富山県射水市消防本部で働く桜野さん、山田さん、安孫子(あびこ)さんの座談会記事です。女性消防士である3名に、救急救命士や消防士を目指したきっかけ、男性が9割以上を占める職場でのリアルな働きやすさ、そして女性専用施設が整う環境の魅力について、語っていただきました。
- 憧れの救急 / 消防。三者三様の「消防士」への道のり
- 114名中、女性はたったの3人。それでも不安や働きにくさがない理由
- 24時間勤務のリアルと普段の業務内容
- 市民からの「ありがとう」の言葉が、すべての原動力になる
- 女性専用施設も完備!私たちと一緒に射水市消防を盛り上げましょう
憧れの救急 / 消防。三者三様の「消防士」への道のり
―本日は射水市消防本部の女性消防士の皆さんに集まっていただきました。まずは自己紹介と、目指したきっかけを教えてください。
安孫子:令和7年度に入庁し、現在は射水消防署の警防課に在籍しています。私は高校卒業後、3年間専門学校に通って救急救命士の資格を取得しました。昔から救急救命士という職業に強い憧れがあり、最前線で人の命を救う仕事に就きたいと思ったのがきっかけです。今はまだ救急車には乗っていませんが、令和8年度より乗車できるようになる予定です。
山田: 令和5年度に入庁した山田です。私は高校を卒業してすぐに射水市消防本部に就職し、現在は新湊消防署の予防課で勤務しています。私も「人の役に立つ仕事がしたい、地域を守る仕事に就きたい」という想いが強くなり、大学や専門学校には進まず、高校卒業後すぐに消防士になる道を選びました。
桜野: 平成27年度入庁の桜野です。新湊消防署の警防課で、主に救急業務に従事しています。私が消防士を目指したきっかけは、幼少期に骨折をして救急車のお世話になったことです。その時の救急隊員の方がとても優しく、不安だった私に安心感を与えてくれたのを今でも鮮明に覚えています。「私もあんな風に、困っている人を助けられる救急隊員になりたい」と思い、専門学校へ進学して救急救命士の資格を取得してから入庁しました。

―皆さん全員が隣接市のご出身だと伺いましたが、なぜ射水市消防本部を選んだのでしょうか?
桜野: 私が採用試験を受けた当時は、まだ近隣の消防本部には女性向けの施設が整っていないところも多い中で、射水市は市町村合併によって新しく建てられた庁舎に、女性用の仮眠室やシャワー室といった女性専用の施設が整備されていました。「ここなら女性でも働きやすい環境が整っている」と思い、射水市の受験を決めました。
山田: 私は射水市内の高校に通っていたので、3年間を過ごしたこの街にとても愛着がありました。通学などで街の雰囲気の良さを肌で感じていたので、自然と「射水市のために働きたい」と思うようになりました。
安孫子:専門学校時代に、射水消防署で救急車の同乗実習をさせていただいた経験があり、その時の職場の雰囲気がとても良かったので、迷わず射水市を選びました。皆さんがとてもアットホームで、実習生の私にも優しく話しかけてくださり、また非常に向上心が高く日々過ごされていることを間近で見れたことが決め手になりました。
病院での実習も経験しましたが、病院で勤務する救急救命士は医師や看護師のサポートにまわることが多い印象を受けました。もちろんそれも大切な仕事ですが、消防の救急隊であれば、現場に真っ先に駆けつけ、救命士が主体となってプレホスピタルケア(病院前救護)を実践できます。「自らの判断と技術で傷病者を助けたい」という想いが強かった私にとっては、やはり消防署が一番活躍できる場所だと感じました。
114名中、女性はたったの3人。それでも不安や働きにくさがない理由
―現在、射水市消防本部の消防吏員114名のうち、女性消防士は3名だけだとお聞きしました。圧倒的に男性が多い職場ですが、入庁時に不安はありませんでしたか?
安孫子: 私は全く不安はありませんでした。通っていた専門学校自体が男性ばかりの環境だったので、すでに慣れていたというのもあります。実際に入ってみても、先輩や上司の方々がフレンドリーに接してくださるので、男女比による働きにくさを感じたことはありません。
山田: 現場活動において、どうしても体力面や筋力面で男性に劣ってしまう部分はあります。しかし、それをマイナスに感じることはありません。日々のトレーニングを先輩方と一緒に行う機会も多いですし、「体力がないからこの仕事ができない」というわけではありません。
―日常の職場の雰囲気はいかがですか?
山田:もちろん、一刻を争う過酷な現場や、人の命が懸かっている場面はシビアです。しかし、署に戻ってからの日常業務では、本当にオープンで明るい雰囲気です。自分から先輩に相談しやすいのはもちろんですが、先輩から話しかけてくださるので、とても居心地が良い環境ですね。

24時間勤務のリアルと普段の業務内容
―皆さんの勤務体制について教えてください。
山田:朝の8時半に出勤し、翌朝の8時半までの24時間の交代勤務です。職員が2つの班に分かれており、「勤務→非番→勤務→非番→勤務→非番→週休2日」というサイクルです。 新湊消防署は、その日勤務しているのが大体9人から11人程度です。最低でも9人は必ず揃うような体制になっています。射水消防署の場合は、もう少し規模が大きいため最低12人体制となっています。
―山田さんは「予防課」、安孫子さんと桜野さんは「警防課」とのことですが、業務内容に違いはあるのでしょうか?
山田: 出動指令がかかれば、予防課も警防課も関係なく現場に向かいます。大きく違うのは、署内にいる時の「事務仕事」の内容です。 予防課は、火災を未然に防ぐための業務がメインです。建物の消防設備が法令通りに設置されているかの検査や、危険物施設が適正に維持管理されているかの立入検査などを行っています。
一方の警防課は、消防車両や消火栓などの資機材の管理、消防団に関する事務、そして市民向けの救命講習の開催などを担当しています。

市民からの「ありがとう」の言葉が、すべての原動力になる
―日々のお仕事の中で、やりがいや喜びを感じるのはどんな時ですか?
山田: 私はまだそれほど大きな現場を経験しているわけではないのですが、現場に出場した際に、市民の方から「頑張ってね!」と声をかけていただけたことが何度かありました。その温かい言葉を聞いた時は本当に嬉しくて、「よし、これからも頑張ろう!」と大きなモチベーションになりますね。
桜野: 私は長く救急現場に携わっていますが、緊迫した状況の中で自分の知識と技術を最大限に発揮して判断と処置を行い、重篤な状態の患者さんを病院まで無事に引き継げたときには安堵します。
そして何より、傷病者の方やご家族から「本当にありがとうございました」と言っていただける瞬間が、この仕事をしていて一番良かったと思えるやりがいとなっています。
―安孫子さんは、これからの目標などはありますか?
安孫子:私はこれから救急隊として現場に出ることになるので、今まで先輩方から教わってきたことをしっかりと実践したいです。現場に出ることで見えてくる課題もたくさんあると思うので、日々訓練を重ねて知識と技術を磨き、一人でも多くの命を救える救急救命士になりたいです。
女性専用施設も完備!私たちと一緒に射水市消防を盛り上げましょう
―今後、女性消防士を増やしていくために、射水市消防としてアピールしたいことはありますか?
桜野: まずは、私たちのように女性でもしっかりと最前線で活躍できる環境があるということを、もっと多くの方に知っていただきたいです。そして、仮眠室やシャワー、トイレなど、女性専用の施設や設備が完全に独立して綺麗に整っていることは、非常に大きなアピールポイントだと思います。プライバシーがしっかり守られているので、24時間勤務でも全くストレスなく過ごせます。

安孫子:専門学校時代の同級生の中には、就職先の設備面で不安を感じている女性も少なからずいました。射水市はそうしたハード面が完璧に整っていますし、男性の先輩方も女性が少ないからこそ気を遣って優しくフォローしてくださるので、温かいソフト面も持ち合わせています。
山田: 体力に自信がなくても、消防の仕事には女性ならではの視点や、傷病者に安心感を与えられる細やかな対応など、別の役割がたくさんあります。「人を助けたい」という熱い想いさえあれば、周囲が全力でサポートしてくれます。少しでも興味がある方は、ぜひ私たちと一緒に射水市消防本部で働きましょう!お待ちしています。

―本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年2月取材)
射水市消防本部の最前線で活躍する3名の女性消防士たち。インタビューを通して伝わってきたのは、職務に向き合うたくましい姿と、自然体で働ける環境でのやりがいでした。 富山県内で消防士・救急救命士を目指す方、特に女性の方にとって参考になるインタビューではないでしょうか。



