島根県出雲市役所、道路建設課で働く渡部さん(入庁8年目)と今岡さん(入庁2年目)のインタビュー記事です。
公務員の技術職(土木)として活躍するお二人は、なぜ地元の出雲市役所を選んだのか。入庁前の「堅い」イメージとのギャップ、技術職ならではの苦労と達成感、そして女性職員も増えている職場のリアルな雰囲気について、先輩・後輩の掛け合いを交えながら語っていただきました。

「先生の勧め」と「インターンシップでの直感」。二人が出雲市役所を選んだ理由
ーまずは簡単な自己紹介と、これまでの経緯について教えてください。
渡部:市内の高校を卒業後、平成30年度に入庁し、現在8年目になります。最初は道路河川維持課に配属され、現在は道路建設課で働いています。
公務員を目指したのは、先生から「公務員を目指してみないか」と声をかけてもらったのがきっかけです。国や県も含めて幅広く考えていましたが、転勤のことや、自分自身地元が好きなこともあり出雲市を選びました。
ー今岡さんも教えて下さい。
今岡: 私は令和6年度採用で、現在入庁2年目です。松江高専の出身で、就職活動の際は「地元である出雲で就職したい」という思いが軸にありました。 決め手になったのは、高専4年生の時に参加したインターンシップです。出雲市役所と民間の建設企業の2社に行ったのですが、出雲市役所の職場の雰囲気がすごく良かったんです。
1週間かけて土木系の様々な課を回らせていただいたのですが、職員の皆さんがすごく優しく声をかけてくださって。 仕事内容というよりも、人の温かさや職場の空気に惹かれました。「ここでなら安心して働けそうだな」と直感し、民間ではなく市役所一本に絞って受験しました。
「道路」だけじゃない。他部署の工事を代行する技術職の仕事
ー現在所属されている道路建設課でのお仕事内容について教えてください。
渡部: 「道路建設課」で環境政策課や消防本部、教育委員会など、土木技師が配置されていない部署で工事が必要になった際、工事図面の作成や積算、現場監督などを代行して行う業務です。
庁内全体に照会をかけ、上がってきた案件を係内で分担して進めていきます。道路や造成だけでなく、例えば公共施設の周辺整備や消防の施設など、案件は多岐に渡ります。
自分が普段担当しない分野の構造物を作ることもあるので、その都度勉強が必要です。例えば、防火水槽を作るとなれば消防の基準を調べなければなりませんし、道路以外の法令や基準も理解しておく必要があり、そこが大変でもあり面白いところですね。
―今岡さんは違う係ですか?
今岡:私は「長寿命化推進係」に所属しています。 主な業務は、橋梁(きょうりょう)の点検や修繕、あとは落石対策の点検や工事などです。今あるインフラを少しでも長く使えるように維持管理していく、まさに「長寿命化」のための仕事をしています。
入庁してすぐ担当を持たせてもらいましたが、最初は何も分からない状態で、先輩に現場についてきてもらいながら見よう見まねで覚える日々でした。業者さんとのやり取りもうまくいかず、上司に対応してもらうこともありましたが、とにかく「経験が大事だ」と思い、分からないことは恥を捨てて聞くようにしていました。
「地図に残る」達成感。巨大な構造物が完成した時の感動
ー入庁前と後で、仕事に対するギャップはありましたか?
今岡:かなりありました。入庁前は、もっと地元の方と話したり、外に出たりする「地元対応」が多いイメージを持っていたんです。でも実際は、デスクワークの比率がかなり高いです。設計書の作成や積算、業者さんから提出された書類の確認など、中で作業することの方が多いですね。
また、土木工事には細かい基準がたくさんあって、それを勉強しながら仕事を進めなければなりません。「勉強しながら仕事もする」という感覚で、その難易度の高さには驚きました。
ー印象的な仕事はありましたか?
今岡: 1年目に担当した落石対策の工事です。金額的にもかなり大きな工事だったのですが、山肌に巨大な落石対策の構造物が完成した時、その規模感には自ら携わったものとして驚きました。業者さんと調整して作り上げたものが、実際に形として目の前に現れる。そしてそれが地図に残り、地域の安全を守っていく。その達成感は土木職ならではの醍醐味だと思います。

渡部:図面という紙の上のものが、立体的な構造物として完成する瞬間を見るのは嬉しいですよね。
私も、前の部署の話にはなりますが、維持管理の仕事は市民の方から意見を直接伺い対応する仕事なので、「ありがとう、直してくれて助かったよ」と感謝の言葉をいただけるのはやはり嬉しいですし記憶に残っていますね。お叱りを受けることもありますが、感謝の言葉をいただくと「やってよかったな」と思えます。
女性技師も増加中。「ワークライフバランス」を尊重した働きやすい環境
ー土木職というと男性が多いイメージですが、職場の雰囲気はいかがですか?
今岡: 確かに男性が多いですが、最近は女性の技術職も増えてきています。課は私と渡部さんの他にもう1人、隣の課にも女性技師がいます。市役所全体で見ても、上下水道局なども含めて若手の女性技師が活躍しているので、心強いですね。
職場はインターンシップで感じた通り、本当に雰囲気が良いです。渡部さんのように何でも話せる先輩が近くにいますし、困っているとすぐに誰かが助けてくれる環境です。
ー残業や休暇についてはいかがでしょうか?
今岡: 残業はほとんどありません。本当に毎日定時で帰らせてもらっています。 少し残って仕事をしていると、係長から「早く帰りなさい」と声をかけられるくらいです(笑)。土日もしっかり休めますし、ワークライフバランスはとても充実していると感じます。
渡部: 私も基本的には定時退庁です。工事の発注が重なる時期などは残業することもありますが、それでも無理な働き方を強いられることはありません。 上司が「ワークライフバランスを大切にしよう」と都度言ってくれるので、有給休暇も取りやすいです。自分の担当業務さえ調整できていれば、急な体調不良や私用でも気兼ねなく休めるので、とても働きやすいですね。
知識ゼロからのスタートでも大丈夫。経験を積み重ねて一人前へ
ー最後になりますが、出雲市役所への入庁を考えている方へメッセージをお願いします。
渡部: 私は入庁当初、10代だったこともあり周りが大人ばかりで怖いなと感じていましたが、慣れてくると本当に居心地の良い職場だと感じるようになりました。 仕事の調整さえつけば自由に休みも取れますし、福利厚生もしっかりしています。何より、自分の携わった仕事が形に残り、地域の方の役に立つ実感を得られるのは大きな魅力です。最初は不安でも、周りがサポートしてくれるので大丈夫です。
今岡: 私も実務に関しては分からないことだらけでのスタートでした。 でも、優しい先輩方が親身になって教えてくれますし、失敗してもフォローしてくれる温かい環境があります。今はまだ勉強中の身ですが、たくさんの経験を積んで、少しでも早く一人前の技術者になりたいと思っています。
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年1月取材)
他部署の工事を代行するという高いスキルが求められる渡部さんと、巨大なインフラ整備に挑む今岡さん。出雲市の安全安心な暮らしは、こうした若手女性技師たちの奮闘と、それを支える温かいチームワークによって守られているのだと実感する取材でした。



