上天草市役所で保健師として働く、松田さんと満井さんのインタビュー記事です。
お二人とも市外の出身ながら、学生時代の実習や学校生活をきっかけに上天草市へ入庁されました。専門職として多様な分野で住民の健康を支える仕事のやりがいから、想像していなかった業務の幅広さや大変さまで、リアルな声をお届けします。
保健師への道と上天草市との出会い
ーまずはお二人の自己紹介と、保健師を目指されたきっかけについて教えてください。
松田:出身は八代です。高校卒業後は上天草市にある看護専門学校に進学し、その後、保健師の養成学校に1年間通いました。
看護学校時代は看護師の資格しか取れなかったのですが、さらに勉強すれば保健師にもなれると知ったのが最初のきっかけです。
実習で保健センターを訪れた際に、「乳幼児健診などに関わる仕事ってすごく楽しい!」と思ったので、保健師の道に進もうと決めました。
満井:私は長崎出身です。高校卒業後は熊本保健科学大学の看護学科に進学し、4年間で看護師と保健師の両方の免許を取得しました。
高校生の時から「何か専門的な資格が欲しい」と考えていて、看護の道を選んだんです。
ただ、看護師の実習を経験する中で、夜勤や土日勤務がある働き方や、常に命と向き合う仕事の重圧に対して、自分はやっていけるだろうかという不安を感じるようになりました。
そんな時、病気になる前の「予防」に関わることができる保健師の仕事を知り、とても魅力を感じました。自治体で働けば、日中勤務で土日もしっかり休める。そうした働きやすさも、保健師を目指す大きな理由になりましたね。

ーお二人とも上天草市のご出身ではないとのことですが、なぜ上天草市で働こうと思われたのでしょうか?
松田:私は看護学校の3年間、上天草市の寮で生活していました。その時に感じた、田舎ではあるけど、程よく楽しめるこの街の雰囲気がとても気に入って。
「ここで働くのもいいな」と思っていたところ、たまたま保健師の募集が出ているのを見つけて、応募したのがきっかけです。
満井:私の場合は、大学の保健師実習の場所が上天草市でした。その時は就職までは考えていなかったのですが、いざ就職活動を始めたタイミングで上天草市の募集を見つけました。
大学の先生から「実習で行ったことがあるなら、地域の雰囲気も分かっていていいんじゃないか」と勧めてもらったこともあり、受けてみたらご縁があった、という感じです。
地域に根ざす保健師の多様な業務とやりがい
ー入庁してから現在まで、どのようなお仕事を経験されてきましたか?
松田:入庁して最初の配属は高齢者ふれあい課で、高齢者の介護予防を主に担当しました。
そこで2年半ほど勤務したあと、健康づくり推進課に異動になりました。ここでは、がん検診や歯科保健、乳幼児健診など、幅広い世代の健康支援に携わりました。
その後、1年間の産休・育休を経て、現在は福祉課の障がい福祉係で、障がいのある方の福祉サービスに関する業務や相談支援を担当しています。

満井:私は入庁1年目から健康づくり推進課に配属されました。
最初は成人の健康増進を担当する係にいましたが、1年後に母子保健係へ異動となり、そこから4年間、主に乳幼児健診を担当しました。
その後、現在の高齢者ふれあい課に異動し、ケアマネージャー業務を経験しつつ、今は高齢者の介護予防を主な業務としています。

ーこれまで様々なお仕事を経験される中で、保健師としてのやりがいや魅力を感じるのはどんな時ですか?
満井:私は市外出身なので、最初は地域に全く馴染みがありませんでした。でも、仕事を通して地域の方々と触れ合う中で、顔と名前を覚えてもらえたりするとすごく嬉しいです。
特に乳幼児健診で関わったお子さんが健やかに成長している姿を見ることができたり、保健指導をした高齢者の方から「あなたのアドバイスのおかげで元気になったよ」と言っていただけたりするのは、この仕事の魅力だなと感じますね。
松田:私もやはり、住民の方から頼りにされていると感じる瞬間にやりがいを感じますね。
「松田さんに相談したい」と電話で名指しで連絡をいただいたり、些細なことでも気軽に聞いてくれたりすると、「この人たちの力になれているんだな」と実感できますね。

ー仕事の中で、特に印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
満井:つい最近、すごく嬉しい出来事がありました。
以前、赤ちゃん訪問であるお宅に伺ったのですが、そこはお母さんのご実家で、赤ちゃんと一緒におばあちゃんもいらっしゃいました。その時は、お母さんやおばあちゃんと色々なお話をさせていただいたんです。
それから3、4年経って、全く別の要件でそのおばあちゃんの家を再び訪問する機会があったのですが、私の顔を見るなり「あの時の!」ってお互いに顔を見合わせて(笑)。
何年も前のことを覚えていてくださったことに、人と人との繋がりの温かさを感じ、すごく嬉しかったですね。
松田:私は業務とは少し違うのですが、プライベートで近所のスーパーに行った時などに、以前関わった高齢者の方から声をかけてもらえることがあります。
特に最初の配属で関わった高齢者の方々は、まるで自分の孫のように可愛がってくださって。
そういう瞬間に、「覚えていてくれてるんだな」と嬉しくなりますし、仕事を超えた温かい関係性を築けたことは非常にありがたいことだなと感じます。
ー逆に、仕事で大変なことや、厳しさを感じる部分はありますか?
松田:私はこれまで、高齢者、乳幼児、成人、障がいのある方と、本当に様々な分野を経験してきました。
異動するたびに、その分野の専門的な知識を深く学ばなければならないのが大変ですね。
勉強してきたつもりでも、実際にその部署で働いてみないと分からないことがたくさんあり、毎日「あれは何だっけ?」とマニュアルを読み返したり、関連資料を調べたり、知識のアップデートに追われています。
満井:私も、自治体で働いてみて初めて知った業務の幅広さに驚きました。
大学では保健師の専門業務について学びましたが、実際の現場では、災害時の避難所スタッフや地域のイベントでの救護活動、さらには選挙の事務作業など、想像もしていなかった仕事もたくさんあります。
特にイベントの救護などは、看護師としての知識が求められますが、大学時代以来、実践から離れているので、正直なところ自信がなくて(笑)。
また、契約書を作成したり、起案書を書いたり、要綱を作ったりといった事務作業も多いことにも、最初は戸惑いましたね。

働きやすさと温かい人間関係が魅力の職場
ー残業や休暇の取りやすさなど、働き方についてはいかがですか?
満井:残業はそれなりにありますね。日中は訪問や窓口・電話対応が多いので、どうしても記録や事務作業が時間外になってしまうことがあります。特に、コロナの緊急対応の時が今までで一番大変でしたね。
お休みに関しては、自分で業務を調整して柔軟に取れますし、周りの方も「どんどん休み取りな」みたいな感じなので、休暇は取得しやすい環境ですね。
松田:私は育休から復帰してからは時短勤務を利用しているので、残業はほとんどありません。復帰する前は、満井さんと同じようにちょいちょい残業していましたね。
休暇については、有給休暇はもちろん、子どもの看護休暇などもしっかり制度としてあるので、とても取りやすい環境だと思います。
子どもが急に熱を出した時なども、周りの方々が「いいよ、早くお迎えに行ってあげて!」と快く送り出してくれるので、本当に助かっています。
ー職場の雰囲気や人間関係について教えてください。
松田:本当に風通しの良い職場だと思います。「いつでも何でも聞いていいよ」という雰囲気があるので、分からないことがあればすぐに聞きに行きますし、邪魔かなと思うくらい聞きまくってます(笑)。
ちょっとした雑談でくすっと笑ったりするような和やかな瞬間もあって、楽しく仕事ができていますね。
満井:とてもいい人たちばかりで、すごく働きやすいです。上司や先輩、もちろん事務職の方々にも気軽に相談できますし、何より同期で同級生でもある松田さんがいるのは心強いです(笑)。
今でも定期的に同期会を開くくらい、同期とは仲が良いんですよ。そのおかげで、プライベートでも新しい楽しみが見つかりました。釣り好きの同期に連れて行ってもらったのがきっかけで、まさか自分が釣りを始めるとは思いませんでしたね(笑)。

未来の仲間へ ~上天草市で働くということ~
ー最後に、この記事を読んでいる求職者の方へメッセージをお願いします。
満井:私の大学の同級生には、今も看護師として病院で働いている友人が多いのですが、この年齢になると転職を考える子も少なくありません。
看護師の仕事は夜勤やシフト制で、家族との時間を確保するのが難しい場面もあります。
その点、自治体の保健師は日中勤務が基本で、仕事と家庭を両立しやすい働き方が可能な点も、大きな魅力だと感じています。
また、看護師など過去の経験は、保健師の業務においても必ず活かせると思います。生活習慣病予防の保健指導だったり、イベント救護だったり、これまでの臨床の現場経験が保健師としての強みになります。
もし今の働き方に悩んでいる方がいたら、自治体で働くという選択肢もぜひ考えてみてほしいです。
松田:上天草市は、人と人との繋がりを大切にできる場所です。住民の方々も、職場の仲間も、温かい人たちばかりです。
専門職として成長できる環境はもちろん、仕事だけではない楽しさや、温かい人間関係の中で働ける魅力があります。
ぜひ、私たちと一緒に上天草市で働きましょう!
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年8月取材)