新しい職場、特に社会人としてのキャリアがスタートするとき、「人間関係は大丈夫だろうか」「もし指導担当が怖い人だったら…」と、不安を感じる人は少なくないかもしれません。
伊勢崎市役所では、新規採用職員一人ひとりに「指導担当」の先輩職員が原則1年間マンツーマンでつきます。 今回は、都市計画部区画整理課で指導担当を務めたTさんと、指導を受けたSさんのお二人に、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)についてお話を伺いました。
「失敗しても大丈夫」という先輩の「伴走」と、「勤務記録簿」を活用した手厚い面談。 制度と人の両輪が、いかにして新人の不安を解消し、リアルな現場での成長へと導いたのか。「安心して自分らしく働ける」と語るお二人の言葉から、伊勢崎市役所の温かい育成文化が見えてきました。
- OJTで若手を育てる。区画整理課の指導担当と若手職員
- 「失敗しても大丈夫」。指導担当として心がけた「伴走」
- 「怖い人だったら…」入庁時の不安を解消した「勤務記録簿」と面談
- 電話、窓口、そして交渉同行。リアルな現場で学んだこと
- 「安心して自分らしく働ける」。伊勢崎市役所のサポート体制と未来の仲間へ
OJTで若手を育てる。区画整理課の指導担当と若手職員
ーまずはお二人の所属とお仕事内容、そして関係性について簡単に教えていただけますか?
Tさん:都市計画部区画整理課のTです。私は2008年度の入庁で、今年で37歳になります。区画整理課は、土地の形や土地の配置を整理したり、車のすれ違いが難しい道路などを拡幅したりする「区画整理事業」を行っています。
課全体では18名の体制で、換地補償係、計画係、工務係、再開発係の4つの係があります。
その中で私とSさんは「換地補償係」に所属しており、主に土地の用地交渉や、事業に伴う建物移転の補償金の計算、支払いといった業務を担当しています。換地補償係は7名体制で、それぞれが担当地区を持っています。
Sさん:私は昨年の2024年度に入庁しました。今年24歳になります。
ー今日は主に「育成」について聞いてみたいのですが、TさんはSさんの指導担当ということでしょうか?
Tさん:そうです。伊勢崎市役所では、新規採用職員には必ず指導担当がつきます。期間は原則1年間となっているので、正確には指導担当をしていたのは昨年1年間になります。
Sさん:指導期間としては終了しているのですが、今も同じ係の先輩・後輩として日々サポートしていただいています。去年1年間は同じ地区を担当していて、席も隣だったのですが、今年度から私が別の地区の担当になったので、直接関わることは少し減って、席も離れてしまいました。
Tさん:ちょっと寂しいですけど、成長した姿を日々見ています。(笑)

「失敗しても大丈夫」。指導担当として心がけた「伴走」
ーまずはTさんにお伺いしますが、OJTが始まった当初、指導する上で心がけていたことはありますか?
Tさん:まずは何もわからない状態だったと思うので、私の方で仕事をやって見せて、それを見てもらい、そして「まずは真似てやってみよう」という形で進めていきました。
何より伝えたかったのは「とりあえず失敗しても大丈夫」ということです。もし失敗したとしても、一緒に振り返りながら次に活かしていく、という意識を持って仕事を伝えるようにしていました。
ー「失敗しても大丈夫」という言葉は、教わる側としては心強いですね。
Tさん:やはり年も一回り以上離れていますから、あまりこちらが強く言って、次の日まで引きずってしまったらどうしよう…というのは気にしていましたね(笑)
言葉遣いもなるべく柔らかめにしたり、話し方には気をつけていたりしていたかなと思います。
ただ、言うべきところはしっかり伝えるようにしていました。Sさんもいずれは先輩になるわけですから、その時にまた新しい後輩に、「正しく」伝えられるように育ってもらえればなという思いでしたね。

ー同じ担当とのことでしたが、Sさんとの業務の進め方や、仕事の任せ方についてはどうされていましたか?
Tさん:例えば、地権者さんから出てきた申請書類を処理する際、今までは私一人でやっていたわけですが、その書類を完成させるまでには色々な工程があります。
そこで、「じゃあ、まず私が1番の工程をやるので、2番の確認をしてくれる?」というように、一つの仕事の中で細かく分けてそれぞれで担当し、一つのものを作り上げる、という進め方を意識していました。
少しずつ分けて仕事をすることで、次に一人で全ての工程をやった際に、その書類を完成させられるようなやり方を心がけていました。
「怖い人だったら…」入庁時の不安を解消した「勤務記録簿」と面談
ーSさんにお伺いしますが、「指導担当の先輩がマンツーマンでつく」と聞いた時、正直どう思いましたか?
Sさん:指導担当の先輩が1人ついてくれると聞いた時は「どうなるんだろう」という不安も正直ありました。
「人間関係が理由で辞めたくなった」みたいな話も聞いたことがあったので、マンツーマンの先輩が怖い人だったらどうしよう…といった不安ですね。
ー実際のOJTについて、今振り返ってみるといかがでしたか?
Sさん:一つ一つ教えるべきところはしっかり教えてくれましたし、何より「まずやってみよう」という感じで背中を押してくれたので、仕事を抱え込まずに相談しながら進めることができました。
指導担当という制度もとても良かったですし、何より今振り返ってみてもTさんでよかったなっていう思いですね(笑)

ー実際の業務以外に、市のルールや社会人としての基礎を学ぶ機会もあったのでしょうか?
Sさん:はい、まず新規採用職員研修自体は4月から何度かあったのですが、特に印象的だったのが、「勤務記録簿」という研修で使った記録様式です。
この記録簿に沿って、指導担当のTさんと自分、そして係長を中心に面談などを行いました。業務に深く関わること以外でも、例えば「電話の出方・かけ方」であったり、「市役所には他にどういう課があるのか」といった社会人としての基礎的なチェック項目があったりして、それに沿って育成をしていただけました。
社会人というものがまだよく分からない状態で入庁したので、目指すべき方向性が分かりやすかったですし、自分も前向きに仕事をしていく気持ちになれました。
月の振り返りも面談で行い、些細な相談や悩みも実際に聞いてもらって、自分の反省に活かすこともできたので、すごく役立ちました。
電話、窓口、そして交渉同行。リアルな現場で学んだこと
ー特に不安だったことや、乗り越えるのが大変だったことはありますか?
Sさん:区画整理課に限らないと思うんですけど、市役所に入ってやはり電話対応や窓口対応が増えていく中で、知らない人と面と向かって話したり、電話で話したりすることに、最初はすごく抵抗感と不安がありました。
うまくできなくて「どうしよう」と焦っている中でも、Tさんを中心に先輩方が「まずやってみよう」と。「窓口だったらまずは挨拶から」とか、「電話でもまず聞いて、分からなかったら先輩たちに確認していいから」と背中を押してくださったのを覚えています。
ー指導担当として、Tさんはどのような心境で見守っていたのですか?
Tさん:やってもらうしかないと思いつつ、正直なところこちらもヒヤヒヤしながら聞いていました(笑)
ただ、去年は席が隣だったということもあり、もし間違っていることを話していてもすぐに修正を入れられたり、「変わってくれ」ということができたりしたので、とにかく場数を踏んでもらうということが良い経験になったかなと思っています。

ー慣れてくると、Tさんから「これお願い」と任されることも増えてきましたか?
Sさん:窓口対応はもちろんですが、地権者さんとの交渉を少しずつ任せてもらうことがありました。すごく優しそうな地権者さんや、スムーズに進んでいる案件であれば、「ちょっとSさんから説明してくれる?」と前に出してもらうことがありました。
ーOJTを進めてきた中で、特に印象的だったエピソードなどはありますか?
Tさん:OJTでのエピソードに当てはまるか分からないですけど、2人で地権者の方に交渉に行った時のことですね。
まだ慣れていなかったということもあり、私が主となって交渉をする予定だったのですが、ある地権者さんのところに行ったら、思いがけず難航してしまい、少々お叱りを受けて帰るようなことがあったんです…それが印象的に残っているというか、本来ならかっこいい姿を見せられればよかったんですけど、全く逆になってしまったという思い出ですね(笑)
ーSさんも今のお話は覚えていますか?
Sさん:私もよく覚えています(笑)
とても驚いたのですが、いきなり一人でそういうパターンじゃなくて良かったな、と心から思いました。そのような難しい場面であっても、交渉する姿や言葉の選び方を勉強させてもらえたので、私としてはとても良い経験になりました。
今年度、私も2年目となり自分が中心になって交渉する業務も増えました。OJTを通じてリアルな現場を学んできたことが、今になって本当に役に立っていると感じています。
「安心して自分らしく働ける」。伊勢崎市役所のサポート体制と未来の仲間へ
ーお二人の立場から、伊勢崎市役所の新規採用職員へのサポート体制について「ここが魅力的だ」と感じる点を教えてください。
Tさん:指導する側の視点ですが、先ほどSさんも話していた職員課の「勤務記録簿」ですね。
私も指導担当をすることが初めてだったので、少々不安を感じていたのですが、勤務記録簿に沿って段階的にやるべきことが書いてあったので、指導する側にも寄り添ったサポート体制だったなと思います。
また、4月が繁忙期であったとしても、配属後に何日も放置されるのではなくて、入庁後すぐに指導担当の先輩がつくので、分からないことを気軽に相談できる体制ができているのは、伊勢崎市の良いところかなと思います。

ー年度初めの忙しい時期であっても、指導担当が初日から伴走してくれるのは安心ですね。Sさんはいかがですか?
Sさん:やはり研修や勤務記録簿を通して、区画整理課の業務だけでなく、公務員として、社会人としての基本的な知識を丁寧に教えていただける点が魅力だと思います。
特に自分の場合は、同じ係の同じ担当地区にTさんがいて、すごく近しい存在だったので、Tさんを自分が目指すべき姿として思い浮かべながら、「こういうふうに交渉しよう」とか「電話対応しよう」とか、常に見て学べました。
指導担当がいることで、自分の目標像が明確になりましたし、同期と話をしていても「指導担当の人って、やっぱり何でもできてすごいよね」という話題になっていたので、目標を定めて業務ができたのは良かったです。
ーそれでは最後に、これから伊勢崎市役所への入庁を検討している方へ、お二人からメッセージをお願いします。
Tさん:最初は分からないことだらけだとは思いますが、伊勢崎市は指導担当もつきますし、それ以外にも優しい先輩、面倒を見てくれる先輩がたくさんいると思います。
怖がらずに仕事をしていただいて、その仕事のやりがいを感じながら、少しずつ自分のペースでいいので、成長していっていただけたらなと思います。
Sさん:私も入庁してまだ1年半ですが、伊勢崎市役所は安心して自分らしく、そして自分も成長しつつ業務ができている環境が整っていると実感しています。
日頃の業務はもちろんですが、業務以外にも色々な行事を通して、優しい先輩方が本当にたくさんいるなと感じますし、同期との繋がりもあって、1人で抱え込むことなく、何でも相談できる仲間にも囲まれています。
伊勢崎市役所で働くことによって、やりがいを感じつつ成長していけると思いますので、ぜひ一緒に働きましょう!

ー本日はありがとうございました。
「指導担当が怖い人だったらどうしよう…」というSさんの当時の素直な不安と、それを「失敗しても大丈夫」と柔らかく受け止めたTさん。お二人の穏やかなやり取りから、この1年半で築かれた温かい信頼関係が伝わってきました。
印象的だったのは、交渉が難航し、お叱りを受けた現場にも二人で同行したエピソードです。うまくいかない「リアル」な姿さえも共有したからこそ、「安心して自分らしく働ける」というSさんの言葉に、強い実感がこもっているのだと感じました。
制度として「指導担当がつく」こと以上に、その制度を動かす職員の皆さんの誠実さ、優しさが、伊勢崎市役所の働きやすさの源なのだと、深く感じ入った取材でした。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年10月取材)



