優しく、コミュニケーションも活発で、とても働きやすい環境です。あとは、仕事に対する「意欲」と「素直さ」があれば、周りの先輩方がしっかりとサポートしてくれるので、安心して八女市役所を受験してください!

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年5月取材)