「一度試験がうまくいかなかった方でも、まず上天草市がどんな職場なのかを経験していただいて、再度挑戦するという選択肢もあると思います」
そう穏やかに語るのは、上天草市役所 市民生活部環境衛生課で一般事務職として働く、入庁3年目の貝川さん。熊本の海に面したまちで生まれ育ち、高校2年生のインターンシップで市役所の仕事に出会いました。公務員試験の予備校に1年通い、会計年度任用職員として約4年間勤めながら受験を続け、約6年越しで正規職員に。
「地元で働きたい」という思いを諦めなかった歩みは、今まさに公務員を目指している方の背中を押してくれるはずです。
- 高校2年のインターンが原点。海のまちで働きたくて、上天草市一本で6年
- 補助金からフードドライブまで。市民とつながる「ごみ」の最前線
- 責任とやりがいは表裏一体。災害の仮置き場で実感した「人の温かさ」
- 研修とサポーター制度に支えられて。会計年度の経験も生きる、成長の道のり
- 和気あいあいの職場で。「もう一度挑戦」を後押しするまち
高校2年のインターンが原点。海のまちで働きたくて、上天草市一本で6年
ーまずは、貝川さんのご出身と、公務員を目指したきっかけを教えてください。
貝川:生まれも育ちも上天草市で、高校も市内に通いました。もともと地元で就職したいと思っていたのですが、市役所で働きたいと思ったのは高校2年生のときです。
インターンシップで上天草市役所に体験学習として受け入れていただいて、総務課で広報誌の文字の添削や誤りのチェックをしたり、湯島へ取材に行って自分が作った原稿を市の媒体に載せてもらったりしたんです。
その体験が本当に楽しくて、それがきっかけで上天草市役所を目指そうと思いました。
ー数ある自治体のなかで、上天草市一本で受験されたそうですね。
貝川:本当に地元に就職したいという気持ちがあったので、ほかの自治体は見ていなかったですね。私は海の近くに住んでいるのですが、海が綺麗で、美味しいお魚が食べられる。そういう環境で育ってきたので、やっぱり地元で働きたいという思いが強くありました。
高校卒業後は公務員試験の予備校に1年間通学し、その後、上天草市の会計年度任用職員として約4年間勤めました。最初の1年は企画政策課で国勢調査の関連業務を、残りの3年間は総務課で電話交換を担当しました。

補助金からフードドライブまで。市民とつながる「ごみ」の最前線
ー現在は環境衛生課で、どんな業務を担当されていますか。
貝川:環境衛生課は、市民が出すごみの減量化や環境にやさしいまちづくりを推進する部署です。私は主に補助金と食品ロスを担当しています。
補助金は、再生可能エネルギーの普及を促進するため、太陽光や蓄電池などの設備設置に補助金を出したり、家庭の生ごみを減量化する生ごみ処理機といったものを対象としています。
ーもう一つの食品ロスについても教えてください。
貝川:フードドライブという取り組みです。ご家庭で余っている食品を、広報誌で呼びかけて期間を設けて集め、子ども食堂や生活困窮者の方々へ配布しています。お菓子やインスタント食品、ラーメンなどが対象です。

責任とやりがいは表裏一体。災害の仮置き場で実感した「人の温かさ」
ー会計年度任用職員から正規職員になって、大変だと感じたことは。
貝川:会計年度のときは日々決まった内容の業務でしたが、正規職員になった瞬間に責任が出てきて、自ら考えて業務を進めていかなければいけないことが増えました。そこは難しい部分でしたね。
ー逆に、やりがいを感じる瞬間はどんなときですか。
貝川:ほかの職員の方と関わるなかで、自分が知らなかったことを教えていただけて、スキルアップにつながるところです。例えば、自分の担当業務を広報誌で伝えるための原稿を作る際も、同じ係の先輩が「こうした方が市民に伝わりやすいよ」と教えてくださって、とても勉強になります。
対外的な伝え方を先輩から学べるのは、日々の手応えになっています。
ー特に印象に残っている業務はありますか。
貝川:記憶に新しいのは昨年8月の豪雨災害です。被災された方が多くのごみを仮置き場に出され、その設置を担うのが環境衛生課で、私自身も現場でごみを持ってきた車を誘導したり、積み下ろしを手伝ったりしていました。
被災されて大変な時期なのに「暑いのに大変だね」と声をかけ、飲み物まで差し入れてくださって。人の温かさを実感した出来事でした。

研修とサポーター制度に支えられて。会計年度の経験も生きる、成長の道のり
ー入庁された頃の研修や教育体制はいかがでしたか。
貝川:まず入庁初日に、上天草市が独自で取り組みを紹介する簡単な研修がありました。また、その数日後には、ほかの市役所の方々との合同研修が2~3日ほどありました。接遇マナーや、公務員としての心構えを考えさせられる内容でしたね。
配属後は、新人と職場の先輩1人をペアにするサポーター制度があり、いろいろ聞きながら覚えていきました。半年後にもフォローアップ研修がありました。
ー会計年度任用職員での経験が、今に生きていると感じることはありますか。
貝川:電話交換をしていたとき、ほかの部署が何をやっているのかをある程度知ることができたんです。実際にその部署に入らないと分からない部分もありますが、全体像をつかんでおけたのは大きかったです。
また、今の環境衛生課での電話対応にもその経験は生きています。
和気あいあいの職場で。「もう一度挑戦」を後押しするまち
ー職場の雰囲気や、上司・先輩との関係性はいかがですか。
貝川:配属から2年間は課で女性職員が私だけでしたが、今年度から1名来られました。同性の方がいると心の持ちようも変わりますね(笑)。
今年度に課長になられた方は和気あいあいとした職場づくりを心がけていて、活気ある職場になっています。

ー残業や休みの取りやすさはいかがですか。
貝川:今は新規事業に加え、以前からある補助金事業も担当していて、昨年度より若干残業が増えましたが、業務を調整しながら休みもしっかり取れる環境です。
有給休暇は繰り越しを含めると最大40日分あり、半数近くは消化していると思います。夏季休暇は、7月から9月の間で5日間取れます。
ー最後に、公務員を目指す方へメッセージをお願いします。
貝川:私自身、会計年度任用職員として働きながら公務員試験を受けていた経験があります。一度試験がうまくいかなかった方でも、まずは会計年度任用職員として勤務してみて、上天草市がどんな職場なのかを理解した上で再度挑戦する、という選択肢もあると思います。
上天草市は地域に密着しながら、やりがいのある仕事ができる職場です。ぜひ一緒に働ける方をお待ちしています。

ー本日はありがとうございました。
取材を通して伝わってきたのは、「諦めなかった」という言葉以上の粘り強さでした。6回の受験も4年間の会計年度任用職員も、遠回りではなく確かな助走だったのだと思います。
「地元で働きたい」というまっすぐな思いが、6年という時間を静かに支えていたのだと感じます。海のまちで働く一人の職員の歩みは、今、受験に向き合う誰かの“もう一歩の支え”になるはずです。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年6月取材)



