富山県射水市役所で保育士として働く吉次さんへのインタビュー記事です。大学卒業後、保育士として射水市役所に入庁。保育士として3つの園を経験し、産休・育休を経て、市独自の「パパ・ママ保育士等復帰応援事業」を活用して職場復帰を果たした吉次さんが、仕事の魅力ややりがい、ワークライフバランス、そして射水市役所での働き方について語ります。
ー自己紹介をお願いします。
吉次:県内の大学で保育士資格と幼稚園教諭免許を取得し2015年4月に入庁しました。一番最初は下村保育園に配属され、その後、数カ所の園を移動し、2021年4月から産休に入りました。2023年10月に復帰後、初めて幼稚園(大門わかば幼稚園)に配属され、2024年4月から現在の大江保育園に勤務しています。
ー私立などではなく、公務員を目指した理由は?
吉次:特に疑問を持つことなく公務員試験を目指していたというのが正直なところです。大学では公務員試験を目指す方のほうが多かったというのも理由の一つです。家族の勧めもあり、地元である射水市を選びました。
―射水市役所の保育園・幼稚園は全部でいくつあるのでしょうか?
吉次:保育園と幼稚園を合わせて12園あります。
毎年、人事面談で希望があれば伝えることができ、可能な範囲で考慮はしていただいています。私の場合、育休復帰時の園の希望は、自宅からの距離を考慮し、比較的近い園を希望しました。
ー現在の勤務形態について教えてください。
吉次:現在の大江保育園で勤務して1年目です。2歳児クラスを担当しており、3人の保育士で18人の子どもたちを保育しています。各クラスに複数名の保育士が配置され、チームとして保育にあたっており、体調不良などで休みになった場合も、園全体でフォローし合う体制が整っています。担当をつけないフリーの先生もいてカバーできる体制ですね。
当初は朝夕30分ずつの部分休業を取得して勤務していましたが、「パパ・ママ保育士等復帰応援事業」の対象者となったので、勤務時間を延長し、現在は朝の30分のみ部分休業を取得しています。
ー「パパ・ママ保育士等復帰応援事業」とはどのような制度ですか?
吉次:「育児休業や退職等で保育職場を離れていた保育士が復帰する際に、その保育士(世帯)が納付した保育料のうち、就労した月(期間)に該当する保育料を全額助成」する制度です。
令和6年4月から開始され、私はちょうどその最初の対象者となっています。私は子どもが双子だったこともあり子育てと保育料の負担を考えると、この制度がなければ復帰は難しかったと思います。
ー具体的な働き方も教えてください。
吉次:朝の部分休業は、子どもの送迎などに充てています。残業は極力避け、他の先生方にも協力を得ながら、定時退勤を心掛けています。子どもの急な体調不良などにも、職場は快く対応してくれており、子どもを第一に考えられる環境に感謝しています。
ー子育てをする前と後で、働き方や考え方に変化はありましたか?
吉次:以前は家に持ち帰って仕事をすることもありましたが、今は協力しあって、限られた時間で仕事を頑張るスタイルになっています。自分で抱え込んでやってしまうタイプだったのですが、周りの先生に頼ることが増えました。何が何でも仕事第一という考え方は大きく変わったと思います。本当に、周りの先生方の協力に助けられています。
ー人間関係や職場環境が良いんですね。
吉次:これは復帰後だけではなく、入庁以来ずっと周りの人々に恵まれていると強く感じています。年齢や経験に関わらず、相談しやすいですしお互い助け合える環境、雰囲気です。
また、先輩保育士の方々は知識も豊富であり、常に多くのことを先輩から学んでいます。後輩保育士からも新しい発想や手法など学びがありますので、お互いリスペクトのある環境だと思っています。
当園では、クラス内で保育士の先生同士の役割を1週ごとに交代するというシステムもあります。だから誰もが前に立ち仕切ることもあるし、補助することもある。それで多くの経験を積むと同時に、この人はこんなやり方がするんだという学びを常に得ていますね。
ー園内での連携について詳しく教えてください。
吉次:月2回の職員会議や、日常の会話の中で、保育の工夫や課題などを共有しています。他のクラスの保育の様子を見学したり、制作物などを参考にしたりする機会も多く、自然と情報交換が行われています。園全体で良い保育を目指せる環境です。
また保育園全体で統一した方針というよりは、園長からも、自分でやりたいことを提案すると、「やってみられ(やってみよう)」と言っていただけます。
ーこれまで複数の園で勤務経験がありますが、それぞれの園で違いはあるのですか?
吉次:それぞれの園に特色があるので、移るごとに学びがありました。例えば園内でりんごの木の世話をしてりんごを育てる、という取り組みをしている園もあります。
どれが良いという話ではなく、例えば規模が小さい園では、一人ひとりの子どもと深く関わる事ができ、大きい園では、多くの子どもたちと関わる中で、保育の幅が広がります。
ー保育士として、仕事で最もやりがいを感じる瞬間は?
吉次:子どもたちの成長を感じられた時や、試行錯誤しながら、子どもたちのために考えた取り組みがうまくいった時は、やりがいを感じられます。例えばどんな子どもにも成長にばらつきがあり、園での生活を覚えるのに苦労する子どももいます。そんなときにカードを使って視覚的に覚えやすいようにしてみようとか、恐竜が好きだから恐竜と紐づけて覚えてもらおうだとか、そういった工夫がうまくいくことは非常に嬉しいですね。
ー仕事と育児の両立は現在いかがでしょうか。
吉次:仕事の進め方にも慣れ、私の子どもたちも保育園に慣れてきたので、生活リズムも安定してきましたと思います。なにより、周りの人々のサポートがあってこそ、両立できていると感じています。
このような温かい職場環境であることは本当に魅力的です。
あと、福利厚生もよく、特に子どもの急な病気や健診などで休む際に使える「家族看護休暇」制度は、子育て中の保育士にとって大きな助けになっています。この制度の活用ももっと広めたいです。
ー本日はありがとうございました
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年2月取材)