道路や河川、上下水道など、市民生活の根幹を支えるインフラ整備を担う「土木職」。専門的な知識や現場経験が求められる厳しい世界というイメージを持つ方も多いかもしれません。
今回お話を伺ったのは、伊勢崎市役所の上下水道局で働くNさん。実は教育関係での勤務を経て、土木職として入庁したという経歴の持ち主です。
「現場経験ゼロ」からのスタートを支えたのは、職場の温かいサポート体制でした。現在は子育てをしながら、技術者として現場を管理するNさんに、伊勢崎市役所ならではの「働きやすさ」や、一見豪快な土木工事の中に隠された「繊細な面白さ」について、語っていただきました。
- 現場未経験から土木の世界へ。伊勢崎市と共に成長したい
- 「現場経験ゼロ」でも大丈夫。手厚いサポートで一人前の土木職へ
- 子育て中も安心。互いに支え合う「休みやすい」風土
- 「マンホールしか残らない?」派手さはないけど奥深い下水道工事の魅力
- 職場の雰囲気と未来の仲間へ
現場未経験から土木の世界へ。伊勢崎市と共に成長したい
ーまずは、Nさんの現在のお仕事内容について教えていただけますか。
Nさん:現在は上下水道局の下水道整備課に所属しておりまして、その中の「排水設備係」を担当しています。
業務内容は多岐にわたるのですが、ボリュームとして一番多いのは、各ご家庭の排水設備工事に伴う申請の受付や審査ですね。それから、家の中から公共下水道に接続するための「取付管(とりつけかん)」の設置申し込みを受け付け、その工事の設計から発注、そして現場の管理までを行うのが主な仕事になります。
ー現場の設計から管理まで、幅広く担当されているんですね。他にも担当されている業務はあるのでしょうか?
Nさん:そうですね。例えば、民間業者さんが自費で工事を行う場合の申請を受けて、その内容を審査して許可を出すといった業務もあります。
あとは、窓口で市民対応をする機会も多く、下水に関する調査や窓口業務も日常的に行っていますね。
ーちなみに、現在所属されている課は何名くらいの体制なのでしょうか?
Nさん:課全体では13名の職員がいて、そのうち土木職は8名います。
私の所属する課では女性技師は私一人ですが、同期で見ると土木職4名のうち3名は女性だったんです。入庁前は、女性技師は少ないんだろうなと思っていたので、「意外と多いな」というのが正直な感想でしたね。
まだまだ庁内全体でみると女性技師の割合は少ないかもしれませんが、決して女性が全くいなかったり、働きにくかったりするような職場環境では無いですね。

ー同期の方に女性が多かったというのは心強いですね。そもそも、Nさんが土木職を目指そうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
Nさん:きっかけは小学生の頃にさかのぼるのですが、兄の影響が大きいですね。兄が工業高校に通っていた時、学校の先生から聞いてきた話をよく家でしていたんです。
「土木っていう仕事は、地図に残る仕事をするんだぞ」って。兄がすごく誇らしげに話しているのを見て、子どもながらに「なんかかっこいいな」と感じたのが土木に興味を持ったきっかけです。
その後、進路を考える時期になって、当時の兄の言葉を思い出し、「社会基盤」と言われる道路や橋など、生活になくてはならないものを作っていく仕事をしてみたいなと思い、大学は土木系の学科に進みました。
ー「地図に残る仕事」は素敵ですね。大学卒業後はすぐに伊勢崎市役所に入庁されたのですか?
Nさん:いえ、実は大学卒業後、まず県立高校で臨時教員を2年間務めました。その後、さらに別の自治体で2年間、臨時職員として働いたんです。
社会人4年目に採用試験を受けて、伊勢崎市役所の職員として働き始めました。前の自治体では社会教育に関連する部署に所属していたので、実は土木畑ではなく、教育関係の仕事に4年間携わっていたことになります。
ー教育関係を経てから土木職になられたのですね。数ある自治体の中で、伊勢崎市を選ばれた理由は何だったのでしょうか。
Nさん:正直にお話しすると、働きながらの就職活動だったので、実家から通える範囲で探していたという理由が大きかったです。
その中でも伊勢崎市は、私が入庁する数年前に北関東自動車道が全線開通したり、その後も高崎から館林へ抜ける「東毛広域幹線道路」のような大きな道路ができたりと、まちとしての勢いを感じていました。
これからもどんどん発展していく可能性があり、そんな「伸びしろ」のある伊勢崎市で、自分も一緒に成長しながら力を発揮したいという気持ちが強く、受験することにしました。
「現場経験ゼロ」でも大丈夫。手厚いサポートで一人前の土木職へ
ー大学で専攻されていたとはいえ、土木の現場実務は未経験での入庁だったかと思います。専門的な知識が必要な職種ですが、最初は不安などありませんでしたか?
Nさん:そうですね、大学で勉強はしていましたが、現場経験は全くなかったので、正直不安はありました。最初は本当に、先輩職員にひたすら教えてもらう毎日でしたね。
工事の設計一つとっても、どう組み立てていけばいいのか全く分からなかったのですが、伊勢崎市役所の先輩方は本当に優しい方ばかりです。分からないことがあればすぐに聞ける雰囲気がありましたし、とても親切に、分かりやすく教えてくれました。
経験や知識が豊富な先輩がたくさんいるので、本当に心強かったです。
ーそれは安心ですね。机上の知識と実際の現場では、やはり違う部分も多いのでしょうか。
Nさん:私にとっては全然違うものでしたね。
そのため、先輩方はよく現場に連れて行ってくれたんです。「机上で設計したものが、実際の現場ではどうなっているのか」というのを、見て覚えるという実践的な指導をしていただきました。
「現場経験がないと、いきなり自治体で働くのは難しいのではないか?」と不安に思う方も多いと思いますが、私の場合は現場経験ゼロでも、周りのサポートのおかげでなんとかやっていけています。経験の有無に関わらず、安心してチャレンジしていただきたいですね。
子育て中も安心。互いに支え合う「休みやすい」風土
ー現在は子育てをしながら働かれているとのことですが、伊勢崎市役所の「働きやすさ」についてはいかがですか?
Nさん:私は民間企業の経験がないので比較は難しいのですが、民間から転職してきた方の話を聞くと、「前職では残業が多かったけれど、市役所に来てからはほとんどない」とよく聞きます。
実際、私も今は子育て中ということもあり、だいたい定時で上がらせてもらっています。残業が少なく、時間の見通しが立ちやすいというのは、非常に働きやすいポイントだと感じています。
ーお子さんの急な体調不良などで、お休みが必要な場面もあるかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。
Nさん:子どもの学校行事はもちろんですが、急な病気で休まなければならない時も、看護休暇などの制度がしっかり整っていますし、何より周りの職員がそういった制度を理解してくれているのが大きいです。
「お互い様だから」という雰囲気があるので、心理的にも非常に休みを取りやすい環境ですね。

ー自分が担当している現場が動いていると休みにくい、といったことはないのでしょうか?
Nさん:現場対応が必要な期間に、子どもの急な用事や自分自身の体調不良が重なることもあります。そんな時は上司や同僚が代わりに現場確認に行ってくれるため、フォローし合う体制ができています。困ったときにフォローしあえるように、日頃から上司や同僚とコミュニケーションをとるように心がけています。
一人で抱え込まずに相談できる環境が伊勢崎市役所にはあるので、本当に助かっています。
「マンホールしか残らない?」派手さはないけど奥深い下水道工事の魅力
ーこれまでの業務の中で、特に印象に残っている仕事や、やりがいを感じた瞬間などはありますか?
Nさん:正直に言うと「これ!」といった派手なエピソードがないんですよね(笑)
私が現在担当している下水道の工事は、短期間でパッと完結して目に見える形になるものが少ないんです。なので、「完成した!やったぞ!」という達成感を味わう機会は意外と少ないのが正直なところです。
下水という特性上、最終的に地上に見えるのはマンホールくらいで、建築物のようにデザイン性があるものでもないので、「地図に残る仕事」という実感はあまり持てないかもしれないです。
ただ、その分市民の方や業者さんとのコミュニケーションの中で、「丁寧に説明してくれてありがとう」とか「改善されてよかった」といった言葉をいただけると、率直に嬉しいですね。
そういった一つ一つの信頼関係の積み重ねが、伊勢崎市の暮らしへの貢献につながっているので、派手な達成感というよりは、日々の積み重ねにやりがいを感じています。
ーでは、土木職ならではの面白さを感じる部分はありますか?
Nさん:ありますね。工事現場って、大きな重機がガシャガシャと動いていて、一見するとすごく豪快で大雑把に見えますよね?でも実際は、ものすごく「繊細」なんです。
特に下水道管の設置は、水が自然に流れるように傾斜をつけなければならないので、ミリ単位の精度が求められます。手作業で工事をしていても数ミリの誤差は出るかもしれないのに、最終的な完成形がずれることのないよう、緻密な計算をして施工しているんです。

ー重機を使いながら、ミリ単位の調整というのはすごいですね。
Nさん:そうなんです。すごい大胆にやってるように見えて、実はすごく繊細な仕事をしているというギャップが、私にとってはすごく面白い発見でした。
端から見ているだけでは分からない、携わってみて初めて見える「プロの技術」や「計算された緻密さ」に触れられるのは、この仕事の醍醐味だと思います。
ただ掘ってるだけじゃないんだぞっていう、技術者としての密かな自負みたいなものも感じることができますね(笑)
職場の雰囲気と未来の仲間へ
ー最後に、伊勢崎市の土木職を目指している方や、進路に迷っている方へメッセージをお願いします。
Nさん:先程もお話ししていますが、やはり「働きやすさ」は大きな魅力だと思います。
定時で帰れることや、休暇の取りやすさは、公務員ならではの恵まれた環境です。子育て中の方や、プライベートの時間も大切にしたい方には自信を持っておすすめできます。
私のように現場経験がない方でも、先輩方のサポートや、実際の現場に足を運ぶことで、知識は後からいくらでもついてきます。未経験でも飛び込んでいける環境だということを伝えたいですね。
そして、職場の雰囲気もすごく良いです。仕事上の相談がしやすいというのは、働く上では大切なことだと思っています。困ったことをすぐに相談できる、雑談も含め誰とでも話しやすい空気感がある職場です。
私も先輩たちにしていただいたように、今度は自分が後輩にとって「話しやすい存在」になれるよう心がけていきたいと思っています。ぜひ、安心してチャレンジしてください!
ー本日はありがとうございました。
「重機で大胆に掘っているようで、実はミリ単位で調整している」。 Nさんが語ってくれたこの言葉に、土木という仕事の奥深さが凝縮されているように感じました。
無骨で力強いイメージのある土木の世界ですが、伊勢崎市役所の現場にあるのは、そんな緻密な技術と、働く仲間を思いやる「繊細な優しさ」でした。「マンホールしか見えない」とのことですが、その下には確かな技術と、市民の暮らしを守る熱い想いが詰められているはずです。
仕事も子育ても、気負わず向き合うNさん。その穏やかな笑顔こそが、この街で安心して働き続けられる何よりの証なのだと感じました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年11月取材)



